公認心理師になるには?

公認心理師になるには、受験資格を満たし国家試験に合格する必要があります。

受験資格

1.「公認心理師になるために必要な科目」を心理学関係の大学と大学院を出て修了する。
2.大学で公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業し、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設で、規定の期間以上心理関係の仕事に従事する。
3.1.2の条件と同等以上の知識・技能を有すると認められる。

「公認心理師になるために必要な科目」は

・大学での必要な科目合計25科目、実習80時間以上を実施
・大学院での必要な科目合計10科目、実習450時間以上を実施

詳しくは厚生労働省の以下の以下の資料をご参照ください。
公認心理師法附則第2条第1項第1号から第4号までに規定する公認心理師 になるために必要な科目の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000177884.pdf
受験資格を満たすには、公認心理師カリキュラムの置かれた大学院への進学が必須となります。2018年度入学より、大学院によっては、公認心理師と臨床心理士の両方の受験資格が得られるようになる予定です。公認心理師や臨床心理士を目指す人向けに、公認心理師養成大学院・臨床心理士指定大学院の入学のためのコースを設けた予備校もありますので、調べてみてはいかがでしょうか?
LEC東京リーガルマインド
https://www.lec-jp.com/shinri/
IPSA心理学大学院予備校
https://ipsa-yobiko.com/
河合塾KALS
https://www.kals.jp/clinical-psy/

国家試験

1.出題範囲
・出題範囲として詳細な科目は定めずに、「公認心理師として具有すべき知識及び技能」について出題されます。

2.試験の実施方法
・全問マークシート方式
・問題数は150~200 問程度
・ケース問題を可能な限り多く出題
・試験の実施時間は1問あたり1分(ケース問題は3分)を目安
・公認心理師としての基本的姿勢を含めた基本的能力を主題とする問題と、それ以外の問題

3.合格基準
正答率60%程度以上

4.試験実施時期
・第1回は2018年12月までに実施
・第2回以降の試験実施時期は今後検討
・試験は年に1回の実施とする

経過措置とは?いつの時点で、誰があてはまるの?

これまで臨床心理士などの心理職を目指し、すでに大学や大学院に入学した人や、心理職の仕事をしている人は、新たに公認心理師資格を取得することはできるのでしょうか?
「公認心理師法」には受験資格の特例があります。これは、大学や大学院において、公認心理師の課程を設置して修了者を出すまでに年月を要することや、現任者として心理職についている者が資格を取得しやすくすることを考慮しています。

学生や心理職に勤めている人のための3つの特例についてご紹介します。

◇受験資格の特例1:施行前に、大学院を修了した場合
施行日(2017年9月)の時点で、臨床心理士の指定大学院を修了していることを指します。

また、心理学関係以外の4年制大学を卒業している場合でも、2017年9月までに臨床心理士指定大学院に入学していれば、公認心理師カリキュラムの各科目との読み替えがなされ、経過措置として認められる可能性があります。詳しくは各大学院にご自身でお問い合わせください。
参考:日本臨床心理士認定協会「指定大学院・専門職大学院一覧」
http://fjcbcp.or.jp/daigakuinichiran/
◇受験資格特例2:施行前に、心理系の大学に入学した場合
施行日(2017年9月)の時点で大学の心理学部・心理学科に所属していて、「公認心理師になるために必要な科目」を大学で修め、その後公認心理師カリキュラムのある大学院に入学・修了することを指します。各大学のカリキュラムが、公認心理師カリキュラムの各科目との読み替えがなされ、経過措置として認められる可能性があります。詳しくは各大学にご自身でお問い合わせください。

◇受験資格特例3:施行前から、心理系の仕事に従事している場合
施行日(2017年9月)の時点において、大学を心理学部などで卒業し、一定期間の心理職に従事したことを指します。更に、以下の2つにあてはまる場合公認心理師試験を一部科目免除で受験することができます。

・保健医療、福祉、教育関係で心理の仕事を5年以上していた場合
・保健医療、福祉、教育関係で心理の仕事についていて、文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した場合
参考:厚生労働省「公認心理師のカリキュラム等検討会報告書の概要について」p5.6
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000169346.pdf

公認心理師と臨床心理士は何が違うの?

簡単に2つの資格の違いを整理すると、
・臨床心理士は民間資格で、公認心理師は国家資格
・心理学系の大学への進学が必須か否か(大学院はそれぞれ必須)
・研究が専門的職務として定められているか否か

の3つがあげられます。

臨床心理士とは、臨床心理学を基礎とする臨床心理学の専門家としての民間資格です。そこで本章では、公認心理師資格との違いを受験資格と仕事内容の違いについて説明していきます。

公認心理師と臨床心理士の受験資格の違い

臨床心理士の受験資格は

1.日本臨床心理士資格認定協会によって指定された大学院を修了している者(ただし、大学院によっては1年以上の心理臨床経験も必要になる場合があります)
2.諸外国で上記と同等かそれ以上の教育をうけて、日本で2年以上の心理臨床経験がある者
3.医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する者

現状では、臨床心理士を目指す人が4年制大学を卒業したあとのルートはこのようになっています。
臨床心理士を目指す人が4年制大学を卒業したあとのルートの図
臨床心理士を目指す人が4年制大学を卒業したあとのルートの図
Upload By 発達障害のキホン
しかし特例として施行日までに、臨床心理士指定大学院を入学・修了した人は「公認心理師」の受験資格を取得できる可能性があります(個々の事情については各大学に問い合わせること)。

