先天性の眼振の特徴
先天性の眼振は、生後まもなく発見されることが多いですが、軽度な眼振の場合にたまに成人になるまで気づかず、大人になってから眼科検診等で見つかることがあります。
先天性の眼振には、以下のような特徴が見られます。
・両眼性である。
・振れ幅は左目、右目で差が見られない。
・眼振はじっと見つめようとすると目立つようになる。
・周期性後退眼振を除いて、視界が揺れたりめまいを起こしたりしない。
・目を閉じたり、暗いところにいくと眼振の症状が軽くなる。
・両目を内側に寄せる(=輻湊)と眼振の症状が軽くなる。
・頭位異常や異常な頭部運動が多くみられる。
・視力が悪く、乱視を合併しやすい。
・静止位(=眼振の症状が軽くなる視線方向(null point))があることが多い。
先天性の眼振は、律動眼振、振子眼振、周期性交代眼振や新生児点頭痙攣(けいれん)などの種類があります。
律動眼振と振子眼振は、先天性の眼振のなかで、緩徐相があるかないかで分けられる眼振です。詳しくは先の章で紹介しましたので、以下では周期性交代眼振と新生児点頭痙攣の特徴を紹介します。
◇周期性交代眼振
周期性交代眼振は、100~240秒ごとに眼振の方向を変える水平方向の眼振です。先天性の眼振だけでなく、後天性の眼振でも見られることがあります。
先天性の眼振では、視界が揺れているなどの自覚症状が見られないのが一般的ですが、周期性交代眼振では先天性であっても周期的に変化する見え方を自覚している人がほどんどです。
◇新生児点頭痙攣
この眼振にかかった子どもは点頭という、首をこっくりと頷くような動作や首をひねるようにまわす動作をすることが多いです。
新生児点頭痙攣は、生後3ヶ月から1歳半までに発症し、多くは数年以内に、遅くとも8歳までには自然に治ります。
しかし、最近では新生児点頭痙攣は内斜視や弱視を引き起こすという報告もされており、眼振は自然に見られなくなるが長期的な検査や治療が必要だと考えられています。
弱視は、メガネやコンタクトを使っても視力が上がらないような状態のことを言います。
先天性の眼振には、以下のような特徴が見られます。
・両眼性である。
・振れ幅は左目、右目で差が見られない。
・眼振はじっと見つめようとすると目立つようになる。
・周期性後退眼振を除いて、視界が揺れたりめまいを起こしたりしない。
・目を閉じたり、暗いところにいくと眼振の症状が軽くなる。
・両目を内側に寄せる(=輻湊)と眼振の症状が軽くなる。
・頭位異常や異常な頭部運動が多くみられる。
・視力が悪く、乱視を合併しやすい。
・静止位(=眼振の症状が軽くなる視線方向(null point))があることが多い。
先天性の眼振は、律動眼振、振子眼振、周期性交代眼振や新生児点頭痙攣(けいれん)などの種類があります。
律動眼振と振子眼振は、先天性の眼振のなかで、緩徐相があるかないかで分けられる眼振です。詳しくは先の章で紹介しましたので、以下では周期性交代眼振と新生児点頭痙攣の特徴を紹介します。
◇周期性交代眼振
周期性交代眼振は、100~240秒ごとに眼振の方向を変える水平方向の眼振です。先天性の眼振だけでなく、後天性の眼振でも見られることがあります。
先天性の眼振では、視界が揺れているなどの自覚症状が見られないのが一般的ですが、周期性交代眼振では先天性であっても周期的に変化する見え方を自覚している人がほどんどです。
◇新生児点頭痙攣
この眼振にかかった子どもは点頭という、首をこっくりと頷くような動作や首をひねるようにまわす動作をすることが多いです。
新生児点頭痙攣は、生後3ヶ月から1歳半までに発症し、多くは数年以内に、遅くとも8歳までには自然に治ります。
しかし、最近では新生児点頭痙攣は内斜視や弱視を引き起こすという報告もされており、眼振は自然に見られなくなるが長期的な検査や治療が必要だと考えられています。
