ターナー症候群とは?特徴や合併症、検査内容、治療法などをご紹介します

2017/04/26 更新
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ターナー症候群とは、染色体の異常が原因で低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患で、女性だけに起こります。症状は一人ひとり異なるため、それぞれに合った治療が大切です。この記事では、ターナー症候群の特徴や合併症、検査や治療についてご紹介します。

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目次

ターナー症候群とは?

ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患であり、女性だけに起こりえます。

1938年にアメリカの学者であるターナーが、身長が低い、性的発達がないといった女の子の特徴を一つの症候群として捉えたことで、ターナー症候群と名づけられ、知られるようになりました。その後さらに研究が進められ、原因が遺伝子における問題だと突き止められました。

ターナー症候群の発症率は1000人~2000人に1人の割合で、決して珍しい疾患ではありません。根本的な治療法はないのが現状であるため、合併する症状に対して適切な時期に適切な治療をすることが大切です。

ターナー症候群の原因・種類

ターナー症候群の原因は、受精前後、もしくは受精卵の分裂の過程で起こる性染色体の異常です。染色体の変化は環境や親の年齢などとは関連性がなく、誰にでも起こりうると言われています。

そもそも人の細胞には44本の常染色体と2本の性染色体があります。

この性染色体にはXとYの2種類が存在し、その組み合わせにより生まれてくる子どもの性別・成長が決まります。本来、X染色体が2本であれば女の子、X染色体とY染色体が1本ずつであれば男の子が生まれてきます。

しかし中には、性染色体が欠けて生まれてくる赤ちゃんもいるのです。染色体の変化にはさまざまなパターンがありますが、女の子において、一方のX染色体が全てまたは部分的に欠けるといった特徴によって起こるのがターナー症候群です。

ターナー症候群の中でも、X染色体が部分的に欠けている場合を「モザイク型」と言います。モザイク型の場合、一方のX染色体が完全に欠けているターナー症候群よりも症状が軽く、発見されづらいです。小児期には発見されず、思春期以降の妊娠・出産に関わる時期になってはじめて見つかることもあります。

ターナー症候群の特徴と合併症

ターナー症候群には、以下のような特徴と合併症があります。

・特徴:低身長、初潮がこない、首のまわりの皮膚にたるみひだがある、肘から先の腕が外向きになっている、髪の生え際が低いなど

・合併症:中耳炎、難聴、骨粗しょう症、糖尿病、高血圧、心疾患など


特徴や合併症によって、現れる時期が異なります。ここでは子どもの成長の流れに沿ってご説明していきます。

◇新生児~乳児期まで
首の形や手や足のむくみが代表的な特徴です。このような特徴が見られた時にターナー症候群の可能性を疑われ、染色体を調べてターナー症候群が見つかるという流れになります。心疾患の合併がある場合は、心不全などの症状が発見のきっかけになることもあるようです。

さらに中耳炎もターナー症候群の特徴の一つです。幼児期の子どもに多く見られますが、乳児期においてすでに中耳炎を繰り返す場合もあります。お子さんが熱を出してしまった際にかぜの症状がない場合でも、心配であれば耳鼻科や小児科で検査を受けるとよいでしょう。

しかしこの時期では、症状が見つからない場合も多いようです。日本全体として2歳までに診断されるターナー症候群は全体の10%以下と言われています。
◇幼児期~学童期まで
この時期では、身長が低いことがターナー症候群を見つけるきっかけとなりえます。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1歳半、3歳における定期健診において、身長の伸びをグラフで表した成長曲線が緩やかであることによって発見されます。さらに小学校入学前のターナー症候群の子どもは、特に中耳炎が起きやすいと言われています。

これらの特徴は見つかりづらいこともあります。ターナー症候群が発見される時期には、個人差があるのです。

◇思春期
低身長が大きな特徴です。一般的に子どもの身長は思春期に大きく伸びますが、ターナー症候群の子どもの場合は思春期でも伸びないため、この時期に発見されやすいとされています。

さらに思春期では低身長以外にも、思春期ならではの特徴である二次性徴が現れない場合が多いです。例えば、乳腺が発達してこない、初潮が遅れるといったことが挙げられます。またこの時期ぐらいから、骨密度の低下も始まります。これらはすべて女性ホルモンの不足が原因であり、ホルモン治療が必要となります。

中には身長もあまり低くないうえ、思春期の徴候も比較的きちんと出ているターナー症候群の方もいらっしゃいます。

◇成人年齢
成人の場合は、思春期の特徴が現れにくいという特徴だけでなく、不妊や2人目の子どもが産まれないことが発見のきっかけとなることもあります。ターナー症候群の方が自然妊娠できる確率は2%とも言われています。
またターナー症候群の成人の方は、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病を発症しやすい、骨密度の低下、大動脈拡張といった特徴があります。これは女性ホルモンが少ないことが原因であり、コレステロールが高くなりやすく、動脈硬化や生活習慣病を招きます。

幼少期から成人までのターナー症候群の特徴をご紹介しました。お子さんには、これらの特徴を段階的に説明するとよいでしょう。一緒になって不安を取り除きながら、少しずつ伝えることで、お子さんもターナー症候群の特徴を受け入れやすくなります。

ターナー症候群とその他の障害の関係性は?

