保護者500名に聞きました!発達障害のある子の「親なきあと」の暮らしやお金についての不安や対策は?
発達障害のある子の「親なきあと」の生活をイメージしたことはありますか?今はまだ子育てで精一杯で、先のことまで考えられないという保護者も多いかもしれません。
ここでは、発達が気になる子どもを持つ保護者を対象とした「親なきあと」の暮らしやお金に関して調査した結果をご紹介します。皆さんの回答から、今から備えられることのヒントが見つかるかもしれません。
「親なきあと」に関する不安とは?発達ナビに寄せられた、保護者500名の声
ご協力いただいたユーザーの皆様、どうもありがとうございました。この記事では、調査結果の一部を抜粋し、お伝えします。
<調査対象について>
「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:529名の回答を集計しました。(調査期間:2017年10月30日~11月8日)
※設問によっては529名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。
※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100にならない場合があります。
「親なきあと」の子どもの暮らしについて
どのようなことが不安なの?
「就職できるのか、1人で暮らしていけるのか不安を感じる」
「お金の管理。人にだまされないか。」
「他人とうまくコミュニケーションをとって、上手に過ごせるか 」
「1人で自立して生活していけるか?社会に適応できるか?」
子どもが将来、経済面・生活面・精神面で自立できるのか、社会に適応して生活できるのかといった不安を持つ人が多くがみられました。
また、
「就職して生きていくためのお金を稼げるか、弟に負担もかけたくはないが、なるべく兄弟助け合って生きてほしい」
「自立生活の維持、兄妹が背負うかもしれない養介護」
などの意見にみられるように、誰が子どもの生活や精神面のサポートするのかなど、子どもを日常的にサポートする人やきょうだいについての声も目立ちました。
「親なきあと」の住まいについて
また、「その他」と回答の中には
「結婚出来たら良いなあ。出来なくても、支え合えるパートナーと暮らしてほしい。」
「私達の家が相続出来れば今の家ですが、固定資産税等払えず管理出来ないと思うので…気の合う方に巡り会えて、新しい家庭を持ち、その方と新居を持てれば…」
と、幸せな結婚をし、パートナーとともに新たな家庭を築いてほしいという声もありました。
「親なきあと」のお金への備え
子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備している保護者は約6割
準備をしている場合、どのようなことをしていますか?という質問に対して多かった回答として、
「学資保険(36)」
「貯金(31)」
「貯蓄(18)」
といった意見があげられました。ほとんどの保護者は預貯金か保険で備えているようです。
また、行政からの手当金は、今すぐ使わず子どもの将来のために貯蓄に回しているという風に、子どものためにもらえる手当は生活費とは切り分けて、子どもの将来のための備えに回しているという回答も複数ありました。手当=貯蓄に回す、と決めることで貯蓄しやすくなりそうです。
貯蓄額は現時点でどの程度?
資金準備の方法と、利用している機関
「資金準備の方法を教えてください」という質問に対して、回答の大半を占めたのが「銀行・郵便局の預貯金(82.9%)」と「保険商品(学資保険含む」(51%)」、その他には「投資信託(NISA含む)(5.8%)」、「外貨建て商品(3.6%)」、「不動産の運用(2%)」などがみられました。
多くの方は、金融機関での預貯金や、学資保険・生命保険などの保険商品を用いて貯蓄しているようです。また、生命保険信託を活用している方も、少数ですが見受けられました。
また全体の6%弱は、投資信託などでも資産を殖やしていました。
「障害年金」について
障害年金についての認識
障害年金の受給額まで知ってる人は少数派
「もらえる条件」
「金額の他、受取方法などの仕組み全般が知りたい」
「一生涯不十分なく年金受給されるのか」
「発達障害では、障害年金もらえないと認識している」
などの意見がありました。発達障害・知的障害の度合いが軽く、「障害年金が受給できないのでは?」と危惧している保護者の声も多くあげられました。
なお、発達障害でも障害の度合いによっては障害年金を受給が可能です。また、同じように「等級」という言葉を使うため混同しがちですが、障害者手帳の等級と障害年金の等級や判定は別です。
