どうか、LD(学習障害)のある子には「できる子」として接してあげて下さい。

ライター:楽々かあさん
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小さな頃は学ぶことが大好きだった長男。ところが、彼には「LD」があり、字を書くことが苦手で、学校のテストの点や成績は、学年を追うごとに下がっていきました。でも「その子に合った方法」ならできるのです。最近再び、学ぶことへの意欲が出て来た長男。それでも…彼は今、「勉強ができなかった自分」と戦っています。そんな我が子の姿を前に、私がどうしても伝えたいこと。

テストの点や成績が悪くても、「勉強ができない子」なんかじゃない

小さな頃は、学ぶことが大好きだった長男。1日中飽きもせず、数字のマグネットを眺めて、並べて、会話して、数の法則を発見して、まさに「数字が友だち」状態でした。

イタズラっ子で好奇心も強く、大好きな「機関車トーマス」、「マーク」や「宇宙」の図鑑はボロボロになり、内容を全部覚えてしまいました。

当時の長男は、幼稚園では毎朝登園しぶりをするし、お友だちとはうまくいかないことが多かったけれど、私は「この子は、学ぶことがこんなに大好きなんだから、小学校に行ったらきっと勉強で自信をつけてあげられるハズ」と思っていました。
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ところが、そこで待っていた現実はまったく逆。長男の学校の成績は、学年を追うごとに下がっていきました。

宿題の漢字書き取りは泣いて嫌がるし、ノートもロクに取らない。得意なハズの算数だって、九九も覚えられないし、筆算もミスばかり…

あんなに勉強が好きだったのに、なんで!?どうして!?私は長男の白紙回答のテストにも、「がんばりましょう」ばかりの成績表にも、なんだか納得できませんでした。

だって、話してみれば、興味を持ったことには博学で、一つのことをじっくり考え、ユニークな独自の発想ができる長男。私は、彼を「勉強のできない子」だとは、到底思えなかったのです。

そんな中、長男には当時の基準で「アスペルガー症候群」の診断がつき、発達障害があることが分かりました。そして私は、発達障害について知るうちに、長男はADHDとLDの特徴も併せ持っていることにも、気づいていったのです。

そう。長男のテストの点や成績の悪さは、LD(学習障害/学習症)の部分に、原因と理由があったのです。学校の成績が悪いのは、彼の努力不足のせいなどではなかったのです。

そんな長男や、同時代を生きる、同じようなお子さん達の姿を前に、私が切に願うことを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。

そもそも「LD」って…?

そもそも、「LD」って何でしょうか…?
学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。
出典:https://h-navi.jp/column/article/41
発達障害の種別(ASD、ADHD、LD)と重なり、濃淡によって、その特性の現れ方は異なる
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実は「LD」の特徴は、身近で誰にでも起こりうる発達の偏りでもあり、「障害」として診断される程ではなくても、LD的な「部分」がある人は、結構な割合でいるようです。

例えば、方向音痴で地図を読むのがなんとなく苦手、人の顔と名前を覚えるのだけは割と時間がかかってしまう、なんていう「局所的な苦手さ」は、思い当たることがある方も多いのではないでしょうか(私もです!)。

LDのある子・方は、そんな「局所的な苦手さ」が、たまたま勉強に必要な、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という分野にあり、スムーズな学習への障害物になっている、ということだと私は理解しています。

そして、LDのうち、特に「読み・書き・計算」に困難さが強く表れている場合、それぞれ「ディスレクシア(読字障害)」「ディスグラフィア(書字障害)」「ディスカリキュア(算数障害)」と更に分類されます。

長男の場合、「ディスグラフィア(書字障害)」の特徴があり、文字を書くことが全般的に苦手で、特に漢字は何回書いても覚えられませんでした。

そのため、筆算で「繰り上がりの小さな字を書く」ことが負担だったり、また、「九九や公式の丸暗記」などに、局所的な苦手さがあるため、得意なハズの算数でも、充分に実力を発揮することができなかったようです。

いくら成績表で「がんばりましょう」と言われても、本人の「努力では乗り越えられない壁」があったのです。
LD・SLD(限局性学習症)とは?症状や特徴、診断方法について【専門家監修】のタイトル画像

LD・SLD(限局性学習症)とは?症状や特徴、診断方法について【専門家監修】

参考書籍「怠けてなんかない! ディスレクシア~読む書く記憶するのが困難なLDの子どもたち」 品川 裕香 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4265801269

「その子に合った学び方」ならできる!

