「自閉症児向け介助犬」が自閉症の子どもの歯科治療をサポート!南米チリでの進んだ取り組みを紹介

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自閉症スペクトラムの子どもを歯医者さんへ連れてゆく。その大変さは想像を絶するものでした。息子と一緒になって泣きそうになる辛い日々の中、私の目に飛び込んできたのは、歯科治療をサポートする、「自閉症児向け介助犬」だったのです。

林真紀
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発達障害のある子どもの歯科治療の大変さは世界共通!?

発達障害のある子どもを歯医者さんへ連れてゆくのは並大抵のことではない…そんな声を聞くことも珍しくありません。

私の息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD診断済)も、あちこちドクターショッピングを重ねましたが、長いこと歯科治療への恐怖が克服できませんでした。触覚過敏で口の周りや顎を触られる苦痛に耐えられなかったり、味覚過敏でフッ素の味にすら吐き気がしてしまったりします。さらに聴覚過敏の息子にとって、歯医者さんが使う器具の音は耐えがたいものだったのです。

長い間、親子ともども泣きたいような思いをしましたが、我が家の場合は、障害児専門歯科に行きついたことで、ようやく静かに治療が受けられるようになりました。

それまでは、歯科に連れていくたびに大暴れし、大声で叫び、抵抗の限りを尽くしてきた息子。最後には疲れ果てて汗びっしょりになった歯医者さんから「君みたいな子は初めてだよ!!」と怒られてきたのです。

息子は歯科治療に行くたびに、帰りの車で泣いていました。みんなに迷惑をかけているのは分かっていたけれど、自分ではどうやってもコントロールができなかったのです。

そんなとき、ある海外ニュースが私の目に飛び込んできました。そのニュースの見出しにある写真が私の目を奪います。

なんてことでしょう、歯科治療を受けている男の子の足の上に、大きなラブラドールレトリバーが座っているのです!

自閉症のディエゴくんと「自閉症児向け介助犬」のズッカ

海外には、自閉症児向けに訓練された犬がいることは、以前発達ナビの記事でも取り上げました。
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それだけでも海外移住したくなってしまうほど羨ましかった私ですが、なんと南米チリには、自閉症児の歯科治療に特化した「自閉症児向け介助犬」を養成・派遣している団体まであるというのです。

そのことを私に教えてくれた記事がこちら。(英語の記事です)
今回のニュースで取り上げられたのは、自閉症児のディエゴ・ロサレスくん(9歳)と、「自閉症児向け介助犬」のラブラドールレトリーバー「ズッカ」です。

自閉症児にとって歯科治療は強い恐怖を喚起させるものです。眼前に煌々と照らされたライトや、治療器具から発せられる音に、パニックになってしまう自閉症児もいます。ときには治療に鎮静麻酔が必要な場合もあるのです。息子が通っている障害児専門歯科でも、パニックが強いお子さんには全身麻酔が施されます。

ディエゴくんも例に漏れず歯科治療に対する恐怖心が非常に強く、4歳の頃は治療をする歯科医の手を噛み続けて抵抗したと言います。ところが、記事の中で紹介されていたこちらの動画を見てみてください。ディエゴくん、とっても楽しそうです。歯科治療も落ち着いて受けており、麻酔の注射を前にしても、動じていません。

自閉症児たちの歯科治療に同伴する介助犬(インタビューはスペイン語です)

全ては、「自閉症児向け介助犬」のズッカのおかげ。ディエゴくんはズッカを膝の上に乗せながら治療をするようになってから、歯科医の手を噛んだり、叫んで抵抗したりすることがなくなりました。この日もディエゴくんは歯を抜くという難易度の高い治療をしたようですが、歯を抜かれた後もずっとズッカのことを穏やかに撫で続け、抜いた歯をケースに入れてもらって、ご機嫌に治療を終えたようでした。

専門の訓練を受けた犬たちの活躍

ズッカを含め、ディエゴ君が通う大学病院付属の歯科に介助犬を派遣しているのは、「フント・ア・ティ(Junto a Ti:あなたのそばで)」というNPO団体です。こちらの動画を見て頂くと分かるように、子どもたちは犬を優しくなでながら、穏やかに治療を受けている様子がわかります。

こうした犬達には、子どもの叫び声だけではなく、治療器具の音などに耐え、さらに子どもが耳や毛を引っ張ったとしても、ジッと動かずにいる忍耐力が必要となるそうです。

NPO団体「フント・ア・ティ(Junto a Ti)」の活動紹介

日本でも取り入れて欲しい!歯科治療の介助犬

歯科治療の介助犬について調べると、アメリカなどでは歯科クリニックに訓練を受けた犬を常駐させているようなところもあることがわかりました。また、アメリカでは、大きな事件などが起きて多数の犠牲者が出た場合などでも、NPO団体がセラピードッグを病院に派遣する場合があるようです。このような介助犬・補助犬に関する取組みは、海外のほうが進んでいることが見て取れます。

今回のように、「自閉症児向け介助犬」の助けによって歯科治療がスムーズになるのであれば、自閉症の子どもにとっても、その親にとっても、もちろん治療をする歯科医師にとっても、こんなに幸せなことはありません。

日本ではまだまだ歯科治療に犬を同伴するというのは難しいと思いますが、こんな海外の事例があるということが少しでも広まっていけばいいなと願っています。
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※日本では、「身体障害者補助犬法」のもと、視覚障害者を助ける盲導犬・聴覚障害者を助ける聴導犬・身体障害者を助ける介助犬の3種類を補助犬として定義しています。しかし現在、法律として精神疾患や発達障害のある人の手助けする犬については定義はおらず、また日本での活躍実績もほとんどありません。この記事ではAutism assistance dogsを「自閉症児向け介助犬」と訳し、海外における事例をもとにご紹介しています。
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