ターナー症候群とは?特徴や合併症、検査内容、治療法などをご紹介します

ライター:発達障害のキホン
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ターナー症候群とは、染色体の異常が原因で低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患で、女性だけに起こります。症状は一人ひとり異なるため、それぞれに合った治療が大切です。この記事では、ターナー症候群の特徴や合併症、検査や治療についてご紹介します。

目次

ターナー症候群とは?

ターナー症候群とは、X染色体(性染色体)の全体または一部が欠けることによって、身長が低い、性的発達が見られない、女性ホルモンが不足する、といった特徴を引き起こす疾患であり、女性だけに起こると考えられています。

1938年にアメリカの学者であるターナーが、身長が低い、性的発達がないといった女の子の特徴を一つの症候群として捉えたことで、ターナー症候群と名づけられ、知られるようになりました。その後さらに研究が進められ、原因が遺伝子における問題だと突き止められました。

ターナー症候群の発症率は1000人~2000人に1人の割合で、決して珍しい疾患ではありません。根本的な治療法はないのが現状であるため、合併する症状に対して適切な時期に適切な治療をすることが大切です。
出典:『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる― (甲村弘子/著)』2007年 メディカルレビュー社
https://www.amazon.co.jp/dp/4779201772
参考:ターナー症候群について|ひまわりの会
http://www.osaka-himawari.com/consept/13.html

ターナー症候群の原因・種類

ターナー症候群の原因は、受精前後、もしくは受精卵の分裂の過程で起こる性染色体の異常です。染色体の変化は環境や親の年齢などとは関連性がなく、誰にでも起こりうると言われています。

そもそも人の細胞には44本の常染色体と2本の性染色体があります。

この性染色体にはXとYの2種類が存在し、その組み合わせにより生まれてくる子どもの性別・成長が決まります。本来、X染色体が2本であれば女の子、X染色体とY染色体が1本ずつであれば男の子が生まれてきます。

しかし中には、性染色体が欠けて生まれてくる赤ちゃんもいるのです。染色体の変化にはさまざまなパターンがありますが、女の子において、一方のX染色体が全てまたは部分的に欠けるといった特徴によって起こるのがターナー症候群です。

ターナー症候群の中でも、X染色体が部分的に欠けている場合を「モザイク型」と言います。モザイク型の場合、一方のX染色体が完全に欠けているターナー症候群よりも症状が軽く、発見されづらいです。小児期には発見されず、思春期以降の妊娠・出産に関わる時期になってはじめて見つかることもあります。

ターナー症候群の特徴と合併症

ターナー症候群には、以下のような特徴と合併症があります。

・特徴:低身長、初潮がこない、首のまわりの皮膚にたるみひだがある、肘から先の腕が外向きになっている、髪の生え際が低いなど

・合併症:中耳炎、難聴、骨粗しょう症、糖尿病、高血圧、心疾患など


特徴や合併症によって、現れる時期が異なります。ここでは子どもの成長の流れに沿ってご説明していきます。

◇新生児~乳児期まで
首の形や手や足のむくみが代表的な特徴です。このような特徴が見られた時にターナー症候群の可能性を疑われ、染色体を調べてターナー症候群が見つかるという流れになります。心疾患の合併がある場合は、心不全などの症状が発見のきっかけになることもあるようです。

さらに中耳炎もターナー症候群の特徴の一つです。幼児期の子どもに多く見られますが、乳児期においてすでに中耳炎を繰り返す場合もあります。お子さんが熱を出してしまった際にかぜの症状がない場合でも、心配であれば耳鼻科や小児科で検査を受けるとよいでしょう。

しかしこの時期では、症状が見つからない場合も多いようです。日本全体として2歳までに診断されるターナー症候群は全体の10%以下と言われています。
出典:『ターナー症候群 診療のポイント(長谷川行洋/著)』2003年 メディカルレビュー社
https://www.amazon.co.jp/dp/4896005570
◇幼児期~学童期まで
この時期では、身長が低いことがターナー症候群を見つけるきっかけとなりえます。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1歳半、3歳における定期健診において、身長の伸びをグラフで表した成長曲線が緩やかであることによって発見されます。さらに小学校入学前のターナー症候群の子どもは、特に中耳炎が起きやすいと言われています。

これらの特徴は見つかりづらいこともあります。ターナー症候群が発見される時期には、個人差があるのです。

◇思春期
低身長が大きな特徴です。一般的に子どもの身長は思春期に大きく伸びますが、ターナー症候群の子どもの場合は思春期でも伸びないため、この時期に発見されやすいとされています。

さらに思春期では低身長以外にも、思春期ならではの特徴である二次性徴が現れない場合が多いです。例えば、乳腺が発達してこない、初潮が遅れるといったことが挙げられます。またこの時期ぐらいから、骨密度の低下も始まります。これらはすべて女性ホルモンの不足が原因であり、ホルモン治療が必要となります。

中には身長もあまり低くないうえ、思春期の徴候も比較的きちんと出ているターナー症候群の方もいらっしゃいます。

◇成人年齢
成人の場合は、思春期の特徴が現れにくいという特徴だけでなく、不妊や2人目の子どもが産まれないことが発見のきっかけとなることもあります。ターナー症候群の方が自然妊娠できる確率は2%とも言われています。
出典:P2-36-9 卵子提供により妊娠したモザイクターナー症候群の一例|公益社団法人日本産科婦人科学会第67回学術講演会
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009942712
またターナー症候群の成人の方は、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病を発症しやすい、骨密度の低下、大動脈拡張といった特徴があります。これは女性ホルモンが少ないことが原因であり、コレステロールが高くなりやすく、動脈硬化や生活習慣病を招きます。

幼少期から成人までのターナー症候群の特徴をご紹介しました。お子さんには、これらの特徴を段階的に説明するとよいでしょう。一緒になって不安を取り除きながら、少しずつ伝えることで、お子さんもターナー症候群の特徴を受け入れやすくなります。

ターナー症候群とその他の障害の関係性は?

ターナー症候群と精神障害・発達障害の関連はありません。また『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる―(甲村弘子/著)』では、ターナー症候群の女性の特徴について以下のように書かれています。
一般的にターナー女性は言語能力に優れ、作文や本を読むことが得意な一方、計算や図形問題で苦労する場合があり、算数が苦手だといわれています。確かにそのような傾向はあるのですが、国語が得意で算数が苦手な人は世の中に多く、ターナー女性に特有なことではないといえるでしょう。

(『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる―(甲村弘子/著)』2007年 メディカルレビュー社 p.61より引用)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4779201772
さらにご自身の医療体験を活かして、医師や看護師として活躍されている方もいらっしゃるようです。お子さんの得意・不得意を把握し、得意分野を伸ばしてあげることが大切です。
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