入学式、支援の先生に手を引かれる息子の姿を見た父は…

ライター:林真紀
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私は息子の発達障害について自分の両親には話していませんでしたが、入学式の日にやってきた父は何となく察したようです。父もかなり強いADHDの特性を持つ人ですが、息子が発達障害と知り言った言葉に、私は衝撃を受けました。

父が入学式に参加する!?さあどうしよう

私の父にはADHD の特性があります。今も落ち着きのなさとお喋りの止まらなさで、家族に毎日毎日叱られています。言わずもがな、幼少の頃はそれはそれは「大変な子」だったらしく、パニックや多動で幼稚園も入園1ヶ月で強制退園になるほどだったそうです。

父は自分と同じ振る舞いをする息子に大変な思い入れがあり、小学校の入学式にも参加したいと言ってくれました。けれども私は、父に参加してもらうことについては少し抵抗がありました。というのも、息子に発達障害の診断がおりていること、ましてや特別支援学級に通級することなど、私は父には何も話していなかったからです。

入学式でもし何らかの形で通級のことがバレてしまったら…。私は悩みました。

これまでは私は、他人から「支援級なんてとんでもない!この子は普通級でいい!」と何度も畳みかけられ、イライラしてきた経験がありました。なので、父からもそんな言葉を投げかけられるのは耐えられない…と思ったのです。
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発達障害は遺伝するもの?確信したのは私の父の特性でした

温かい配慮で迎えた入学式。その光景を見た父は、

結局、参加を断る理由も見つからず、父は2時間かけて入学式に来てくれました。

実は入学式の前から、先生方は息子のために綿密に打ち合わせをしてくださっていました。特別支援の先生方は、息子の幼稚園の先生と打ち合わせの場を持ってくださり、息子の特性について話し合いをしていました。また、息子が動揺しないように学校見学を開催してくださり、校長先生や教頭先生一同で息子を迎えてくださいました。前日は担任の先生からお電話頂き、入学式にあたって配慮が必要な点などについて聞かれました。

当日は特別支援の先生方と担任の先生方が、かわるがわる息子と手を繋いでいてくださいました。息子が少し不安定になったときには、特別支援の先生がずっと横について声をかけてくださいました。なんて素敵なスタートでしょう、私は感動してしまいました。いろんな人に支えられて入学式を迎えられたことは、この子を育てていて良かったと改めて思うほど幸せなことでした。

けれども、息子が「ちょっと違う子で、違った扱いを受けている」ということは、教室の中でも一目瞭然でした。

入学式が終わった後に、父も交えて昼食を取っていたときです。父がこう言ったのです。

「ずっと先生が息子くんの隣についてくれていたな。息子くんは、アスペルガー症候群なのか?

息子が発達障害と知った父の一言は…

私は、父がアスペルガー症候群という言葉を知っているのをそこで初めて知りました。同時に、「話すなら今だ!」と思い、息子の障害のことを打ち明けることにしたのです。

「うん。3歳で診断がおりた。賢い子だけど、初めての環境とかにとても不安になってしまうし、どうしても集団生活でストレスがかかってしまう。だから、国語と算数だけは特別支援学級で勉強することにした。」

父は否定も肯定もせずに聞いていましたが、私の話を聞き終わって、こう言ったのです。

「この子が羨ましいね。僕のときは、叱られて叱られて、自信がなくなるばっかりだったから」
「今日もみんなに代わる代わる手を繋いでもらって。良かったじゃないか。診断をもらってて

私はこの父の言葉を聞いて、同じように発達障害の特性を持ちながら、まだそれを障害と認知していない時代を過ごしてきた父の苦労を思ったのでした。また「羨ましいね」という言葉は、今の時代に発達障害児として生まれてきた息子を全肯定してくれる言葉であったと思います。

先人たちの苦労を無駄にしてはいけない。私は父の言葉を聞いて、改めてそう強く思ったのでした。
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