低身長とは?子どもの身長が伸びる仕組みって? 低身長の基準、原因、治療方法を詳しく解説します!
ライター:発達障害のキホン
低身長とは、その年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が低い状態のことです。子どもの身長の伸びを記録した時に、平均より大幅に身長が低かったり、年間の身長の伸び率がずっと低いままだったりする場合、低身長かもしれません。この記事では低身長の基準や原因、治療方法はもちろん、身長の伸びる仕組みや身長に関する噂の真偽についても説明していきます。
低身長とは
低身長とは、その年齢の子どもの平均身長と比べて大幅に身長が低い状態を指します。低身長は「周りの子どもと比べると身長が低い」「身長順に並ぶと自分の子どもはいつも先頭だ」など、単純に周りの他の子どもとの比較で認められるものではありません。
低身長と認められている子どもの割合は、どの年齢においても全体の2%程度と言われています。この割合は、身長のSD値に基づいて割り出されています。SDとは、標準偏差(Standard Deviation)の略称で、低身長を考えるうえでは平均身長からどのくらい高いか、低いかを客観的に判断する基準として用いられています。
低身長と認められている子どもの割合は、どの年齢においても全体の2%程度と言われています。この割合は、身長のSD値に基づいて割り出されています。SDとは、標準偏差(Standard Deviation)の略称で、低身長を考えるうえでは平均身長からどのくらい高いか、低いかを客観的に判断する基準として用いられています。
低身長はSDが-2以下の数値を取った場合に認められます。ただ、SDが-2以下で低身長であると判断されたとしても、必ず医療的な治療をしなければならないわけではありません。むしろ、低身長の中で治療が必要だったり、何か病気が隠れていたりするケースは珍しいといえます。
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低身長の原因には何があるの?
低身長の背景には何があるのでしょうか。4つにわけて解説していきます。
原因不明
身長のSD値が-2以下であっても、特にこれといった原因がない場合が大多数といわれています。子どもの身長の伸びには個人差があり、早い段階でぐんぐんと伸びる子どもや、ゆっくり時間をかけて伸びる子どもなどさまざまです。特に病気などとの関連が見られず、生活習慣も良好である時は、「この子のペースでゆっくりと伸びていくのだな」と長い目で子どもの成長を見守ることが大切です。
遺伝
親御さんの中には、「子どもが低身長なのは自分の身長が遺伝的に影響しているからなのでは?」と不安に思ったり、責任を感じたりしてしまう方もいるかもしれません。確かに、子どもの身長には、ある程度両親の身長が影響するということがわかっています。身長や子どもの身体発達に関する本には、しばしば両親の身長から子どもの最終身長を求める計算式などが紹介されていることもあります。
ですが、子どもの身長の伸びは親の遺伝のみで決定されるものではありません。食事や睡眠などの生活習慣や、スパートをかけるように身長が伸びるとされている思春期がどのタイミングで訪れるかなど、さまざまな要因が絡み合って身長は伸びていきます。
両親の身長から子どもの身長を求める計算も、あくまでも目安の1つにしか過ぎません。遺伝的な要因を気にするよりは、子どもの生活習慣を整えたり、成長記録をこまめにつけたりすることを意識する方が大切です。
ですが、子どもの身長の伸びは親の遺伝のみで決定されるものではありません。食事や睡眠などの生活習慣や、スパートをかけるように身長が伸びるとされている思春期がどのタイミングで訪れるかなど、さまざまな要因が絡み合って身長は伸びていきます。
両親の身長から子どもの身長を求める計算も、あくまでも目安の1つにしか過ぎません。遺伝的な要因を気にするよりは、子どもの生活習慣を整えたり、成長記録をこまめにつけたりすることを意識する方が大切です。
心理・社会的な影響
子どもが親から愛情が得られず、精神的なストレスが増えると、子どもの成長を促す重要なホルモンである成長ホルモンが分泌されにくくなる、という研究結果が出ています。親が子どもへ愛情をもって接することができていないなど、精神的ストレスを与える環境が原因で子どもが低身長になることを愛情遮断症候群(母性剥奪症候群)といいます。
子どもに精神的ストレスを与える、というと虐待やネグレクトなどを想像してしまいがちですが、そのような極端な場合でなくても愛情遮断症候群による低身長は起こることがあります。例えば、親同士のケンカが絶えないことを子どもが思い悩んだり、親が子どもにプレッシャーをかけてしまい、子どもが家庭で安らぐことができなかったりすることが、低身長の一因となる可能性があるのです。
親同士の不仲や子どもへの接し方が子どもの成長に大きな影響をもたらす、ということを親自身が自覚し、子どもにとって家庭が安心できる場になるように環境を整えておくことが、愛情遮断症候群の予防になります。
子どもに精神的ストレスを与える、というと虐待やネグレクトなどを想像してしまいがちですが、そのような極端な場合でなくても愛情遮断症候群による低身長は起こることがあります。例えば、親同士のケンカが絶えないことを子どもが思い悩んだり、親が子どもにプレッシャーをかけてしまい、子どもが家庭で安らぐことができなかったりすることが、低身長の一因となる可能性があるのです。
親同士の不仲や子どもへの接し方が子どもの成長に大きな影響をもたらす、ということを親自身が自覚し、子どもにとって家庭が安心できる場になるように環境を整えておくことが、愛情遮断症候群の予防になります。
病気の影響
低身長が何らかの病気によってもたらされている場合、次のような病気が考えられます。
■成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌異常による病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症や甲状腺機能低下症など)
出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。
■染色体の病気(ターナー症候群やプラダー・ウィリ症候群など)
ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。
プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、母乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。
■子宮内発育不全(SGA性低身長症)
母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2, 3歳までに急速に成長し、標準身長に追いつきます。
しかし、これらの赤ちゃんのうち、2, 3歳になっても標準身長に追いつくことができない場合、SGA性低身長症と呼ばれます。SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。
■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症)
骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。
■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常
心臓や肝臓、腎臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。
■成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌異常による病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症や甲状腺機能低下症など)
出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。
■染色体の病気(ターナー症候群やプラダー・ウィリ症候群など)
ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。
プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、母乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。
■子宮内発育不全(SGA性低身長症)
母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2, 3歳までに急速に成長し、標準身長に追いつきます。
しかし、これらの赤ちゃんのうち、2, 3歳になっても標準身長に追いつくことができない場合、SGA性低身長症と呼ばれます。SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。
■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症)
骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。
■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常
心臓や肝臓、腎臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。
身長が伸びる仕組みとは
そもそも、人間の身長はどのように伸びていくのでしょうか。身長が伸びるということは、骨が伸びるということを意味しています。
子どもの骨の両端には、軟骨層と呼ばれる隙間があります。X線にはこの軟骨層が線となって映るため、軟骨層のことを骨端線(こったんせん)ということもあります。軟骨層には軟骨細胞というものがあり、これが子どもの時にはどんどん増殖していきます。そしてこの増殖した軟骨細胞にカルシウムが沈着することで、しっかりとした骨になっていくのです。
このようなメカニズムで子どもの骨は伸びていきます。この軟骨層は成長とともに薄くなっていき、最終的にはなくなってすべて硬い骨になります。この状態でX線写真を撮ると骨端線が見えなくなります。これを「骨端線が閉じる」と表現することがあり、この段階に至ると身長はそれ以上伸びることはありません。
また、低身長を治療していく場合、「骨年齢」を調べることがあります。骨年齢とは、現時点どのくらいまで骨が育っているかをわかりやすくするために年齢という数値で表したものです。骨年齢は実際の年齢と一致することがほとんどですが、多少のずれが生じることもあります。低身長の人が骨年齢を測定した時に、実際の年齢との間にあまりに差があると、その低身長の裏に何か病気が隠れていると考えられます。
骨年齢は手のX線写真をもとに判定されます。骨年齢を把握することは、低身長の原因が病気であるかどうかを探るだけでなく、この先いつ頃までどの程度身長が伸びていくのかについて予測することに役立ちます。
子どもの骨の両端には、軟骨層と呼ばれる隙間があります。X線にはこの軟骨層が線となって映るため、軟骨層のことを骨端線(こったんせん)ということもあります。軟骨層には軟骨細胞というものがあり、これが子どもの時にはどんどん増殖していきます。そしてこの増殖した軟骨細胞にカルシウムが沈着することで、しっかりとした骨になっていくのです。
このようなメカニズムで子どもの骨は伸びていきます。この軟骨層は成長とともに薄くなっていき、最終的にはなくなってすべて硬い骨になります。この状態でX線写真を撮ると骨端線が見えなくなります。これを「骨端線が閉じる」と表現することがあり、この段階に至ると身長はそれ以上伸びることはありません。
また、低身長を治療していく場合、「骨年齢」を調べることがあります。骨年齢とは、現時点どのくらいまで骨が育っているかをわかりやすくするために年齢という数値で表したものです。骨年齢は実際の年齢と一致することがほとんどですが、多少のずれが生じることもあります。低身長の人が骨年齢を測定した時に、実際の年齢との間にあまりに差があると、その低身長の裏に何か病気が隠れていると考えられます。
骨年齢は手のX線写真をもとに判定されます。骨年齢を把握することは、低身長の原因が病気であるかどうかを探るだけでなく、この先いつ頃までどの程度身長が伸びていくのかについて予測することに役立ちます。