低身長とは?子どもの身長が伸びる仕組みって? 低身長の基準、原因、治療方法を詳しく解説します!

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低身長とは、その年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が低い状態のことです。子どもの身長の伸びを記録した時に、平均より大幅に身長が低かったり、年間の身長の伸び率がずっと低いままだったりする場合、低身長かもしれません。この記事では低身長の基準や原因、治療方法はもちろん、身長の伸びる仕組みや身長に関する噂の真偽についても説明していきます。

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目次
  • 低身長とは
  • 低身長の原因には何があるの?
  • 身長が伸びる仕組みとは
  • 低身長で受診する時の検査内容って?
  • 低身長に有効な成長ホルモン治療ってどんな治療法?
  • 低身長の治療費用・保険適用についてご紹介!
  • 牛乳を飲むと本当に背が伸びるの?寝る子は育つ?身長の伸びに関する噂のウソホント
  • まとめ

低身長とは

低身長とは、その年齢の子どもの平均身長と比べて大幅に身長が低い状態を指します。低身長は「周りの子どもと比べると身長が低い」「身長順に並ぶと自分の子どもはいつも先頭だ」など、単純に周りの他の子どもとの比較で認められるものではありません。

低身長と認められている子どもの割合は、どの年齢においても全体の2%程度と言われています。この割合は、身長のSD値に基づいて割り出されています。SDとは、標準偏差(Standard Deviation)の略称で、低身長を考えるうえでは平均身長からどのくらい高いか、低いかを客観的に判断する基準として用いられています。
低身長はSDが-2以下の数値を取った場合に認められます。ただ、SDが-2以下で低身長であると判断されたとしても、必ず医療的な治療をしなければならないわけではありません。むしろ、低身長の中で治療が必要だったり、何か病気が隠れていたりするケースは珍しいといえます。
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低身長の原因には何があるの?

低身長の背景には何があるのでしょうか。4つにわけて解説していきます。

原因不明

身長のSD値が-2以下であっても、特にこれといった原因がない場合が大多数といわれています。子どもの身長の伸びには個人差があり、早い段階でぐんぐんと伸びる子どもや、ゆっくり時間をかけて伸びる子どもなどさまざまです。特に病気などとの関連が見られず、生活習慣も良好である時は、「この子のペースでゆっくりと伸びていくのだな」と長い目で子どもの成長を見守ることが大切です。

遺伝

親御さんの中には、「子どもが低身長なのは自分の身長が遺伝的に影響しているからなのでは?」と不安に思ったり、責任を感じたりしてしまう方もいるかもしれません。確かに、子どもの身長には、ある程度両親の身長が影響するということがわかっています。身長や子どもの身体発達に関する本には、しばしば両親の身長から子どもの最終身長を求める計算式などが紹介されていることもあります。

ですが、子どもの身長の伸びは親の遺伝のみで決定されるものではありません。食事や睡眠などの生活習慣や、スパートをかけるように身長が伸びるとされている思春期がどのタイミングで訪れるかなど、さまざまな要因が絡み合って身長は伸びていきます。

両親の身長から子どもの身長を求める計算も、あくまでも目安の1つにしか過ぎません。遺伝的な要因を気にするよりは、子どもの生活習慣を整えたり、成長記録をこまめにつけたりすることを意識する方が大切です。

心理・社会的な影響

子どもが親から愛情が得られず、精神的なストレスが増えると、子どもの成長を促す重要なホルモンである成長ホルモンが分泌されにくくなる、という研究結果が出ています。親が子どもへ愛情をもって接することができていないなど、精神的ストレスを与える環境が原因で子どもが低身長になることを愛情遮断症候群(母性剥奪症候群)といいます。

子どもに精神的ストレスを与える、というと虐待やネグレクトなどを想像してしまいがちですが、そのような極端な場合でなくても愛情遮断症候群による低身長は起こることがあります。例えば、親同士のケンカが絶えないことを子どもが思い悩んだり、親が子どもにプレッシャーをかけてしまい、子どもが家庭で安らぐことができなかったりすることが、低身長の一因となる可能性があるのです。

親同士の不仲や子どもへの接し方が子どもの成長に大きな影響をもたらす、ということを親自身が自覚し、子どもにとって家庭が安心できる場になるように環境を整えておくことが、愛情遮断症候群の予防になります。

病気の影響

低身長が何らかの病気によってもたらされている場合、次のような病気が考えられます。

■成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌異常による病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症や甲状腺機能低下症など)
出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。

■染色体の病気(ターナー症候群やプラダー・ウィリ症候群など)
ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。

プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、母乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。

■子宮内発育不全(SGA性低身長症)
母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2, 3歳までに急速に成長し、標準身長に追いつきます。

しかし、これらの赤ちゃんのうち、2, 3歳になっても標準身長に追いつくことができない場合、SGA性低身長症と呼ばれます。SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。

■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症)
骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。

■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常
心臓や肝臓、腎臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。

