双極性障害の診断基準は?

米国精神医学会の診断基準『DSM-5』(精神疾患の精神疾患の診断・統計マニュアル)では特徴によって、
・双極I型障害
・双極II型障害
という2つの型に区別して診断されます。
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DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)とは?概要、作成目的、ICDとの違いを解説します

双極性障害の治療法

双極性障害の治療には、躁状態やうつ状態の治療と、再発を防ぐための治療があります。それぞれ見ていきましょう。

躁状態やうつ状態の治療

双極性障害の治療において第一の大きな柱となるのは、薬物療法です。
薬は、気分安定薬と非定型抗精神病薬が第一選択となりますが、患者さんによって効く薬が異なるため、ほかにも多くの種類の薬があります。

気分や意欲が周期的に変化し、高い再発率で知られる双極性障害の患者さんが安定した生活を送るためには、症状をコントロールしながら再発予防に努めることが双極性障害を治療するうえでのポイントとなります。

そこで、再発を防ぐ維持療法の段階に入ると、もう1つの柱として心理社会的治療が重要になります。以下では薬物療法と心理社会療法のそれぞれについてもう少し詳しく紹介します。

◇薬物療法
双極性障害の薬物療法では人によって効く薬が違うため、さまざまな選択肢がありますが、気分安定薬の一つであるリチウムの使用が基本中の基本とされており、双極性障害の患者の約7割から8割に対してはっきりとした効果があるとされています。

躁とうつは対極の症状なので、薬も正反対の作用のものを用いると思われることが多いです。しかし、躁・うつはどちらも気分が大きく乱れた状態です。

そのため、薬で気分を安定させることで両方の症状に対して効果が見込めるのです。これを気分安定薬といいます。

気分安定薬のほかにも抗精神病薬などが用いられることはあります。それぞれ以下のような効果がありますが、ほとんどの場合、気分安定薬が第一選択となります。
気分安定薬…躁状態の改善・予防、自殺予防に有効
抗精神病薬…躁状態、幻聴・妄想に有効

より詳しい薬の情報については、以下のガイドラインをご参照ください。
参考:「日本うつ病学会治療ガイドライン」
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/180125.pdf
参考:「双極性障害の診断と治療」
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1120121261.pdf
◇心理社会的療法(精神療法)
心理社会的治療は広い意味での精神療法で、再発を予防する上では薬と同じように重要な役割を果たします。

心理社会療法では、患者さんが療養に取り組む上での精神面をサポートしていくことが目的になります。双極性障害の精神療法の中でも中心となるのは心理教育です。患者さんは心理教育を通して双極性障害に対する知識を深めるとともに、その「再発しやすい」性質を理解し、日々の生活の中で再発のリスクを減らす方法について医師と話し合っていきます。

再発率の高い双極性障害の治療においては、薬物療法によって症状を改善してからが本番であるとも言われます。症状が落ち着いた後も、毎日をどう過ごすのかがとても重要です。

服薬を継続しながら、運動や睡眠、ストレスへの対処法などを工夫することで気分の波をコントロールすることができます。
参考:双極性障害|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_bipolar.html
参考:よくわかる双極性障害(躁うつ病) (セレクトBOOKS) 貝谷 久宣
https://www.amazon.co.jp/dp/4072878308

再発を防ぐ治療

再発を防ぐ治療は、症状が落ち着く寛解期に行います。双極性障害の治療において、再発を防ぐことは非常に大切です。というのも、双極性障害を再発すると、同じような症状が繰り返されるわけではなく、症状が重くなることが多く、何度も再発をしているうちに、社会的にさまざまなものを失ってしまう可能性があるからです。

再発を防ぐ治療といっても、なにか特殊なことをするわけではありません。最大の再発を防ぐ治療は、今までどおり薬を飲み続けることです。症状が治まってきたからといって、自分で薬を減らしたり、飲むことをやめたりしてはいけません。医師の指示に従うようにしましょう。

双極性障害の人に対して周囲はどのように接するべき?

序章で触れたとおり、双極性障害の完治はとても難しいと言われています。また、最悪の場合には自ら命を絶つ可能性もある病気です。そして双極性障害は、誰でもかかる可能性のある病気でもあります。

家族や結婚相手、恋人、親友など、大切な人が双極性障害であるとわかったとき、どのように支えていくべきなのか、必要な心構えと注意すべきポイントについてお話します。

まずは本人とよく話し合うこと

このような認識の違いは家庭内でストレスを生み、それが病気の再発へとつながってしまう可能性があります。そうならないためにも、本人と話し合うことによってこのような認識のギャップについて、互いに把握しておく必要があります。

また、再発の際にどのような症状が現れるのかを周囲の人が知っておくことも大切です。過去に躁状態になったときのことを振り返り、最初にどんな症状が現れたのかを共有しておくことで、早くから再発の兆しを発見し早期対処できるようになります。

躁状態のときの対応

躁状態のときには、普段のその人とは全く違う態度や言動を取ったり、信じられない額の浪費をしてしまったりします。そのため周囲も驚いたり、困惑したり、ときには感情的になってしまったりすることもあるのではないかと思います。

しかし、そうした普段とは違う態度・言動はいずれも病気によって引き起こされている「症状」であるため、できるだけ早期に受診あるいは担当医に相談することが望まれます。

ですが、躁状態の場合、本人の自覚が乏しく、病院へ連れていくのが難しいことがあります。そのようなときには、できるだけ刺激しないように心がけながら、「あなたのことを心配している」という事実を伝えましょう。

その人が信頼・尊敬している人から説得してもらうという方法もうまくいくことがあるようです。

ほかにも様々な手段が考えられますが、本人を騙して病院に連れていくことは避けましょう。騙されたと知ることでさらなるストレスがかかり症状の悪化へとつながったり、以降の関係にわだかまりが残り治療が困難になったりする可能性があります。

うつ状態のときの対応

うつ状態は、本人にとって最も辛くて厳しい期間です。まずはそのことをしっかりと理解しましょう。

うつ状態のとき周囲の人が注意すべきポイントは、
・責めるようなことを言わないこと
・自殺の予兆に気づき、予防すること
の2点です。

繰り返しになりますが、うつ病で一番苦しい思いをしているのは患者さん本人です。そのため、「ダラダラするな」「甘えるな」など怠け者扱いするような言動や、「がんばれ」「いつ治るの」といった元気になるのを無理に急かすような発言はしないようにしましょう。

さらに、悲しいことに双極性障害の症状によって自殺をしてしまう人もいます。
・「死にたい」「消えたい」と口にする
・遺書を書く
・周囲の人にお礼や別れを告げる
・身辺整理をする
・お酒を暴飲する
などのサインが見られたら早急に主治医に相談し、予防策を取ることが求められます。
参考:加藤忠史先生に「双極性障害」を訊く|日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=27
参考:躁うつ病の人とのつきあい方(友人・家族)|特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構(COMHBO)
https://www.comhbo.net/?page_id=7528
次ページ「双極性障害の人が受けられる可能性のある支援」

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