子どもの難病への医療支援は?
18歳未満の児童を対象にした医療費助成制度として「小児慢性特定疾病医療費助成制度」があります。指定難病と同じように、国によって定められた疾患に対して医療費が助成されます。平成29年4月1日から722疾病が認定されています。この中には、指定難病と小児慢性特定疾病の療法に認定されている疾患も含まれます。
小児慢性特定疾病(以下)にかかっており、厚生労働大臣が定める疾病の程度である児童等が対象です。
1.慢性に経過する疾病であること
2.生命を長期に脅かす疾病であること
3.症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
4.長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること
上記の全ての要件を満たし、厚生労働大臣が定めるもの。
(引用:小児慢性特定疾病情報センター|小児慢性特定疾病の医療費助成について)
18歳未満の児童等でが対象です。「小児慢性特定疾病医療費助成制度」を受けていた子どもが18歳を超えた場合はどうなるのでしょうか?厚生労働省が公開している資料を見てみると以下のように述べられています。
18歳到達地点において、本事業の対象となっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要であると認められる場合には、20歳到達までの者を含む。
(引用:小児慢性特定疾患児等の状況及び支援の現状に関する参考資料|厚生労働省)
「小児慢性特定疾病医療費助成制度」から「難病医療費助成制度」へ移行している患者数はどれほどなのでしょうか。今回は、「小児慢性特定疾病医療費助成制度」の給付人数が発表されている平成23年度の資料を用いています。平成23年度の時点で「小児慢性特定疾病医療費助成制度」の給付を受けていたのは110,269人。「難病医療費助成制度」の給付を受けていたのは13,384人。同じ世代でありながら、制度を利用している人数の差は大きく開いています。同じ病気が指定されているわけではないので、一概には分かりませんが、18歳を超えて助成制度を継続して利用していない人たちが90%ほどです。
身体の成長に伴って症状が改善される疾病等もありますが、18歳を超えても継続的な治療が必要で、医療費助成制度を必要とされている方もいるはずです。難病医療費助成制度の年齢別の人口をみると、うまく年齢に合わせて、制度を移行できるのかは現状の制度が抱えている課題にもなっています。
身体の成長に伴って症状が改善される疾病等もありますが、18歳を超えても継続的な治療が必要で、医療費助成制度を必要とされている方もいるはずです。難病医療費助成制度の年齢別の人口をみると、うまく年齢に合わせて、制度を移行できるのかは現状の制度が抱えている課題にもなっています。
難病患者が受けられる福祉サポート
難病医療費助成制度だけではなく、さまざまなサポートを利用することができます。受けられるサポートは地域ごとに異なりますが、障害者手帳と同じ割引が受けられるものが多いようです。
障害者手帳により受けられるサービス
平成25年4月より、難病等が障害者総合支援法の対象となったため、障害者総合支援法で定められた支援を難病患者の方も利用できるようになりました。疾患の症状と医師の診断によっては、障害者手帳を取得することができます。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
障害者手帳とは?種類ごとの申請方法と受けられるサービスを一挙にご紹介
障害者手帳がなくても利用できるサービス
障害者手帳の有無に限らず、障害者総合支援法に認定を受けている疾患であれば、福祉サポートを受けることができます。指定難病が全て追加されたわけではないですが、平成29年度から追加される疾患もあり枠組みは広がっていきます。障害者総合支援法によって利用できる支援などに関しては以下のリンクを参照ください。
定期的な通院で必要になるタクシーの乗車割引券や、ガソリンにかかる燃料費を助成してくれる制度もあります。さらに、大手携帯電話会社では、難病患者の利用料金が割引になる制度を導入しています。地域の美術館や水族館が無料になるサポートもあるので、使える場所を探してみると意外なところで割引になることがあるかもしれません。
参考 スマイルハート割引 | 料金・割引:スマートフォン・携帯電話 | au
https://www.au.com/mobile/charge/charge-discount/smile-heart/
難病患者のための就職サポート
難病を抱える方々が抱える問題として、就職・転職があります。小児慢性特定疾患と指定難病の両方で就労支援は行われています。最近では、障害者の枠組みが見直され、必要なサポートが受けられるようになりました。