ターナー症候群と精神障害・発達障害の関連はありません。また『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる―(甲村弘子/著)』では、ターナー症候群の女性の特徴について以下のように書かれています。

一般的にターナー女性は言語能力に優れ、作文や本を読むことが得意な一方、計算や図形問題で苦労する場合があり、算数が苦手だといわれています。確かにそのような傾向はあるのですが、国語が得意で算数が苦手な人は世の中に多く、ターナー女性に特有なことではないといえるでしょう。

(『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる―(甲村弘子/著)』2007年 メディカルレビュー社 p.61より引用)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4779201772
さらにご自身の医療体験を活かして、医師や看護師として活躍されている方もいらっしゃるようです。お子さんの得意・不得意を把握し、得意分野を伸ばしてあげることが大切です。

ターナー症候群に関する相談をしたい時は?

ターナー症候群かな?と思ったらまずは小児科や産婦人科で相談してみましょう。このほかに遺伝診療科で遺伝カウンセリングを受けられます。

遺伝カウンセリングとは、遺伝学的情報やそれに関連する情報を提供し、遺伝に関する不安を持っている方が納得したうえで意志決定することを援助してくれる専門家のことです。

遺伝子カウンセリングを利用することにより、遺伝子疾患についてや体質を理解できたり、心理的なサポートをしてもらえたりします。小児科などの相談だけで心配な場合は、遺伝カウンセラーと一緒になって不安を取り除いていくとよいでしょう。

なお、一般に遺伝診療科は大学病院など紹介状が必要な医療機関にあることが多いことから、まずはかかりつけの医療機関で相談してみてください。

当事者と家族による「ターナー女性と家族の会」

「ターナー女性と家族の会」はターナー症候群の方やご家族が交流できる会であり、全国にあります。日常生活においての心配ごとがあれば、「ターナー女性と家族の会」に相談してみるとよいでしょう。情報交換により、病院ではわからないことを聞けます。

例えば大阪にある「ひまわりの会」のホームページでは、疾患に関する分かりやすい説明のほかに、ターナー症候群の方の声も載せられています。ぜひ参考にしてみてください。

ターナー症候群に関係する検査

この章では、ターナー症候群を発見するための検査と、ターナー症候群の方が健康を保つために定期的に受ける検査の2つに分けてご紹介します。

ターナー症候群を発見するための検査

◇出生前検査
おなかの中にいる赤ちゃんがターナー症候群かどうかを調べる時は、出生前検査を受けます。さまざまな方法がありますが、最も多く用いられているのが羊水検査です。これは羊水を採取して胎児の遺伝子異常を調べる検査であり、通常妊娠15~16週に行われます。

検査を受ける前には、臨床遺伝専門医や他科の医師などから遺伝カウンセリングを受け、相談することもできます。

注意点として、胎児がターナー症候群でも出生前検査では見つからない場合もあります。これは記事の前半でご紹介した「モザイク型」の場合であり、染色体の変化が検出されにくいからです。
◇一般的な染色体検査
ターナー症候群は基本的に低身長や心疾患などの特徴が現れたことをきっかけに、染色体検査を受けて診断されます。この場合も遺伝カウンセリングを受け、相談することもできます。

3歳児健診などの定期的な健診や、小学校における健診などがきっかけで、染色体検査を受けるケースが多いようです。

ターナー症候群の方の健康を保つための検査

ターナー症候群の方が定期的に受ける検査には、心臓、耳・聴力、腎臓、骨密度、甲状腺、生活習慣病などの項目があります。

◇心臓
・先天性心疾患
心臓の弁が本来3つのところ2つしかない状態である大動脈二尖弁(にせんべん)といった先天性心疾患を見つけるために、エコー検査や心電図、胸部X線写真、血圧測定などの検査を定期的に受けます。

・後天性の心血管系疾患
高血圧、大動脈拡張などの後天性の心血管系疾患の検査は、エコー検査や血圧測定の他に、体の臓器や血管を撮影するMRIという検査を医師から勧められる場合もあります。

検査の流れの例としては、大動脈拡張の危険因子があるかどうか超音波診断をし、異常があった場合にはMRIを受けることになるといったケースが挙げられます。

◇耳・聴力
合併症である中耳炎を発見するために、聴力検査をします。

◇腎臓
エコー検査や検尿を行います。エコー検査は状況によってですが、腎臓の形に異常がある場合に、3~5年に1度行われます。

◇骨密度
女性ホルモン分泌が少ないことによって骨粗しょう症が起こりやすいため、小学生ぐらいから骨密度の検査を受けます。1~2年に1回程度行われますが、成人後は5年に1回程度のペースで検査が行われます。

骨密度に関しては、検査だけでなく、食事や運動など生活面での注意も重要となります。骨の形成に関わるカルシウムを多く摂取する、ウォーキングなどの運動習慣を心がけるといったことが大切です。