どちらの等級も、重いものから1級、2級という風に等級がありますが、制度が異なるので認定基準は異なります。概ねどちらの等級も重なる内容が多いとはいえ、それぞれ状況が異なるので、相談・申請してみないことにはどの等級にあたるのかなどは分かりません。
まずは実際に年金事務所や、無料相談を行っている社会保険労務士(社労士)などの事務所に相談してみることをおすすめします。詳しくは以下の記事やリンクを参照ください。
障害年金とは?金額や受給条件、申請方法は?働きながら受給できる?【専門家監修】
「親なきあと」、どのように子どもへお金を渡すのか
相続対策について
「住むところに困らないよう、自宅の土地建物を相続するようにしている」
「生命保険信託と、生前贈与の形での個人年金保険」
「親の死亡保険」
などの意見がみられました。また、
「子どもの名義で通帳に預金しているくらいで、対策すべきかどうかわからない」
「具体的な行動はしていないものの、行政書士に相談することができることなどを本、ネットで調べている。」
など、具体的にどうしたらいいのか知りたいという意見や、相続対策の方法について詳しく知りたいという意見も寄せられました。
特定贈与信託について
この制度を利用すると、障害の程度に応じて6,000万円もしくは3,000万円まで贈与税が非課税ととなるとともに、障害のある子どもへ生活費などとして定期的にお金を渡していくことができ、生活を安定させることができます。
信託制度については、下記の記事をご参照ください。特定贈与信託も含め、信託制度の紹介をしています。
信託とは?課税額や費用は?親なきあとの障害のある子どもへ、 財産を受け継ぐ仕組みを紹介します
「親なきあと」の生活やお金について寄せられた、保護者からのさまざまな声
発達ナビで紹介してほしいこと
「お金を管理する方法がわからない。誰に相談したら良いか。親なきあとは、どうやって、誰に相談したら良いか。」
「今回の質問項目で知らないことも沢山ありました。それがどのように有効かわかりやすく教えていただければと思います。」
障害年金や障害者控除、信託などの財産管理をする方法、グループホーム(共同生活援助)を利用する場合の実情、親なきあとについての相談先などについての疑問が寄せられました。
そこで、既存の記事で役立ちそうなものを、いくつかご紹介します。また、寄せられたご意見をもとに、必要とされる記事を今後さらに充実させていきたいと考えています。
障害者控除とは?障害がある人や障害がある子どもの保護者が受けられる税の特例まとめ【専門家監修】
成年後見制度とは?わが子の将来に備えるためにぜひ活用したい制度を紹介【行政書士監修】
障害者総合支援法を解説、自立支援法との違い、平成30年施行の障害者総合支援法の改正のポイントを紹介
知的障害者福祉法とは?概要、改正の歴史、障害者総合支援法との関連、利用できるサービスや制度
寄せられた不安・疑問
「40代で知的、発達障害の子を育て始め、残りの時間を考えると、どこまで責任を持って見守りができるか。また、将来、該当児を託したいがため、兄弟にも過度な期待、プレッシャーをかけがちで、反省しつつも、やはり、強い対応をしてしまう。また、兄弟にも希望する人生があるのに、将来の職業、結婚の選択が狭まったと感じ、常に申し訳なく感じている。」
「日々の生活でいっぱいで先のことなんて考えられない。」
グレーゾーンにあるお子さんが適切な支援を受けられるのかといった不安や、きょうだい児への負担についての葛藤などから、日々の生活での問題の対処で精一杯で先のことを考える余裕までないといった声もありました。
これからの社会に求めること
「障害があるからといって、特別な目で見ないでほしい。」
「ちょっとした手助けや、理解してもらうことは必要かもしれないけど、周りの人の関わり方一つで、社会人として、ちゃんとやっていけることを知ってほしい。」
障害に対する偏見や障壁がない未来を願う、切実な声が多く見受けられました。障害のある子やその家族が、生き生きと暮らしていける世の中になるよう、これからも発達ナビでは、さまざまな発信をしていきたいと思っています。
今回の調査結果から
発達ナビでは12~1月に「親なきあと」特集を組み、親なきあとの暮らしやお金の問題についてコラム記事を掲載していくので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
また、ママ友や障害のある子の家族会などの自助グループでの情報共有も非常に役に立ちます。保護者の皆さんが元気なうちに、さまざまつながりをつくっていくことが、親なきあとのお子さんの生活を支えることにつながるかもしれません。
もちろん、日常生活だけで手一杯ということもあるかもしれません。あせらず、まずはできそうなことから、少しずつ進めていきましょう。
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