たびかさなる「どうすればいいの?」にイラっ!思考停止してしまう息子を変えた母特製マニュアル

ライター:GreenDays
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発達障害のある息子は些細なことでパニック状態に…。私に向かって「どうすればいいの」を毎回たずねてきます。
「自分で考えて行動できる子に育って欲しい」そんな願いから、自分自身で考えるよう促していましたが、それが息子を追い詰める原因になっていたとは...。

思考停止してしまう息子にイライラが募る日々

自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている7歳の息子は「失敗すること」「怒られること」を極度に恐れています。そして、トラブルが起こったときは「どうしよう!どうしよう!」とパニック状態に陥り、思考が停止してしまうのです。

トラブルと言っても、ご飯を食べている時にお茶をこぼしてしまったことや、文字を書き間違えてしまったこと、出発時間間際にまだ家を出る用意ができていないことなど、私から見れば日常生活のほんの些細なできごとばかりです。

そんなことが起こるたびに、私は「どうすればいいか自分で考えなさい!」「前にも言ったでしょ?」とイライラしながら声をかけてきました。

もう7歳なのに、一体いつになったら日常生活をスムーズに送ることができるんだろうか。そんな焦りが私の中に確かに存在していたのです。

自分で考えられるなら困ったりしない

そんな折、久しぶりに訪れた児童精神科の先生のもとを訪れたときのことです。先生は息子について、ふとこんな話をしてくれました。

「息子さんは真面目で素直ですが、不安や失敗に敏感でパニックを起こしてしまう繊細なお子さんですね。こういうタイプの方に絶対に言ってはいけない言葉があるんです。それは『自分で考えなさい』という言葉です。」

「えっ!私、すごくたくさんその言葉を使っていました。」

私の頭は大混乱!凸凹が大きく苦手なことが多いからこそ、ひとつひとつ自分の頭で考えて歩めるようになって欲しい。そんな風に願っていたからこそ、「自分で解決策を考えること」を重要視して声掛けをしていました。先生はこう続けます。

「自分で考えられるなら『どうしよう』と混乱したりしないんです。それができなくて困っているのに、自分で答えを見つけることを強要しても追い詰めてしまうだけなんです。」

「なるほど、すごく納得です。それができないから困っているんですよね。私、困っている息子にさらに追い打ちをかけてしまっていたんですね...」

私がやっていたことは、目が悪い人に「いいからしっかりと裸眼で見なさい!」と強いているようなものだったのです。確かにそれでは努力だけではどうにもならないはずです。

「一番いいのは、とにかくマニュアル化してあげることです。こういう場合はこうすればいいというマニュアルをたくさん入れてあげることで不安が軽減され、少しずつ自信を持って行動できるようになると思いますよ」

「マニュアル化!些細なことで混乱しているのは『こうすればいい』という行動パターンが息子にしっかりと入っていないからなんですね。もう一度生活を見直してみます」

マニュアル化というキーワードは、発達障害について調べている時に何度も出てきた内容ではあります。しかし、いざ自分たちの生活に落とし込むとなると、どの場面でどういったマニュアルを作ればよいのかわからず、実行には移せない状態でした。

そこで今回を機会として、私なりに「息子が自信を持って行動できる」ことを目標にマニュアル作りにトライしてみることに決めました。

親が思っていたよりも基本的な部分からサポートが必要でした

さて、どこから着手しよう?

まずは普段の生活を思い返し、私が息子に対してイライラしてしまう瞬間を把握することから始めてみることにしました。

私が一番辛いのは、同じことを何度も質問されることです。

文字を間違えちゃった!ママ、どうしよう?
お茶をこぼしちゃった!ママ、どうしよう?
時間に間に合わない!ママ、どうしよう?

今まではつい苛立ってしまっていましたが、本当に困っているのだと私の中の考えを改め、そのうえでどのようなマニュアルを作るかを模索することにしました。

ただ、怒られるかもしれないと大きな不安を抱え毎回焦っている息子には、事前にマニュアルを示しても効果は薄いように思われます。

そこで、これらのことが起こる場所にあらかじめマニュアルを置いておくことにしました。視覚優位で戦隊モノが大好きな息子に合ったものをということで、イラストも入れつつ、読みやすいような工夫をしました。
そして、内容は簡単なことでも、3ステップに分け、落ち着いて読むことができるように。

①どうしよう文字を書き間違えちゃった!
②深呼吸して落ち着いたら、解決方法を思い出してみよう
③そうだ消しゴムで消して書き直せばいいんだった!

こんな感じに場面に合わせて作ったマニュアルを、鉛筆を使う場所、食事の場所などに配置します。

はじめはこんなことにまで本当にマニュアル化が必要なのか半信半疑でした。しかし、この用紙を繰り返し読み、お守りのように大切に身近において過ごしている息子を見ていると、私が思っていた以上に暮らしの中で息子が不安に思っていることが多かったことに気付かされました。

少しずつ日々の暮らしがマニュアル化され不安が減少すれば、今までそこに割いていたエネルギーを他のことに使えるようになるかも知れません。それは息子だけでなく、私にも言えることです。

情報は入りにくいけれど、一度入ってしまえば真面目にそれを実践するために努力できるのが息子のいいところ。日々の困りごとを丁寧に拾い上げて、子どもたちと一緒にわが家流のマニュアル作りを進めて行きたいと思います。

親が悩まされている子どもの行動は、その子自身の困りごと。分かっていても、なかなか難しいものですね。

けれども、気づいた時こそが成長できるチャンス。皆さまも子どもが穏やかな気持ちで過ごせる工夫を、できる範囲でやってみませんか?

たとえその工夫が上手くいかなくても、そこからお子さんに伝わりやすい方法が見えてくるかもしれませんよ。
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