身長が伸びる仕組みとは

そもそも、人間の身長はどのように伸びていくのでしょうか。身長が伸びるということは、骨が伸びるということを意味しています。

子どもの骨の両端には、軟骨層と呼ばれる隙間があります。X線にはこの軟骨層が線となって映るため、軟骨層のことを骨端線(こったんせん)ということもあります。軟骨層には軟骨細胞というものがあり、これが子どもの時にはどんどん増殖していきます。そしてこの増殖した軟骨細胞にカルシウムが沈着することで、しっかりとした骨になっていくのです。

このようなメカニズムで子どもの骨は伸びていきます。この軟骨層は成長とともに薄くなっていき、最終的にはなくなってすべて硬い骨になります。この状態でX線写真を撮ると骨端線が見えなくなります。これを「骨端線が閉じる」と表現することがあり、この段階に至ると身長はそれ以上伸びることはありません。

また、低身長を治療していく場合、「骨年齢」を調べることがあります。骨年齢とは、現時点どのくらいまで骨が育っているかをわかりやすくするために年齢という数値で表したものです。骨年齢は実際の年齢と一致することがほとんどですが、多少のずれが生じることもあります。低身長の人が骨年齢を測定した時に、実際の年齢との間にあまりに差があると、その低身長の裏に何か病気が隠れていると考えられます。

骨年齢は手のX線写真をもとに判定されます。骨年齢を把握することは、低身長の原因が病気であるかどうかを探るだけでなく、この先いつ頃までどの程度身長が伸びていくのかについて予測することに役立ちます。

低身長で受診する時の検査内容って?

子どもの身長の伸びが悪かったり、平均よりぐんと低かったりすると、「子どもの身長が低くて不安…病院で診てもらった方がいいのかな?」と心配になる親御さんも少なくないと思います。以下、どのくらい身長が低い場合病院へ行くべきなのか、また受診したらどんな検査を受けるのかについて説明します。

検査を受けた方が良いかもしれない基準って?

子どもの身長に対して、病院へ相談してみる・検査を受けてみることをおすすめする基準は、主にこの2点です。

・子どもの身長が-2SD以下
・身長の伸びが悪い状態が2年続く
子どもの身長の伸びが心配になったら、まずは子どもの成長曲線をつけてみましょう。成長曲線とは、子どもが生まれてから身長の伸びが止まるまでの間、身長と体重の伸び方や増え方をグラフに記録したものです。多くの成長曲線には、平均身長だけでなく-2SDから+2SDの身長も記載されていますので、子どもの身長を成長曲線にしてみて、身長が-2SD以下の場合は一度専門家に相談してみましょう。

また、身長自体は-2SD以上でも、身長の伸び率が急に微々たるものになったり、全く伸びなくなったりする状態が2年以上続いている場合も、専門家への相談をおすすめします。

相談先として、かかりつけの小児科医がある場合はまずはそこを受診するのがよいでしょう。そのほかにも小児内分泌科や内分泌内科でも低身長を取り扱っていたり、低身長専門外来などを設けていたりするクリニックもあります。かかりつけ、もしくは近所の小児科に相談し、場合によってはより専門的に診てもらえる病院を紹介してもらうのも良い手段です。

病院へ受診したら、どんな検査をするの?

実際に低身長かも?と思って病院へ受診すると、どんな検査を受けるのでしょうか。大きく分けると、まず最初に受けるスクリーニング検査と、スクリーニング検査によって成長ホルモン分泌の異常が考えられる時に行われる、成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)があります。

■スクリーニング検査
スクリーニング検査では、成長曲線の記入・手の骨のX線撮影・尿検査・血液検査を行います。

まずは過去の身長記録をもとに成長曲線を正確に記入することで、子どもの生後から受診時までの成長スピードやパターンを把握します。そのため、低身長で初めて病院に受診する、スクリーニング検査を受ける場合、子どもの成長がわかるもの(母子手帳、学校での身体測定の結果など)を持参しましょう。また、手の骨のX線からは、骨年齢や骨の成長度合いがどの程度か確認することができます。

血液検査や尿検査からは成長ホルモンをはじめとするホルモン値が正常かどうかだけでなく、肝臓や腎臓などの内臓機能の異常や、ウイルス感染などの有無も調べることができます。また、ターナー症候群やプラダー・ウィリ症候群などの染色体の病気が疑われる場合は染色体を詳しく調べる検査も行われることがあります。

スクリーニング検査は基本的に1回の受診ですべて行うことができ、2週間程度で結果がわかるところが多いようです。
■成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)
スクリーニング検査の結果から、成長ホルモンの分泌に問題がありそうだ、と診断された場合、成長ホルモンの分泌に関してより精密な検査を行います。

成長ホルモン分泌刺激試験では、子どもに成長ホルモンの分泌を促進する薬を投与し、一定時間ごとに採血をします。その血液中に成長ホルモンがどのくらい出ているかを見ることで、成長ホルモンの分泌状態を確認します。薬を使って意図的に成長ホルモンの分泌を促しても血液中に成長ホルモンが分泌されない、またはごく少量である場合、成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断がつくことになります。

成長ホルモン分泌刺激試験で成長ホルモン値が正常であることがわかった場合は、成長ホルモン治療などの必要性がないため、経過観察という措置が取られます。

低身長に有効な成長ホルモン治療ってどんな治療法?

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