発達の凸凹がその子の全てではない。子供の成長過程を木になぞらえて表現している
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でも、局所的な「できないこと・苦手なこと」の説明だけでは、LDのある子の本当の姿を語り尽くすことはできません。

なぜなら、LDがある子は、苦手な部分の発達の凹がある反面、得意な部分の発達の凸だって、同時に育っていることも多いからです。

私は、長男の場合、「漢字をひたすら書いて覚える」「九九を丸暗記する」ための脳の部分にゆくハズの栄養が、み〜んな別のところがぐんぐん育つために使われてしまっているのだ、と思っています。

例えば、長男は四年生の時、47都道府県を漢字で答えるテストは、ほぼ白紙回答でお手上げでしたが、実は「地図パズル」などの立体的な形でなら、目隠しをしても、全ての都道府県名を触って当てられる、という特技があります。

知能検査では「視空間認知」という分野などに強さが見られる長男は、立体を使い、手で触って確かめるという方法なら、俄然分かりやすいのです。

それから、ラーメンを作った時に「かあちゃん、見て!秋田県!!」と、焼きのりで秋田県の形を、何も見ずに正確に表現して見せてくれたこともあります。

こんな長男の学習面の長所は、テストの回答用紙がのりで配布される日がやって来ない限り、学校で陽の目を見ることはないでしょう。
でも、現在は通常学級で学んでいる長男は、家での工夫・サポート・療育あそびを気長に続け、学校と連携して支援や合理的配慮をお願いしてきたことと、本人の自然な成長もあって、ほどほどに黒板を写して、ノートが取れるようになりました。

(ただし、「ノート書くのをがんばってると、先生の話が半分くらいしか分からない」とも言い、iPadで予習しています)

ケタの多い筆算も、自分なりに工夫してできるようになりました。
LDのある、小さな字を書くことが難しい子のための、ふせんを使った筆算の工夫
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そして最近は、学校の教科書は一旦脇に置いて、視覚的・体感的な学び方の工夫をしたり、彼の興味関心や理解度、集中力に合わせるなど「長男の学び方に合わせる」ことで、再び小さな頃のように、キラキラした目で「勉強が楽しい!」というようになりました。

LDのある子は、決して「勉強ができない」のではありません。

「その子に合った学び方」なら、できるのです。

たまたま、35-40人が1クラスで一斉一律に行われる、日本の小学校で伝統的な読み・書き・計算中心の授業スタイルが、その子が得意な学び方とは「違う」というだけのことなのです。

そしてLDのある子が、無理をして自ら日本の集団教育のスタイルに合わせようとした結果、心身に大きな負担がかかってしまうように思えます。

そんな中で、LDのある子が通常級の授業や、テストや受験の際に、タブレットやパソコンの持ち込み、代読や代筆、別室受験や、試験時間の延長などの「合理的配慮」をお願いすることを「ズルイ」「不公平」だというのは、私は、視力の弱い人にメガネを使わないように求めるのと同じだと思うのです。
参考:楽々かあさんメルマガ「書字まとめ あの長男が、黒板を写し始めました。」
http://www.rakurakumom.com/so/4LeWVNum#/main
参考書籍「算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?」バーバラ エシャム (著)、品川 裕香 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4265850367
くもんの日本地図パズル
https://www.amazon.co.jp/dp/B005ZQJ2BW
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