ターナー症候群に対する医療費の補助制度

ターナー症候群の方は小児慢性特定疾病の医療補助や高額療養費補助、不妊治療への支援を受けることができます。この章ではそれぞれの補助制度についてご紹介します。

小児慢性特定疾病の医療補助制度

ターナー症候群は小児慢性特定疾病に指定されており、医療費の自己負担分の一部の助成を受けることができます。この制度は児童福祉法に基づいており、児童の健全育成のために患者家族の医療費の負担軽減を図る目的があります。

医療費の助成を受けることができるのは、18歳以下の患者です。また、以下の4つ全てを満たす程度の疾病であることが条件となります。
・慢性に経過する疾病であること
・生命を長期に脅かす疾病であること
・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

医療費助成を受ける場合には、行政機関への申請が必要となります。申請は以下の流れとなります。
1. 指定医療機関(※)を受診し、医師から小児慢性特定疾病の意見書を書いてもらう。
2. お住まいの都道府県、指定都市の窓口へ意見書と申請書を提出する。
3. 小児慢性特定審査会にて審査が行われる。
4. 医療助成の対象の通知が自宅に届く。

※指定医療機関は、都道府県・指定都市の定める特定の医療機関であり、自治体ごとに定められています。お近くの指定医療機関を折理になりたい場合はお住まいの自治体のHPをご覧ください。
小児慢性特定疾病の医療費助成について|小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/assist/

医療費が高額になった場合の補助制度

◇高額療養費補助制度
この制度は入院など、高額の医療費を支払った時に払い戻しを受けることができる健康保険制度です。月の支払いのうち、負担の上限金額を超えた支払いをした場合には、その超過分が支給されます。

高額療養費の支給は、診療の月から3ヶ月以上の時間がかかります。その間の家計の負担が考えられますので、以下の2つの制度を利用することで入院の間の負担を減らすことが可能です。

70歳未満の方で、入院費が高額となることが事前にわかっている場合には、限度額適用認定証を病院に提示することで、負担額に限度を設けることができます。所得により異なりますが、支払額の上限の目安は平均44,000~140,100円/月です。この場合には高額療育費を申請する必要がなくなります。
健康保険 限度額適用認定|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151/
◇高額医療費貸付制度
家計の負担を軽減させるために、一時的に治療費を借りることもできます。この制度では、高額療育費で支給される見込みの約8割の料金を無利子で貸し付けを行っています。

すべての申請は郵送で行うことができます。申請者の方が窓口に足を運ぶ必要がなく簡単に申請することができますので、ぜひご活用ください。詳しく知りたい方は以下の全国保険協会のHPをご覧ください。
高額医療費貸付制度|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/cat080/kashitsuke/kasitukekouryou/

不妊治療への支援

ターナー症候群の人は不妊になりやすいといわれています。不妊治療を行った場合、特定治療支援事業によって、体外受精及び顕微授精といった、不妊治療に対してかかった費用も助成を受けられることがあります。治療内容や女性の年齢によっても助成内容が変わるので、以下のリンクを参考にして下さい。
不妊に悩む方への特定治療支援事業|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html

まとめ

ターナー症候群は低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患です。染色体における異常が原因であり、誰にでも起こりうるとされています。またターナー症候群と一口に言っても、発見される時期や症状などは一人ひとり異なります。

お子さんにターナー症候群の特徴を説明する時は、わかりやすい言葉で、段階的に伝えてあげるとよいでしょう。そのためにはターナー症候群がどんな疾患なのかをご両親がしっかり理解し、お子さんの特徴を把握することが大切です。

心配なことがある場合は、遺伝診療科における遺伝カウンセリングにて相談したり、日常生活に関しては「ターナー女性と家族の会」に問い合わせたりしてみてください。相談機関を上手に利用しながら、お子さんと一緒になって不安を取り除いていきましょう。
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藤田 敬之助 (著), 甲村 弘子 (著)
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『ターナー症候群 診療のポイント (長谷川行洋/著)』2003年 メディカルレビュー社
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『新版 ターナー症候群 (岡田義昭/監修)』2001年 メディカルレビュー社
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