ダウン症のある赤ちゃんが生まれる確率は?メカニズムや出生前診断で分かることとは?【医師監修】

ライター:発達障害のキホン
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ダウン症のある赤ちゃんが生まれるメカニズムとは?おなかの中にいるときからわかるの?そのような疑問を持つ人もいるかもしれません。近年、ダウン症などがあるかを調べる「新出生前診断」を行う医療機関の増加に伴い、さまざまな意見が交わされています。
このコラムでは、ダウン症発生のメカニズムや現在行われている検査、そのリスクや課題などについて紹介します。

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監修: 玉井浩
大阪医科薬科大学 小児高次脳機能研究所 LDセンター顧問
大阪医科薬科大学 小児科名誉教授
小児神経学をベースに、小児期から成人期に至るまで医療・教育・福祉にわたる総合的な診療と支援を実践している。また、日本ダウン症協会の代表理事として、家族支援、公益事業や国際連携も行っている。
目次

胎児のダウン症はいつ分かる?ダウン症の確率は?

ダウン症とは、通常46本の染色体によって構成されているヒトの染色体の21番目が3本あるために起こる疾患です。ダウン症の子どもが生まれる確率は妊婦の年齢によって異なりますが、ダウン症の原因は卵子や精子の分裂異常などであると考えられています。

胎児にダウン症などがあるかを調べる新出生前診断が増加? 検査によるリスクや課題も

ダウン症のある赤ちゃんが生まれるメカニズムとは?お腹の中にいるときから分かるの?そのような疑問を持つ人もいるかもしれません。
近年、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーなどがあるかを調べる「新出生前診断」を行う医療機関の増加に伴い、出産前の検査についてさまざまな意見が交わされています。
このコラムでは、ダウン症発生のメカニズムや現在行われている検査、そのリスクや課題などについて紹介します。

ダウン症とは?ダウン症の3つのタイプ

ダウン症は、正しくは「ダウン症候群」といいます。発見者のJohn Langdon H.Down(ダウン氏)にちなんで命名されました。

通常、ヒトの染色体は22対(44本)の常染色体と2本の性染色体の合計46本の染色体によって構成されています。ダウン症はこの染色体の21番目が3本あるために起こる生まれつきの疾患です。

ダウン症は大きく分けて
・標準型21トリソミー型
・モザイク型
・転座型
の3種類に分かれます。

「標準型21トリソミー型」(ダウン症全体の約95%)…通常であれば22対(44本)あるはずの常染色体のうち、21番目の常染色体が1本多くなり、2本の性染色体と合わせて47本になることで起こるものです。これは受精時に偶然起こるもので、両親の染色体に変異はありません。

「モザイク型」(ダウン症全体の1~3%以下)…2つの異なる細胞で体が構成されています。21番トリソミーを持つ細胞と21番トリソミーを持たない細胞が一定の割合で混在しているというような状態です。モザイク型ダウン症も、両親の染色体に変異がなくても発生します。

「転座型」(ダウン症全体の約4~5%)…21番目の染色体の1本がほかの染色体(13番、14番、15番、21番、22番など)にくっついたことによって起こります。21番染色体の一部は過剰になりますが、数としては46本の染色体になります。ダウン症全体の約4~5%といわれる発現率のうちの半分が親に転座染色体保因がある場合、つまり遺伝によって起こります。
Types of Down Syndrome|Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/ncbddd/birthdefects/DownSyndrome.html

新生児のダウン症はいつ分かる?妊娠中の検査の種類は?

妊娠10~15週頃になると、超音波(エコー)検査によって項部(首の後ろの部分)の皮膚肥厚や、四肢や顔の特徴などから、お腹の赤ちゃんにダウン症があるかどうかを確認することができるようになります。
そのほか、妊娠週数によって、新型出生前診断を含む4つの検査が受けられます。
お腹の中の赤ちゃんにダウン症があるかどうかを調べる方法はいくつかあります。希望すると受けることができる検査には、超音波検査、新型出生前診断(NIPT)、クアトロ(母体血清マーカー)テスト、絨毛検査、羊水検査の4つがあり、それぞれ受検できる週数は異なります。
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クアトロ(母体血清マーカー)テスト

母体の血液中のホルモンやたんぱく質を調べます。成分濃度により、胎児の染色体異常が示唆される場合があります。

羊水検査

腹部に注射器を指して羊水を採取する検査方法です。99%以上の確実性があると言われていて、ダウン症の確定診断に使われています。ただし、注射器を腹部にさす事になるため、流産リスクが0.3%ほどあります。

絨毛検査

腹部に針を刺し、胎盤になる前の組織を採取する検査です。羊水検査と同じく流産リスクがあります。

新型出生前診断(NIPT)

母体の血液を採取し、赤ちゃんの染色体に異常があるかどうかを調べます。羊水検査や絨毛検査のような流産のリスクはなく、母体血清マーカーテストより確実性の高い検査方法ですが、非確定的検査です。
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