弱視は、メガネやコンタクトを使っても視力が上がらないような状態のことを言います。
眼振がある子どもに見られる特徴
眼振のあるひとは、眼球が揺れているため、ふだんからものが揺れて見えていると思われがちです。しかし、上の章で見てきたように先天性の眼振では、ものが揺れて見えることは珍しく、ほとんどめまいや耳鳴りがみられません。
そのため、本人みずから不調を訴えることは少なく、子どもの場合は特に気づきにくいです。眼科に行ったときや第三者に眼球が動いていることを指摘されたときにはじめて眼振かもしれないと疑うことになります。視覚的に眼球が動いていることが確認できた場合以外にも、子どもの眼振が疑われるケースがいくつかあります。
◇注視・追視が見られない
赤ちゃんは生まれた直後から、目の前のものを見つめること(=注視)ができます。また、生まれた直後は視力が低く、目の前を動いているものを目で追うこと(=追視)はできませんが、数か月すると視力が発達して動くものを目で追えるようになります。
眼振のある子どもは、注視や追視ができないことがあるので、ずっと目がきょろきょろしていたり、目の前で手を振っても目で追わなかったりします。これらの様子が見られるときは眼振の可能性があり、注意が必要です。
◇不自然に頭を動かしている
子どもが、不自然に首を傾けていたり、あごを上下に動かしたりしているときも眼振が疑われます。先天性の眼振の多くでは、眼振の症状が軽くなる静止位(null point)という視線方向があります。
先天性の眼振には視線の方向によって、眼の揺れ方がひどくなったり、おさまったりすることがあり、静止位は、もっとも眼振がおさまる視線方向のことです。子どもはその視線方向でものを見るために、顔を動かして調整しようとします。そのため、不自然に頭を傾けるなどの様子が見られます。
これらの様子が見られたからといって、必ずしも病的な眼振というわけではありません。しかし、万が一のために、もし子どもにこのような様子が見られたときは、眼科で相談することがおすすめです。
そのため、本人みずから不調を訴えることは少なく、子どもの場合は特に気づきにくいです。眼科に行ったときや第三者に眼球が動いていることを指摘されたときにはじめて眼振かもしれないと疑うことになります。視覚的に眼球が動いていることが確認できた場合以外にも、子どもの眼振が疑われるケースがいくつかあります。
◇注視・追視が見られない
赤ちゃんは生まれた直後から、目の前のものを見つめること(=注視)ができます。また、生まれた直後は視力が低く、目の前を動いているものを目で追うこと(=追視)はできませんが、数か月すると視力が発達して動くものを目で追えるようになります。
眼振のある子どもは、注視や追視ができないことがあるので、ずっと目がきょろきょろしていたり、目の前で手を振っても目で追わなかったりします。これらの様子が見られるときは眼振の可能性があり、注意が必要です。
◇不自然に頭を動かしている
子どもが、不自然に首を傾けていたり、あごを上下に動かしたりしているときも眼振が疑われます。先天性の眼振の多くでは、眼振の症状が軽くなる静止位(null point)という視線方向があります。
先天性の眼振には視線の方向によって、眼の揺れ方がひどくなったり、おさまったりすることがあり、静止位は、もっとも眼振がおさまる視線方向のことです。子どもはその視線方向でものを見るために、顔を動かして調整しようとします。そのため、不自然に頭を傾けるなどの様子が見られます。
これらの様子が見られたからといって、必ずしも病的な眼振というわけではありません。しかし、万が一のために、もし子どもにこのような様子が見られたときは、眼科で相談することがおすすめです。
先天性の眼振の治療法は?
