後天性の眼振の特徴

ここまで、先天性の眼振を見てきましたが、この章では後天性の眼振についてみていきます。後天性の眼振は、先天性の眼振とは異なり、めまいや耳鳴りなどの症状が起こりやすいのが特徴的です。

後天性の眼振の種類

後天性の眼振は大きく5つの原因に分けることができます。

3章で触れた、ものを見るときに必要な
・固視できるかどうか
・前庭眼反射が正常かどうか
・固視を維持することができるかどうか
のいずれかに異常が見られる場合と、

これらの他に、以下で説明する
・薬剤性眼振
・てんかん眼振

の2種類が加わります。

◇薬剤性眼振
薬剤性眼振は、水平性と垂直性が混ざったような眼球運動がおこります。

薬剤性眼振は中枢神経を抑制するような薬を服用していることが原因で発生する眼振です。ヒトは全身に神経を張りめぐらしていますが、中枢神経はそれらのなかで中心的な働きをするもので、脳や背骨のなかにある神経のことです。

◇てんかん眼振
てんかん眼振は、てんかん発作中に生じる水平性の律動眼振(目がゆっくりずれていき、急に元の位置に戻る)です。てんかん眼振には次のような傾向が見られます。

・通常、数分間でおさまる。(持続する場合もあるので注意が必要)
・けいれんが止まったときに、両目が同じ方向を向いたままになるが、眼振は静止する。
・脳波を調べると、てんかん特有の波長が見られることがある。
・こわばりからけいれんが起こる強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作が伴う。

また、てんかん眼振の治療は抗けいれん薬で行われます。
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てんかんとは?原因や発作の種類、発達障害との関係や支援制度について紹介します!【医師監修】

後天性の眼振の治療法は?

後天性の眼振は、さまざまな原因が考えられ、多岐にわたるため、まずはその原因を追究することが大切です。

頭位異常が見られる場合には手術が行われたり、後天性の眼振のもとになっている疾患を治療したりすることで、眼振を治療していきます。
参考書籍:江本博文 清澤源弘 藤野貞/著者『神経眼科 臨床のために 第3版』(医学書院・2011)
https://www.amazon.co.jp/dp/4260013750

まとめ

眼振は、その原因や症状の表われ方に非常に多くの種類がある疾患です。

人によってはめまいを訴えたりすることもあるほか、本人の自覚症状がなくとも、眼振によって頭位異常が起きて、周りから目つきが悪いと思われたり、そっぽを向いていると勘違いされたりしてしまうこともあります。

現在、眼振そのものの治療法は確立されていませんが、眼振の種類によっては後遺症もなく治る場合もあります。それに、眼振そのものを治すことが難しくても、眼振の症状にアプローチしていくことで、眼振のある子ども自身が生活しやすくすることはできます。

もし、子どもに少しでも眼振が疑われるような様子が見られたときには、眼科にかかり専門家に診てもらうようにしてください。
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