成長障害とは?低身長と高身長の基準はあるの?原因や治療方法を詳しく解説します!
ライター:発達障害のキホン
成長障害とは、年齢に応じた標準身長からのずれが著しい状態を指します。年齢ごとの平均身長と比べて明らかに低すぎたり、高すぎたりする場合、成長障害の可能性があるかもしれません。この記事では成長障害の原因や治療方法などを、子どもの身長が伸びるメカニズムと合わせて説明します。
成長障害とは?
成長障害とは、各年齢の標準身長と比べて、極端に身長が低かったり高かったりすることを指します。
子どもが大きくなることを、「成長」「発達」などとさまざまな表現で表わします。広義では、子どもが大きくなるという意味合いはどちらにもあてはまりますが、正確には違いがあります。
「成長」は、見た目からわかるような、身体のサイズが大きくなることを指します。一方、言葉が上手に話すことができるようになったり、友達とうまく付き合うことができるようになったりするなど、身体の機能や精神面が育つことは「発達」と言われています。
子どもが大きくなることを、「成長」「発達」などとさまざまな表現で表わします。広義では、子どもが大きくなるという意味合いはどちらにもあてはまりますが、正確には違いがあります。
「成長」は、見た目からわかるような、身体のサイズが大きくなることを指します。一方、言葉が上手に話すことができるようになったり、友達とうまく付き合うことができるようになったりするなど、身体の機能や精神面が育つことは「発達」と言われています。
つまり、成長障害の「成長」が指すのは、身体の、主に身長の伸びのことです。それゆえ、成長障害は身長の伸びに対する何らかの障害を指します。
成長障害についての本やウェブサイトには、低身長を中心に取り上げられていることが多いですが、成長障害には平均身長から極端に外れるような高身長も含まれます。
成長障害の判断は、子どもの身長と年齢をグラフ化した「成長曲線」をもとに行われます。成長曲線を通して、その子どもの身長がどんなペースで伸びているのか、平均とどのくらい違いがあるのかを明らかにし、成長障害といえるのかどうか判断します。
つまり、自分の子どもが他の子どもと比べて身長があまりに低い・高いからといってそれが必ずしも成長障害であるとは限りません。あくまでも子ども1人の成長の記録を見ることで、身長の伸びに異変がないかどうかを見ていくことが大切です。
成長障害についての本やウェブサイトには、低身長を中心に取り上げられていることが多いですが、成長障害には平均身長から極端に外れるような高身長も含まれます。
成長障害の判断は、子どもの身長と年齢をグラフ化した「成長曲線」をもとに行われます。成長曲線を通して、その子どもの身長がどんなペースで伸びているのか、平均とどのくらい違いがあるのかを明らかにし、成長障害といえるのかどうか判断します。
つまり、自分の子どもが他の子どもと比べて身長があまりに低い・高いからといってそれが必ずしも成長障害であるとは限りません。あくまでも子ども1人の成長の記録を見ることで、身長の伸びに異変がないかどうかを見ていくことが大切です。
成長障害の理解のために押さえたい!成長曲線・SDとは?
子どもの身長の伸びを正確に理解したり、成長障害であるのかどうかを判断したりするためには「成長曲線」と「SD」についての理解が重要となってきます。一見わかりにくい「成長曲線」と「SD」について、詳しく説明します。
成長曲線とは?
成長曲線とは、子どもが生まれてから身長の伸びが止まるまでの間、身長と体重の伸び方や増え方をグラフ上に記録したもののことです。
通常、身長の伸びが止まるとは、思春期を過ぎ、子どもの身長の成長速度が1年間で1cm程度になった年齢を目安としています。大半の成長曲線の年齢軸には0歳から18~20歳までの目盛がふられているため、おおよそこの年齢の間、身長を記録していきます。
よく使われる成長曲線は、横軸に年齢、縦軸に身長が記入できるようになっています。成長曲線から、子どもの年齢が増えるにつれて、どのくらいのペースで成長しているのかを客観的に確認することができます。
成長曲線に子どもの身長を記録することで、平均の身長と比べて身長が低すぎるのか、高すぎるのか、などが明らかになります。このように子どもの成長を目に見える形で記録すると、身長の伸びに異変が起きた時、早めに気づくことができます。もし、成長障害が何らかの病気が原因でもたらされている場合、その病気の早期治療にもつながります。そのため、子どもの身長を計測した時に、ただ数値を記録するだけでなく、成長曲線というグラフで記録することが重要です。
通常、身長の伸びが止まるとは、思春期を過ぎ、子どもの身長の成長速度が1年間で1cm程度になった年齢を目安としています。大半の成長曲線の年齢軸には0歳から18~20歳までの目盛がふられているため、おおよそこの年齢の間、身長を記録していきます。
よく使われる成長曲線は、横軸に年齢、縦軸に身長が記入できるようになっています。成長曲線から、子どもの年齢が増えるにつれて、どのくらいのペースで成長しているのかを客観的に確認することができます。
成長曲線に子どもの身長を記録することで、平均の身長と比べて身長が低すぎるのか、高すぎるのか、などが明らかになります。このように子どもの成長を目に見える形で記録すると、身長の伸びに異変が起きた時、早めに気づくことができます。もし、成長障害が何らかの病気が原因でもたらされている場合、その病気の早期治療にもつながります。そのため、子どもの身長を計測した時に、ただ数値を記録するだけでなく、成長曲線というグラフで記録することが重要です。
SDとは?