公認心理師法の施行後(9月15日までに施行)は、以下のように大学の進学先によって得られる受験資格がわかれていきます。公認心理師の受験資格を取得するには、以下の図の赤の矢印をたどっていく必要があります。
公認心理師の受験資格の図
公認心理師の受験資格の図
Upload By 発達障害のキホン
つまり、臨床心理士になるには指定大学院を修了する必要がありましたが、公認心理師はさらにその前段階の大学の学部にも指定があります。

そのため、施行日の時点で心理系以外の学部に所属している場合、新たに心理学部・学科に再入学・編入または、通信課程のある大学で必要な必要な単位を修得する必要があります。

公認心理師と臨床心理士の仕事内容の違い

臨床心理士の仕事内容は

1.心理査定や、面接での査定(アセスメント)
2.臨床心理学的な面接による援助(カウンセリング)
3.地域のこころの健康を守るための地域援助
4.査定や面接などを含めた心理臨床実践に関する研究や調査


対して公認心理師の仕事内容は

1.心理査定や、面接での査定(アセスメント)
2.臨床心理学的な面接による援助(カウンセリング)
3.関係者への面接
4.心の健康に関する教育・情報提供活動


とされています。一見すると、3.4に違いがありますが、公認心理師の仕事にある「関係者への面接」も心理面接に含まれることから、実質的にはほとんど仕事内容は同じと考えられます。

唯一大きく異なるところとしては、臨床心理士の仕事の一領域としてあった、「研究」が公認心理師の仕事には含まれていないところです。ですが、こころという曖昧な対象を扱うため、研究はこれからも必要となっていくかもしれません。
臨床心理士とは?役割と資格、支援を受けられる場所、発達障害・不安障害の相談・療法・検査まとめのタイトル画像

臨床心理士とは?役割と資格、支援を受けられる場所、発達障害・不安障害の相談・療法・検査まとめ

これまでお伝えしたように、試験の内容や認定機関は異なりますが、国家資格を持っていると給与が上がる場合や、手当てがもらえたりする場合など、環境が整わない限り、実質的な違いはないと考えられます。実際にはあまり国家資格による大幅な収入の増加は難しいのではないかと考えられています。

また、元々臨床心理士等の業務を基準に、公認心理師の業務内容が作られているので、業務範囲や活動の場に大きな違いはないといえるでしょう。

公認心理師資格を取らなくても、臨床心理士資格のみで仕事をしていける?

現在、既に心理職に勤めている人や、臨床心理士を目指していた人の中には、新たに公認心理師資格をとるべきか悩んでいる人も多いと思います。仕事内容には大きな違いはなく、どちらの資格を持っていても活躍できる場はもちろん幅広くあります。ですが、なかには公認心理師資格が必要とされるケースもでてくることが予想されます。

まず、公認心理師が施行されてからは、公認心理師資格のみを持つ人、臨床心理士資格のみを持つ人、公認心理師資格と臨床心理士資格の両方を持つ人、いずれも持たない人の4つに分類されていくと考えられます。

もちろん、4つのどのパターンでも心理職を勤めることは可能ですが、この中では、医療機関で働いている人、公的機関で働いている人、そのどちらかで働きたいと考えている人は気をつけなければならないことがあります。

・医療機関で働く場合
保険診療を行う医療機関では「保険診療の手引き」に従って、保険点数のつく心理検査などを行っています。現在は国家資格がないために「臨床心理技術者」となっていますが、国家資格ができることで「公認心理師」と表記される可能性が高いと考えられます。

臨床心理士では保険診療にて保険点数を得ることができず、医療機関は公認心理師資格を持つ人を雇わなければ、心理検査などの保険点数を算定できないことになるでしょう。
参考:浅井伸彦「あたらしいこころの国家資格「公認心理師」になるには'16~'17年版 p19
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4798045748
・公的機関で働く場合
決定事項ではありませんが、公的機関でも今後は就職条件に公認心理師資格を持っていることが条件として求められる可能性があります。採用をする際に、片方の資格を持っている人と、両方の資格を持っている人がいた場合、機関によっては後者を求められることもあるかもしれません。

ですが、臨床心理士資格も公認心理師資格も幅広い職域で働くことのできる心理職であるということに変わりはありません。地方では、人手不足の現状もあります。

様々な活躍の可能性を考え、心理職として困っている人へより良い支援を行うためにも、両方の資格を持っていて損するようなことはないといえるでしょう。

現在、臨床心理士資格を持っていて、これから公認心理師を目指す人

公認心理師法の施行日時点で、すでに臨床心理士資格を持っている人の中には、特例措置に当てはまり、一部科目免除で公認心理師試験を受験できる人がいます。

施行日の時点で、すでに仕事で公認心理師の専門業務とされる業務をしていて、かつ以下の2つに当てはまる人

1.文部科学大臣、厚生労働大臣が指定した講習会を修了した人
2.文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、公認心理師業務とされることを5年以上行った人

大学や大学院に通い直すことなく、これまでの自分のキャリアを活かして国家資格を取得できる可能性があるため、臨床心理士でご活躍されている方は、是非公認心理師の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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