先天性の眼振に対して、さまざまな治療法が考えられていますが、いまだに眼の揺れそのものを治す方法は見つかっていません。先天性の眼振の治療は対症療法になります。
子どもの視力がメガネやコンタクトで矯正できる場合には、できるだけ矯正することが推奨されています。具体的な対症療法を紹介します。
子どもの視力がメガネやコンタクトで矯正できる場合には、できるだけ矯正することが推奨されています。具体的な対症療法を紹介します。
プリズム療法
プリズム療法は主に、乳幼児を対象に行われます。プリズム療法は、メガネをかけると視力が矯正できるのと同じように、特殊なメガネを使うことで眼振の症状を軽減する療法です。
そもそもプリズムは、光の進行方向を曲げるものです。ヒトがなにかを見えたと感じるのはすべて、光が目の中に入り、その情報が処理されるからです。プリズムによって光を曲げるというとイメージがつきにくいかもしれませんが、光の進む向きが変わることは身近なところで起きています。
例えば川の底を見て浅いと思ったのに意外と深かったケースも実は水によって光が曲げられているために起こります。
このように、目と見たいものの間に、水やプリズム、ガラスなどがあると光の進行方向が曲げられてしまいます。プリズム治療はこの光が曲げられる性質を利用した療法です。
プリズム治療のメカニズムは大きく2つあります。
1.静止位にあわせる
眼振の子どもには、見やすい位置(=静止位)があります。その位置で見るために不自然に頭を動かすので頭位異常が起きていました。
それなら、特殊なメガネで目に入ってくる光の位置を調整してあげれば、頭を動かさず正面を向いたままでも見やすくなるのではというのが1つ目の考え方です。
2.輻湊(ふくそう)による眼振の軽減を利用する
先天性の眼振では、眼を内側に寄せる(=輻湊)と眼振の症状が軽くなったり視力があがったりすることが多いとされています。
この療法では、特殊なメガネで遠くのものを見るときでも、まるで近くのものを見ているかのように光の進行方向を変化させ、目を内側に寄せるように促します。そうすることで、眼振の症状を軽くするという治療です。
そもそもプリズムは、光の進行方向を曲げるものです。ヒトがなにかを見えたと感じるのはすべて、光が目の中に入り、その情報が処理されるからです。プリズムによって光を曲げるというとイメージがつきにくいかもしれませんが、光の進む向きが変わることは身近なところで起きています。
例えば川の底を見て浅いと思ったのに意外と深かったケースも実は水によって光が曲げられているために起こります。
このように、目と見たいものの間に、水やプリズム、ガラスなどがあると光の進行方向が曲げられてしまいます。プリズム治療はこの光が曲げられる性質を利用した療法です。
プリズム治療のメカニズムは大きく2つあります。
1.静止位にあわせる
眼振の子どもには、見やすい位置(=静止位)があります。その位置で見るために不自然に頭を動かすので頭位異常が起きていました。
それなら、特殊なメガネで目に入ってくる光の位置を調整してあげれば、頭を動かさず正面を向いたままでも見やすくなるのではというのが1つ目の考え方です。
2.輻湊(ふくそう)による眼振の軽減を利用する
先天性の眼振では、眼を内側に寄せる(=輻湊)と眼振の症状が軽くなったり視力があがったりすることが多いとされています。
この療法では、特殊なメガネで遠くのものを見るときでも、まるで近くのものを見ているかのように光の進行方向を変化させ、目を内側に寄せるように促します。そうすることで、眼振の症状を軽くするという治療です。
バイオフィードバック療法
バイオフィードバック療法は、プリズム治療の2つ目と同様に、輻湊を利用した療法です。眼球運動を音に変える装置をつかって、子ども自身が聞こえてくる音で判断しながら、輻湊を意識的におこなって眼振の症状を軽くするコツを体で憶える方法です。
この療法は、眼振を完治させるのではなく、子どもが眼球運動を止める必要があるときに意図的に眼振を止めることができるようになるのが目的です。
この療法は、眼振を完治させるのではなく、子どもが眼球運動を止める必要があるときに意図的に眼振を止めることができるようになるのが目的です。
薬物療法
眼振の治療方法の1つとして、薬が用いられる場合があります。
近年、内服薬や目薬によって、眼振の症状が抑えられるという報告はいくつかされています。例えば、てんかん治療で使われるガバペンチンが乳児の眼振に、筋肉の硬調に有効なバクロフェンが周期交替制眼振に有効だと報告されています。
しかし、それらの薬が眼振に有効だという明確な証拠は見つかっておらず、さらなる研究が必要です。
近年、内服薬や目薬によって、眼振の症状が抑えられるという報告はいくつかされています。例えば、てんかん治療で使われるガバペンチンが乳児の眼振に、筋肉の硬調に有効なバクロフェンが周期交替制眼振に有効だと報告されています。
しかし、それらの薬が眼振に有効だという明確な証拠は見つかっておらず、さらなる研究が必要です。
手術療法(外科手術)
手術療法が行われるのは以下の場合です。
顔の向きが正面を向いていない。かつ、顔の向きが正面でないほうが、視力がよかったり眼球が動きにくくなったりする。
手術療法は、眼球の周りの筋肉を調整することで、眼振の症状が治まる顔の向きが正面でなかったのを正面に変える療法だといえます。こうすることで、眼振自体を治療することはできなくても、眼振が原因で生じていた頭位異常を抑えることができます。
顔の向きが正面を向いていない。かつ、顔の向きが正面でないほうが、視力がよかったり眼球が動きにくくなったりする。
手術療法は、眼球の周りの筋肉を調整することで、眼振の症状が治まる顔の向きが正面でなかったのを正面に変える療法だといえます。こうすることで、眼振自体を治療することはできなくても、眼振が原因で生じていた頭位異常を抑えることができます。