SDとは、標準偏差(Standard Deviation)の略称を指します。成長障害や子どもの身長に関してSDは、子どもの身長が、平均身長と比べるとどの程度低いのか、高いのか、客観的に判断するための基準という役割を果たします。
先ほどもご紹介したように、成長障害には大きく分けて低身長と高身長という2つのパターンがあります。医学的に診療の対象になる低身長は、-2SD以下、高身長は+2SD以上と言われています。医学的に基準が設けられた低身長や高身長はそれぞれ、同い年の子どもの中で2%程度いると言われています。
先ほどもご紹介したように、成長障害には大きく分けて低身長と高身長という2つのパターンがあります。医学的に診療の対象になる低身長は、-2SD以下、高身長は+2SD以上と言われています。医学的に基準が設けられた低身長や高身長はそれぞれ、同い年の子どもの中で2%程度いると言われています。
成長障害の原因とは?
成長障害になる原因には、何が考えられるのでしょうか。低身長と高身長に分けて、それぞれの原因や隠れている可能性のある病気に関して説明します。
低身長
低身長とは、その年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が低い状態を指します。医学的には、-2SD以下の身長の伸びを記録していると、低身長と認められます。低身長は、原因別に考えると以下の3つが挙げられます。
・特発性低身長(原因不明)
・家族性低身長
・病気が原因で起こる低身長
低身長は、特発性低身長と呼ばれる、これといった原因がない・体質的なものである、という場合が大半です。また、身長の伸びはある程度親の影響を受けるものなので、両親が小柄な場合、子どもも小柄になることがあります。
一方、病気が原因で低身長になっている場合は、以下のような病気が考えられます。
・特発性低身長(原因不明)
・家族性低身長
・病気が原因で起こる低身長
低身長は、特発性低身長と呼ばれる、これといった原因がない・体質的なものである、という場合が大半です。また、身長の伸びはある程度親の影響を受けるものなので、両親が小柄な場合、子どもも小柄になることがあります。
一方、病気が原因で低身長になっている場合は、以下のような病気が考えられます。
■成長ホルモンや甲状腺ホルモンの病気
出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。
低身長の原因に病気が関わっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が低下することで発症する、成長ホルモン分泌不全性低身長症と甲状腺機能低下症が一番多いと言われています。
このようなホルモンの分泌不足が原因で低身長になっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンを治療で補うことで、身長の伸びを促進することができます。成長ホルモンなどにまつわる詳しい治療方法はこの後解説します。
■染色体の病気(ターナー症候群、プラダー・ウィリ症候群)
ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。ターナー症候群が原因で低身長を引き起こした場合も、成長ホルモン治療や女性ホルモン治療など、足りないホルモンを外から補う方法が効果的な治療法とされています。
プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、また、お乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。プラダー・ウィリ症候群によって低身長になっている場合も、成長ホルモン治療が有効とされています。他にも、食事や運動療法を通じて症状の改善が見られる場合もあるようです。
出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。
低身長の原因に病気が関わっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が低下することで発症する、成長ホルモン分泌不全性低身長症と甲状腺機能低下症が一番多いと言われています。
このようなホルモンの分泌不足が原因で低身長になっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンを治療で補うことで、身長の伸びを促進することができます。成長ホルモンなどにまつわる詳しい治療方法はこの後解説します。
■染色体の病気(ターナー症候群、プラダー・ウィリ症候群)
ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。ターナー症候群が原因で低身長を引き起こした場合も、成長ホルモン治療や女性ホルモン治療など、足りないホルモンを外から補う方法が効果的な治療法とされています。
プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、また、お乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。プラダー・ウィリ症候群によって低身長になっている場合も、成長ホルモン治療が有効とされています。他にも、食事や運動療法を通じて症状の改善が見られる場合もあるようです。
ターナー症候群とは?特徴や合併症、検査内容、治療法などをご紹介します
低緊張とは?赤ちゃんの筋緊張低下の症状や関連する疾患、障害など【医師監修】
■子宮内発育不全(SGA性低身長症)
母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2,3歳までに急速に成長し、標準身長に追い付く一方、2,3歳になっても標準身長に追い付くことができない場合もあります。この、標準身長に一定の年齢になっても追い付くことができず低身長になることを、SGA性低身長症と言います。
SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。
SGA性低身長症に関しても、成長ホルモン治療が平成21年度から認められたため、医師からの診断を得次第、成長ホルモン治療をすることができます。
■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症、軟骨無形成症)
骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。
このような骨や軟骨の病気に関しても、成長ホルモン治療が有効とされているほか、整形外科での治療を施すこともあります。
■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常
心臓や肝臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。このような場合、何よりもまず臓器の病気への治療を行います。治療をし、病気の回復に伴って身長の伸びも良くなることが考えられます。
母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2,3歳までに急速に成長し、標準身長に追い付く一方、2,3歳になっても標準身長に追い付くことができない場合もあります。この、標準身長に一定の年齢になっても追い付くことができず低身長になることを、SGA性低身長症と言います。
SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。
SGA性低身長症に関しても、成長ホルモン治療が平成21年度から認められたため、医師からの診断を得次第、成長ホルモン治療をすることができます。
■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症、軟骨無形成症)
骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。
このような骨や軟骨の病気に関しても、成長ホルモン治療が有効とされているほか、整形外科での治療を施すこともあります。
■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常
心臓や肝臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。このような場合、何よりもまず臓器の病気への治療を行います。治療をし、病気の回復に伴って身長の伸びも良くなることが考えられます。
高身長
高身長とは、低身長の反対でその年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が高い状態のことです。医学的に+2SD以上の身長記録があると、高身長であると認められます。高身長も低身長と同様に、原因ごとに以下の3つのパターンがあります。
・特発性高身長(原因不明)
・家族性高身長
・病気が原因で起こる高身長
特に高身長の場合は、低身長の時よりも不安を感じることが少なく、「すくすくと大きく育っている!」とむしろ喜ばしく思うことが大半だと思います。もちろん、高身長の多くの場合は病気と関係なく起こりますが、高身長にも病気が影響していることがあります。考えられる病気には、以下のようなものが挙げられます。
・特発性高身長(原因不明)
・家族性高身長
・病気が原因で起こる高身長
特に高身長の場合は、低身長の時よりも不安を感じることが少なく、「すくすくと大きく育っている!」とむしろ喜ばしく思うことが大半だと思います。もちろん、高身長の多くの場合は病気と関係なく起こりますが、高身長にも病気が影響していることがあります。考えられる病気には、以下のようなものが挙げられます。
■ホルモン分泌に関する病気
成長ホルモンの分泌過剰による下垂体性巨人症や、甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が考えられます。低身長の場合とは反対で、成長に関するホルモンが必要以上に分泌される病気が影響し、高身長になります。
また、高身長の原因として、思春期早発症ということも考えられます。思春期早発症とは、性ホルモンが突然過剰に分泌されることで、思春期に見られる身体の変化が早期に起こることです。思春期の身体の変化の一つとして身長の伸びが目立って見られる、ということがありますが、思春期早発症の場合、この目立つ身長の伸びも早く見られるため、極端な高身長につながる可能性があります。
■染色体・遺伝子に関する病気
染色体や遺伝子など、いわゆる先天的な病気が原因で、高身長になっていることもあります。高身長につながる先天的な病気には以下のようなものがあります。
・マルファン症候群
・ホモシスチン尿症
・ソトス症候群
・ベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群
・クラインフェルター症候群
いずれも難病指定をされていたり、小児特定慢性疾患であったりする、発症率から見ると比較的まれな病気であると言えます。いずれも専門的な治療を必要とするため、もしこのような病気への不安がある場合、難病や小児特定慢性疾患に関する専門的な診断・治療を行っている病院へ相談に行くことをおすすめします。
成長ホルモンの分泌過剰による下垂体性巨人症や、甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が考えられます。低身長の場合とは反対で、成長に関するホルモンが必要以上に分泌される病気が影響し、高身長になります。
また、高身長の原因として、思春期早発症ということも考えられます。思春期早発症とは、性ホルモンが突然過剰に分泌されることで、思春期に見られる身体の変化が早期に起こることです。思春期の身体の変化の一つとして身長の伸びが目立って見られる、ということがありますが、思春期早発症の場合、この目立つ身長の伸びも早く見られるため、極端な高身長につながる可能性があります。
■染色体・遺伝子に関する病気
染色体や遺伝子など、いわゆる先天的な病気が原因で、高身長になっていることもあります。高身長につながる先天的な病気には以下のようなものがあります。
・マルファン症候群
・ホモシスチン尿症
・ソトス症候群
・ベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群
・クラインフェルター症候群
いずれも難病指定をされていたり、小児特定慢性疾患であったりする、発症率から見ると比較的まれな病気であると言えます。いずれも専門的な治療を必要とするため、もしこのような病気への不安がある場合、難病や小児特定慢性疾患に関する専門的な診断・治療を行っている病院へ相談に行くことをおすすめします。
クラインフェルター症候群って?男性にだけ発症するの?特徴や発達障害との関係性についても紹介します