ネグレクト(育児放棄)とは?ネグレクトの判断基準は?もし見つけたらどうする?

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一般的にネグレクトとは、「幼児・児童・高齢者・障害者などに対し、その保護、世話、養育、介護などを怠り、放任する行為」を指します。本記事では、子どもに対して行われるネグレクト(育児放棄)について、ネグレクトの判断基準やネグレクトの疑いがある子どもを見つけたときに取るべき行動について説明します。

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目次 ネグレクトとは? ネグレクトに気付くためのサインはあるの? どこからが虐待になるの? ネグレクトが子どもに与える影響は? ネグレクトを引き起こす要因 ネグレクトされている可能性のある子どもを見つけたら? まとめ

ネグレクトとは?

ネグレクトの定義

一般的にネグレクトとは、「幼児・児童・高齢者・障害者などに対し、その保護、世話、養育、介護などを怠り、放任する行為」を指します。中でも特に、子どもに対して行われるネグレクト、すなわち「育児放棄」を意味して使用されることが多いようです。

厚生労働省によると、ネグレクトは「身体的虐待・精神的虐待・心理的虐待とならぶ虐待の一つ」とされています。ほかの3種類の虐待が一般的に「子どもに有害なことをする」ものであるのに対して、ネグレクトは「子どもが必要とするものを親が提供しない」ことであると言えます。

またネグレクトは、その背景によって、物理的・経済的条件が整っているのにもかかわらず保護を遺棄する「積極的ネグレクト」と貧困や知識不足などが原因で保護ができない「消極的ネグレクト」とに分けられます。両者とも、親の注意が子どもに向いていないという点では共通していますが、根本的な背景が異なるために解決の方法も変わってきます。
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ネグレクトの相談件数

厚生労働省の報告資料によると、平成27年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談のうち、約4分の1にあたる2万4438件がネグレクトであったとされています。また、年度別の推移を見るとネグレクトの相談件数は増加傾向にあります。

相談件数が増加している要因としては、後述する児童相談所全国共通ダイヤルの3桁化189(イチハヤク)が広く知られるようになってきたことや、児童虐待事件の報道によって国民の児童虐待に対する意識が向上したことが指摘されています。そのため、相談件数の増加は必ずしもネグレクトの数そのものの増加を示唆するわけではありません。

ネグレクトに気付くためのサインはあるの?

ネグレクトされている子どもには、どのような特徴があるのでしょうか?

一般的に、以下のようなサインが見られる場合、ネグレクトの可能性が考えられると言われています。ただし、これらのサインが見られる子どもすべてがネグレクトされているわけではないので、あくまで一例として参考にしてください。

身体的なサイン

・子どもの身長・体重が同年齢標準よりも極端に低いまたは軽い
・冬なのに上着を着ていないなど季節はずれな服装をしている
・皮膚がかさかさで目の下に黒いクマがある
・虫歯がある、予防接種を受けていないなど医療的ケアを受けていない明白な兆候がある
・いわゆる「ゴミ屋敷」に住んでいる等、住居が不適切である
・親の監督不行き届きのためにたびたび危険な行為に参加している
・不潔な身なりをしている

行動面のサイン

・平日の昼間なのに公園にいるなど、学校に行っていないように見える
・夜遅くまで外で遊んでいるなど、家に帰りたがらない
・空腹のため、食べ物をせびったり盗んだりする
・気だるそうで、何事にも無関心に見える

現実では、断片的な情報しか得ることのできない家庭外の第三者がネグレクトがあるかについての判断をすることは容易ではありません。次章では、どこから虐待といえるのか、厚生労働省が示す虐待の捉え方について解説します。

どこからが虐待になるの?

子どもの側に立って判断する

親による子どもに対する行為が虐待にあたるかどうかの判断は、以下で紹介するような児童虐待防止法の定義に基づいて総合的に行われるのが基本ですが、厚生労働省はその過程における重要な観点として「子どもの側に立って判断すべき」という点を明らかにしています。

厚生労働省のホームページでは、虐待を判断する上で有効な考え方として、小児科医・小児精神科医である小林美智子氏の言説が引用されています。

「虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係です。その子が嫌いだから、憎いから、意図的にするから、虐待と言うのではありません。親はいくら一生懸命であっても、その子をかわいいと思っていても、子ども側にとって有害な行為であれば虐待なのです。我々がその行為を親の意図で判断するのではなく、子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」(小林美智子,1994)

出典:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/01.html
つまり、親に虐待の意図があろうとなかろうと、子どもにとってその行動が虐待であると感じられれば、それは虐待であると考えられているのです。

虐待の法的な定義は?

ネグレクトを含む児童虐待に関係する法律の一つに、児童虐待の発生予防、早期発見・早期の適切な対応、虐待を受けた子どもの保護・自立に向けた支援などの推進を目的に制定された「児童虐待防止法」があります。

この児童虐待防止法において、虐待は以下のように定義されています。

<児童虐待防止法 第二条>>
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
出典:児童虐待の防止等に関する法律

出典:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO082.html
ここで挙げられている4種類の行為のうち、「三」がネグレクトにあたります。しかし、堅い表現で書かれた法律の条文を読むだけではあまりイメージがわかない方もいるかもしれませんね。

より具体的には、以下のような行為がネグレクトに該当するとされています。

<ネグレクトに該当する行為>
●子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど。
(1)家に閉じこめる(子どもの意思に反して学校等に登校させない)、
(2)重大な病気になっても病院に連れて行かない、
(3)乳幼児を家に残したまま度々外出する、
(4)乳幼児を車の中に放置する など。

●子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない(愛情遮断など)。
●食事、衣服、住居などが極端に不適切で、健康状態を損なうほどの無関心・怠慢など。(1)適切な食事を与えない
(2)下着など長期間ひどく不潔なままにする
(3)極端に不潔な環境の中で生活をさせる など。

●親がパチンコに熱中している間、乳幼児を自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳幼児だけを家に残して火災で子どもが焼死したりする事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきである。
●子どもを遺棄する。
●祖父母、きょうだい、保護者の恋人などの同居人がア、イ又はエ(心的虐待、性的虐待又は心理的虐待*)に掲げる行為と同様の行為を行っているにもかかわらず、それを放置する。

子ども虐待の援助に関する基本事項|厚生労働省から抜粋、一部編集、*は編集部註

出典:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/01.html
一口にネグレクトといっても、衣服の着替えなどの不十分なまま登校してくるような事例から、飢えなどによって子どもが命を失ってしまうような事例までが存在し、その範囲は広いものとされています。

ただし、どのような種類・程度のネグレクトであったとしても、それが子どもに大きな悪影響を与える可能性が高いということは紛れもない事実です。次章では、ネグレクトが子どもにどのような影響を与えるのかについて見ていきます。

ネグレクトが子どもに与える影響は?

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