◇甲状腺
甲状腺の機能や抗体の検査を年に1回程度行います。これは甲状腺に慢性の炎症が起きる疾患である橋本病の合併に注意しなければいけないためです。

◇生活習慣病
コレステロールや血糖の測定や年に1回程度の肝機能の検査が行われます。診察ごとに体重測定が行われ、肥満を避ける指導がある場合もあります。

ターナー症候群の治療法

ターナー症候群の主な治療は、小児期に行う低身長の治療と、思春期あたりから開始する性腺機能不全の治療の2つです。さらに成人期になると、合併症のチェックや年齢に応じた治療を行うことになります。

・成長ホルモン治療
低身長の治療として、成長ホルモン治療が行われています。個人差はありますが、治療後の最終的な平均身長は150センチ近くまでになり、身長の低いケースでも131.5~145センチになるとされています。
成長ホルモン治療はより早期から長期的に行うことで、成人身長を伸ばせます。開始時期は5~6歳ごろが妥当とされています。

・女性ホルモン補充療法
女性ホルモン補充療法を行う目的は、子宮の発育を促すこと、女性的な体型を得ることなどが挙げられます。一般的に思春期あたりから始めることが多いですが、年齢、身長、骨密度、骨年齢などを総合的に評価した上で、一人ひとりに合った時期に適切な治療を行うことが大切です。

ターナー症候群に対する医療費の補助制度

ターナー症候群の方は小児慢性特定疾病の医療補助や高額療養費補助、不妊治療への支援を受けることができます。この章ではそれぞれの補助制度についてご紹介します。

小児慢性特定疾病の医療補助制度

ターナー症候群は小児慢性特定疾病に指定されており、医療費の自己負担分の一部の助成を受けることができます。この制度は児童福祉法に基づいており、児童の健全育成のために患者家族の医療費の負担軽減を図る目的があります。

医療費の助成を受けることができるのは、18歳以下の患者です。また、以下の4つ全てを満たす程度の疾病であることが条件となります。
・慢性に経過する疾病であること
・生命を長期に脅かす疾病であること
・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

医療費助成を受ける場合には、行政機関への申請が必要となります。申請は以下の流れとなります。
1. 指定医療機関(※)を受診し、医師から小児慢性特定疾病の意見書を書いてもらう。
2. お住まいの都道府県、指定都市の窓口へ意見書と申請書を提出する。
3. 小児慢性特定審査会にて審査が行われる。
4. 医療助成の対象の通知が自宅に届く。

※指定医療機関は、都道府県・指定都市の定める特定の医療機関であり、自治体ごとに定められています。お近くの指定医療機関を折理になりたい場合はお住まいの自治体のHPをご覧ください。

医療費が高額になった場合の補助制度

◇高額療養費補助制度
この制度は入院など、高額の医療費を支払った時に払い戻しを受けることができる健康保険制度です。月の支払いのうち、負担の上限金額を超えた支払いをした場合には、その超過分が支給されます。

高額療養費の支給は、診療の月から3ヶ月以上の時間がかかります。その間の家計の負担が考えられますので、以下の2つの制度を利用することで入院の間の負担を減らすことが可能です。

70歳未満の方で、入院費が高額となることが事前にわかっている場合には、限度額適用認定証を病院に提示することで、負担額に限度を設けることができます。所得により異なりますが、支払額の上限の目安は平均44,000~140,100円/月です。この場合には高額療育費を申請する必要がなくなります。
◇高額医療費貸付制度
家計の負担を軽減させるために、一時的に治療費を借りることもできます。この制度では、高額療育費で支給される見込みの約8割の料金を無利子で貸し付けを行っています。

すべての申請は郵送で行うことができます。申請者の方が窓口に足を運ぶ必要がなく簡単に申請することができますので、ぜひご活用ください。詳しく知りたい方は以下の全国保険協会のHPをご覧ください。

不妊治療への支援

ターナー症候群の人は不妊になりやすいといわれています。不妊治療を行った場合、特定治療支援事業によって、体外受精及び顕微授精といった、不妊治療に対してかかった費用も助成を受けられることがあります。治療内容や女性の年齢によっても助成内容が変わるので、以下のリンクを参考にして下さい。

まとめ

ターナー症候群は低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患です。染色体における異常が原因であり、誰にでも起こりうるとされています。またターナー症候群と一口に言っても、発見される時期や症状などは一人ひとり異なります。

お子さんにターナー症候群の特徴を説明する時は、わかりやすい言葉で、段階的に伝えてあげるとよいでしょう。そのためにはターナー症候群がどんな疾患なのかをご両親がしっかり理解し、お子さんの特徴を把握することが大切です。

心配なことがある場合は、遺伝診療科における遺伝カウンセリングにて相談したり、日常生活に関しては「ターナー女性と家族の会」に問い合わせたりしてみてください。相談機関を上手に利用しながら、お子さんと一緒になって不安を取り除いていきましょう。
成人ターナー女性―ターナーとして生きる
藤田 敬之助 (著),‎ 甲村 弘子 (著)
メディカルレビュー社
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