「親なきあと」のお金への備え

次に、親なきあとのお金について、どのように考えているのか、どんな対策をしているかなどについて、皆さんの回答を紹介していきます。

子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備している保護者は約6割

「子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備はしていますか?」という質問に対する回答
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「子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備はしていますか?」という質問に対して「はい」と答えた保護者は64.8%、「いいえ」と答えた保護者は35.2%となり、子どものために貯蓄・資金準備をしている保護者は約6割でした。

準備をしている場合、どのようなことをしていますか?という質問に対して多かった回答として、

「学資保険(36)」

「貯金(31)」
 
「貯蓄(18)」


といった意見があげられました。ほとんどの保護者は預貯金か保険で備えているようです。

また、行政からの手当金は、今すぐ使わず子どもの将来のために貯蓄に回しているという風に、子どものためにもらえる手当は生活費とは切り分けて、子どもの将来のための備えに回しているという回答も複数ありました。手当=貯蓄に回す、と決めることで貯蓄しやすくなりそうです。

貯蓄額は現時点でどの程度?

「子どもの将来に向けた貯蓄額は現時点どの程度ですか?」という質問に対する回答
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「子どもの将来に向けた貯蓄額は現時点どの程度ですか?」という質問に対して、回答が多い順に、「~49万円(19.7%)」「200~399万円(16.3%)」「100~149万円(15.3%)」という結果になりました。

資金準備の方法と、利用している機関

「資金準備の方法を教えてください」という質問に対する回答
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では、みなさんはどのような方法で貯蓄・資金準備しているのでしょうか?

「資金準備の方法を教えてください」という質問に対して、回答の大半を占めたのが「銀行・郵便局の預貯金(82.9%)」と「保険商品(学資保険含む」(51%)」、その他には「投資信託(NISA含む)(5.8%)」、「外貨建て商品(3.6%)」、「不動産の運用(2%)」などがみられました。

多くの方は、金融機関での預貯金や、学資保険・生命保険などの保険商品を用いて貯蓄しているようです。また、生命保険信託を活用している方も、少数ですが見受けられました。

また全体の6%弱は、投資信託などでも資産を殖やしていました。
保護者500名に聞きました!発達障害のある子の「親なきあと」の暮らしやお金についての不安や対策は?の画像
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利用している金融機関は、多いものから「銀行・郵便局(63.1%)」、次に「保険会社(37.4%)」、以下順に「利用していない(21%)」、「証券会社(5.5%)」「信託銀行(2.5%)」「その他(0.9%)」という結果になりました。

「障害年金」について

障害年金は、障害の程度に応じて一定の金額が支給される、障害のある方の生活をサポートするための制度です。この制度について、どのくらい認知されているか伺いました。

障害年金についての認識

「障害年金について知っていますか?」という質問に対する回答
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障害年金について知っている保護者は41.6%と、4割強の認知がありました。「いいえ」と答えた保護者は10.6%、「聞いたことはあるがよく分からない」と答えた保護者は47.8%となり、障害年金について聞いたことはあることはあるものの、どのような制度なのかまでは分からないという保護者も半数近くいました。

障害年金の受給額まで知ってる人は少数派

障害年金がいくらもらえるかについては、81.1%が知らないという回答でした。障害年金が具体的にいくらもらえるかなど、詳細までは知らない人が多いようです。
「障害年金がいくらもらえるか知っていますか?」という質問に対する回答
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障害年金について知りたいこととして、

「もらえる条件」

「金額の他、受取方法などの仕組み全般が知りたい」

「一生涯不十分なく年金受給されるのか」

「発達障害では、障害年金もらえないと認識している」


などの意見がありました。発達障害・知的障害の度合いが軽く、「障害年金が受給できないのでは?」と危惧している保護者の声も多くあげられました。

なお、発達障害でも障害の度合いによっては障害年金を受給が可能です。また、同じように「等級」という言葉を使うため混同しがちですが、障害者手帳の等級と障害年金の等級や判定は別です。

どちらの等級も、重いものから1級、2級という風に等級がありますが、制度が異なるので認定基準は異なります。概ねどちらの等級も重なる内容が多いとはいえ、それぞれ状況が異なるので、相談・申請してみないことにはどの等級にあたるのかなどは分かりません。

まずは実際に年金事務所や、無料相談を行っている社会保険労務士(社労士)などの事務所に相談してみることをおすすめします。詳しくは以下の記事やリンクを参照ください。
障害年金を受けるための要件や認定基準、障害年金の申請方法についてまとめましたのタイトル画像

障害年金を受けるための要件や認定基準、障害年金の申請方法についてまとめました

「親なきあと」相談室
http://www.oyanakiato.com/

「親なきあと」、どのように子どもへお金を渡すのか

障害のある子どものために資産をつくったり、障害年金を受給できるように制度を理解したり申請をしたりすることに加えて、どのようにしたら適切に渡していけるのか考え、備えておくことも大切です。ここでは、皆さんの意識や、対策方法などについてみていきます。

相続対策について

「相続について、対策していますか?」という質問に対する回答
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「相続について、対策していますか?」という質問に対して、「いいえ」と答えた保護者は94.5%、「はい」と答えた保護者は5.5%でした。相続対策をしていない保護者が9割以上という結果でした。
では、相続対策をしている保護者はどのような対策を取っているのでしょうか?

「住むところに困らないよう、自宅の土地建物を相続するようにしている」

「生命保険信託と、生前贈与の形での個人年金保険」

「親の死亡保険」


などの意見がみられました。また、

「子どもの名義で通帳に預金しているくらいで、対策すべきかどうかわからない」

「具体的な行動はしていないものの、行政書士に相談することができることなどを本、ネットで調べている。」


など、具体的にどうしたらいいのか知りたいという意見や、相続対策の方法について詳しく知りたいという意見も寄せられました。

特定贈与信託について

障害のある子への適切に資産を引き継ぐ方法として活用できる制度に特定贈与信託があります。障害の程度に応じて贈与税が一定額まで非課税となる制度ですが、認知度は3%に留まりました。
「特定贈与信託について知っていますか?」という質問に対する回答
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特定贈与信託とは、特定障害者(重度の心身障害者、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障害者等)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。

この制度を利用すると、障害の程度に応じて6,000万円もしくは3,000万円まで贈与税が非課税ととなるとともに、障害のある子どもへ生活費などとして定期的にお金を渡していくことができ、生活を安定させることができます。

信託制度については、下記の記事をご参照ください。特定贈与信託も含め、信託制度の紹介をしています。
信託とは?課税額や費用は?親なきあとの障害のある子どもへ、 財産を受け継ぐ仕組みを紹介しますのタイトル画像

信託とは?課税額や費用は?親なきあとの障害のある子どもへ、 財産を受け継ぐ仕組みを紹介します

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