難病患者向けの就労支援
ハローワークに難病患者向けの窓口として「難病患者就職サポーター」が設置されています。新しい職場探しはもちろん、今の仕事を続けるかどうかに関する悩みにも対応してくれます。
難病患者就職サポーターとは
ハローワークに配置されている「難病患者就職サポーター」は、難病相談支援センターと
連携しながら、就職を希望する難病の方に対して、症状の特性を踏まえたきめ細やかな
就労支援や、在職中に難病を発症した方の雇用継続などの総合的な支援を行っています。
(引用:難病の方の就労を支援しています|厚生労働省)
他にも、就職を行う上での支援として職業訓練等を行っています。職場を探すサポートはもちろん、職に就くための支援も行われているのです。自分に必要な支援が分からない場合も、先ほどの「難病患者就職サポーター」に相談してみるとよいかもしれません。
職業訓練(求職者支援制度)
雇用保険を受給できない求職者に対して、職業訓練を実施するとともに、訓練期間中、一定の要件(収入・資産等)を満たす者に対して、職業訓練の受講を容易にするための給付金を支給するとともに、ハローワークで就職支援を行うことにより、早期の就職を支援。(1コース3~6月、給付金は月額10万円と交通費(所定の額))
(引用:小児慢性特定疾患対策の関係資料|厚生労働省)
障害者総合支援法に基づく就労支援
平成27年7月からは「障害者総合支援法」が改正され、難病患者の方も福祉サポートが受けられるようになりました。サポートが利用できる疾患は、以下のリンクよりご確認くださいい。
「障害者総合支援法」における就労支援は大きく分けて就労継続と就労移行の2つがあります。働くために必要な知識や能力を養ったり職場体験を行うのが就労移行支援です。就労移行支援を利用したけれども就労に繋がらなかった場合は、就労継続支援サービスを利用することによって、福祉事業所で仕事をすることができます。
・就労移行支援の利用
就労移行支援の利用者は、就労移行支援事業所に通所してサービスを利用します。そこでは、スタッフとともに個別の支援計画を作成し、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアなどを受けることができます。詳しくは以下の記事をご参照ください。
・就労移行支援の利用
就労移行支援の利用者は、就労移行支援事業所に通所してサービスを利用します。そこでは、スタッフとともに個別の支援計画を作成し、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアなどを受けることができます。詳しくは以下の記事をご参照ください。
・就労継続支援A型・B型の利用
就労継続支援A型とは支援を受けながら、施設と利用者で雇用契約を福祉作業所と結び働くことを指します。
就労継続支援B型は、就労移行支援や就労継続支援A型の利用経験をした上で、年齢や体力の面で雇用が困難な方を対象としたサービスです。施設との雇用契約は結びませんが、生産性にこだわらず自分のペースで働くことができます。
障害者手帳がない場合でも、「障害者総合支援法」の対象になっている疾患であることを証明できる書類(特定疾患受給資格証などの病名がわかるもの)を見せることで、就労継続支援A型やB型の施設を、住んでいる地域の市役所の福祉課から紹介してもらうことができます。
就労継続支援A型とは支援を受けながら、施設と利用者で雇用契約を福祉作業所と結び働くことを指します。
就労継続支援B型は、就労移行支援や就労継続支援A型の利用経験をした上で、年齢や体力の面で雇用が困難な方を対象としたサービスです。施設との雇用契約は結びませんが、生産性にこだわらず自分のペースで働くことができます。
障害者手帳がない場合でも、「障害者総合支援法」の対象になっている疾患であることを証明できる書類(特定疾患受給資格証などの病名がわかるもの)を見せることで、就労継続支援A型やB型の施設を、住んでいる地域の市役所の福祉課から紹介してもらうことができます。
・職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業の利用
「ジョブコーチ」とは
■ジョブコーチは、一定期間職場を訪問し、『障害者が職場に適応し、事業主が主体となって障害者を雇用管理できる体制に移行すること』をめざして支援を行います。
(引用:特定非営利活動法人くらしえん・しごとえん|ジョブコーチ支援)
新しい職場で、うまく病気の症状と向き合いながら働くことにはさまざまな困難があるはずです。そんな困難をサポートしてくれるのがこのジョブコーチです。働き始めてから困った時はこのジョブコーチを利用してみてもいいかもしれません。