脳は「走るな!騒ぐな!」を理解しずらい!声掛けのコツは「トイレの貼り紙」にあった!

ライター:立石美津子
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「子どもには否定形を使わないで、肯定形でしつけましょう」とよく言われます。それは“否定形で言われたら“不愉快になる”“反発したくなる”だけの理由ではないようです。

こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。

突然ですが、実験です。


「白い象を思い浮かべないでください!」

…さて、脳裏に浮かんだものはなんですか?
「思い浮かべないで」と言われながら、"白い象"を想像してしまったのではないでしょうか?

実は人間の脳は“否定形”がわからず、「~しないで」と言われた場合でも、最初のフレーズを素直に想像してしまう傾向があるそうです。

さらに、否定形にされるとメッセージが強調され、「~しないで」と言われたことでも、逆にやってみたくもなります。

例えば昔、東京タワーにろう人形館がありました。壁に直径3センチほどの穴が開いていて「絶対にのぞいてはなりません」と注意書きが貼ってあったのです

しかし、その注意書きはむしろ周囲の注目を引き、たいていのお客さんが興味津々でのぞいていました。これは、「のぞくな!」と禁止されればされるほど、“のぞく”という言葉が印象付けれ、同時に、好奇心が湧くからでしょう。

子どもによく言ってしまう言葉

子どもを叱るとき、ついこんな言葉をかけてしまいます。

・「走らないで!」
・「売り物のお肉は触らないで!」
・「手を使って食べないで!」
・「大声を出さないで!」
・「席を立たないで!」(学校の先生でも頻繁に叫んでいる人いますよね)

でもこれ、“白い象の原理”と同じで、子どもの頭の中は次のような“ややこしいこと”になっています。

・「走らないで!」→「走る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「歩く」
・「お肉は触らないで!」→「触る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「触らないようにする」
・「手を使って食べないで!」→「手を使う」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「スプーンを使う」

最初に言われたフレーズが印象づけられた後に、それをひるがえす、なんともまどろっこしいことを頭の中でしなくてはならないのです。

否定形だけだと「じゃあどうすればいいのか」が示されない

食事中、「手を使って食べないで!」と否定形で注意されたら、子どもは自分の行動を否定されて嫌な気分になり、反発したくなります。

また、この注意の仕方では「だったらどうすればよいのか」の具体的な方法が示されていないので、子どもは良い行動に移りにくいのです。曖昧な指示がわかりにくい発達障害の子どもだったらなおさらでしょう。

同じ状況でも肯定形で「スプーンを使って食べようね」「お箸を使って食べようね」と言われたら、字面通り「どう行動すればよいのか」わかりやすくなります。
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次ページ「肯定形への言い換え集」

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