ターナー症候群に関する相談をしたい時は?

ターナー症候群かな?と思ったらまずは小児科や産婦人科で相談してみましょう。このほかに遺伝診療科で遺伝カウンセリングを受けられます。

遺伝カウンセリングとは、遺伝学的情報やそれに関連する情報を提供し、遺伝に関する不安を持っている方が納得したうえで意志決定することを援助してくれる専門家のことです。

遺伝子カウンセリングを利用することにより、遺伝子疾患についてや体質を理解できたり、心理的なサポートをしてもらえたりします。小児科などの相談だけで心配な場合は、遺伝カウンセラーと一緒になって不安を取り除いていくとよいでしょう。

なお、一般に遺伝診療科は大学病院など紹介状が必要な医療機関にあることが多いことから、まずはかかりつけの医療機関で相談してみてください。

当事者と家族による「ターナー女性と家族の会」

「ターナー女性と家族の会」はターナー症候群の方やご家族が交流できる会であり、全国にあります。日常生活においての心配ごとがあれば、「ターナー女性と家族の会」に相談してみるとよいでしょう。情報交換により、病院ではわからないことを聞けます。

例えば大阪にある「ひまわりの会」のホームページでは、疾患に関する分かりやすい説明のほかに、ターナー症候群の方の声も載せられています。ぜひ参考にしてみてください。
ターナー女性と家族の会 各地の会マップ|Clib Turner
http://www.club-turner.jp/
ターナー症候群について|ひまわりの会
http://www.osaka-himawari.com/consept/13.html

ターナー症候群に関係する検査

この章では、ターナー症候群を発見するための検査と、ターナー症候群の方が健康を保つために定期的に受ける検査の2つに分けてご紹介します。

ターナー症候群を発見するための検査

◇出生前検査
おなかの中にいる赤ちゃんがターナー症候群かどうかを調べる時は、出生前検査を受けます。さまざまな方法がありますが、最も多く用いられているのが羊水検査です。これは羊水を採取して胎児の遺伝子異常を調べる検査であり、通常妊娠15~16週に行われます。

検査を受ける前には、臨床遺伝専門医や他科の医師などから遺伝カウンセリングを受け、相談することもできます。

注意点として、胎児がターナー症候群でも出生前検査では見つからない場合もあります。これは記事の前半でご紹介した「モザイク型」の場合であり、染色体の変化が検出されにくいからです。
羊水検査で染色体異常を認めたとき|池田敏郎
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/60/9/KJ00005041849.pdf
◇一般的な染色体検査
ターナー症候群は基本的に低身長や心疾患などの特徴が現れたことをきっかけに、染色体検査を受けて診断されます。この場合も遺伝カウンセリングを受け、相談することもできます。

3歳児健診などの定期的な健診や、小学校における健診などがきっかけで、染色体検査を受けるケースが多いようです。

ターナー症候群の方の健康を保つための検査

ターナー症候群の方が定期的に受ける検査には、心臓、耳・聴力、腎臓、骨密度、甲状腺、生活習慣病などの項目があります。

◇心臓
・先天性心疾患
心臓の弁が本来3つのところ2つしかない状態である大動脈二尖弁(にせんべん)といった先天性心疾患を見つけるために、エコー検査や心電図、胸部X線写真、血圧測定などの検査を定期的に受けます。

・後天性の心血管系疾患
高血圧、大動脈拡張などの後天性の心血管系疾患の検査は、エコー検査や血圧測定の他に、体の臓器や血管を撮影するMRIという検査を医師から勧められる場合もあります。

検査の流れの例としては、大動脈拡張の危険因子があるかどうか超音波診断をし、異常があった場合にはMRIを受けることになるといったケースが挙げられます。

◇耳・聴力
合併症である中耳炎を発見するために、聴力検査をします。

◇腎臓
エコー検査や検尿を行います。エコー検査は状況によってですが、腎臓の形に異常がある場合に、3~5年に1度行われます。

◇骨密度
女性ホルモン分泌が少ないことによって骨粗しょう症が起こりやすいため、小学生ぐらいから骨密度の検査を受けます。1~2年に1回程度行われますが、成人後は5年に1回程度のペースで検査が行われます。

骨密度に関しては、検査だけでなく、食事や運動など生活面での注意も重要となります。骨の形成に関わるカルシウムを多く摂取する、ウォーキングなどの運動習慣を心がけるといったことが大切です。

◇甲状腺
甲状腺の機能や抗体の検査を年に1回程度行います。これは甲状腺に慢性の炎症が起きる疾患である橋本病の合併に注意しなければいけないためです。

◇生活習慣病
コレステロールや血糖の測定や年に1回程度の肝機能の検査が行われます。診察ごとに体重測定が行われ、肥満を避ける指導がある場合もあります。

ターナー症候群の治療法

ターナー症候群の主な治療は、小児期に行う低身長の治療と、思春期あたりから開始する性腺機能不全の治療の2つです。さらに成人期になると、合併症のチェックや年齢に応じた治療を行うことになります。

・成長ホルモン治療
低身長の治療として、成長ホルモン治療が行われています。個人差はありますが、治療後の最終的な平均身長は150センチ近くまでになり、身長の低いケースでも131.5~145センチになるとされています。
出典:『成人ターナー女性 ―ターナーとして生きる― (甲村弘子/著)』2007年 メディカルレビュー社
https://www.amazon.co.jp/dp/4779201772
成長ホルモン治療はより早期から長期的に行うことで、成人身長を伸ばせます。開始時期は5~6歳ごろが妥当とされています。

・女性ホルモン補充療法
女性ホルモン補充療法を行う目的は、子宮の発育を促すこと、女性的な体型を得ることなどが挙げられます。一般的に思春期あたりから始めることが多いですが、年齢、身長、骨密度、骨年齢などを総合的に評価した上で、一人ひとりに合った時期に適切な治療を行うことが大切です。
次ページ「ターナー症候群に対する医療費の補助制度」

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