ADHDの子どもの医療機関の利用実態は?受診のきっかけ、 病院の探し方は?アンケート調査報告

ライター:発達ナビ編集部
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「じっとしているのが苦手」「集中できない」「衝動的に行動してしまう」そんな子どもの様子が気になる…。もしかしてADHD?医療機関を受診すべき?病院をどうやって探したらよいのかわからない…。医療機関の受診を巡ってさまざまな悩みを抱える保護者の方も少なくないのではないでしょうか?今回、ADHDの子どもを持つ保護者がどうやって病院受診を決めたのか、実際にどうやって病院を探したのか、発達ナビのユーザーの方にアンケートを実施しました。この記事では集まった約950人の声をご紹介します!

目次

「もしかしてADHDかも…?病院に行ったほうがよいの?」みんなの医療機関利用の体験を教えて!

近年ADHDの認知率が上がってきたこともあり、「うちの子、ADHDかも」と不安に思ったり、発達の遅れが気になったりして、受診を考える保護者の方もいらっしゃるかもしれません。またADHDに関しては、治療薬もあることから、医療機関を受診するケースもあるようです。

とはいえ、「なんとなく病院に行くのは怖い」「どうやって病院を探したらよいのかわからない」など病院を受診するまでのハードルもあるようです。「ほかの家庭はどうやって受診を決めたの?」「どうやって医療機関とつながり、どんなふうに利用しているの?」といった経験談を知りたい保護者もいるようです。

そこで、発達ナビではADHDの診断を受けた子どもがいる、またはADHDの疑いがある子どものために医療機関を受診したことのある保護者の方にアンケートを実施し、約950人にご回答いただきました。ご協力いただいたユーザーの皆様、ありがとうございました。

この記事では、調査結果の一部を抜粋し、ADHDの子どもの医療機関の利用実態についてお伝えします。

今回のアンケートの調査対象について

「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答をいただいたADHDの診断を受けた子どもがいる、またはADHDの疑いがある子どものために医療機関を受診したことのある保護者951人の回答を集計しました。(調査期間:2018年3月2日~3月6日)

※設問によっては951人全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。
※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。
※記事中の青い文字はアンケートの自由回答からの引用です。
では、ここからアンケートの結果を見ていきましょう。

ADHDの子どもの医療機関受診を考えたきっかけ

「医療機関受診のきっかけはなんでしたか?」という質問に対する回答
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医療機関を受診するきっかけは、「発達障害の有無を知りたい」が44.2%と最も高く、「診断を受けたい」32.9%とともに大きなニーズが読み取れます。

「相談したい」も37.7%で、「治療を受けたい」23.7%とともに子どもの困りごとや育児の方法について医療面からの解決策を知りたいという声も目立ちました。

専門家や支援者などの第三者に相談した際に、受診をすすめられた人も31.9%と多いようです。

そのほかにも、児童発達支援や療育手帳の申請、特別支援学級や通級指導教室への進学、加配の先生をつけるなど目的のために、医師の診断書や意見書をもらおうと受診したという回答もありました。
その他、回答者の中には、

「小学校へあがるにあたって、診断名や特性をはっきりさせることでこれから我が子に関わる人に子どもの状態を理解してもらいやすくなると考えました。子どもがよりよい支援を受けられるようにするため受診しました。」

「まわり(父親や、両親)へ、理解を求めるため。」


など、周りへの理解が求めやすくなることを期待したという声もありました。

そもそもADHDが気になったのは?

ADHDの症状や特性による行動、困り感が医療機関受診の背景に

「お子さまのADHD症状や特性が気になったきっかけはなんでしたか?」という質問に対する回答
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ADHDには不注意、多動性、衝動性の3つが特性として見られます。子どもには多かれ少なかれ、このような傾向がありますが、アンケートの「同年代の子どもとの違いが気になった」45.4%が示すように、周りの同年代の子どもと比べ、ADHDの子どもは特性が強い場合が見られます。

これらの特性は時に、忘れ物が多い、授業に集中できないなど学校生活への支障や、すぐに飛び出して迷子になってしまう、順番やルールが守れない、カッとなってお友達を突き飛ばしてしまうなどのトラブルを引き起こしてしまいます。

このような行動の問題やトラブルが、園や学校、周りからの指摘につながっていると考えられます。保護者にとっても、それらがADHDの特性によるものだとはっきりしないことが、大きな育児ストレスになっているようです。
「してはいけない事を何度言っても繰り返す。その度に注意するが言われたことが分かっていないような上の空な様子。叱れば叱るほど落ち着きがなくなり言うことを聞かなくなった。幼稚園で親子共々孤立し、親の愛情不足、躾がきちんと出来ていないと陰で言われ、私も疲れて子どもがかわいいと思えなくなった事から。」

医療機関受診前にADHDについて何らかの知識を得ている人が過半数

「親的に、子育てをしてきて、なんとなく普通と感性がちがうなぁとおもっているなか、トラブルが増えてきて、本人がいろいろな状況で人間関係がつまずくため、「つらい」といってきた」

アンケートの自由回答の中には、子育ての辛さや悩みの原因をはっきりさせ、対処法を知りたいという気持ちが受診の背景にあったという人も多くいました。何より、トラブルや困り感は、子ども自身を苦しめている場合があるようです。
ADHDについて受診前に「よく知っていた」10.1%、「知っていた」40.0%という結果になりました。事前に何らかの知識を得ている人が多いことがわかります。「名前だけは知っていた」という回答も28.5%を占めていました。

情報収集した方の具体的な手段としては、インターネットを利用したという人が8割以上でした。
「受診前にADHDについての知識を得たり、情報を調べましたか?」という質問に対する回答
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保護者の違和感や「もしかして?」という気持ちからADHDについて調べ、発達相談や医療機関の受診につながることも多いようです。

調べる中で子どもの様子や困り感がADHDの症状に当てはまると気付いたという回答や、ADHDの可能性があるかどうか検討するセルフチェックを利用したという回答もありました。

気になる方は、まずはADHDに関するセルフチェックをしたり、インターネットの記事や書籍を見たりするとよいかもしれません。

以下にADHDの可能性の有無を示唆する簡易的なチェックリストへのリンクをご紹介します。
※ADHDがあるかどうかは、医療機関でないと判断できません。チェックリストは、あくまで参考とし、気になることがある場合は専門機関や医療機関への相談をおすすめします。

医療機関受診のハードルとなったことは?

「医療機関の受診までにハードルになったことはありますか?」という質問に対する回答
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「もしかしてADHDかもしれない」と思っても、医療機関を探して受診するとなると、なかなかすぐには踏み出せないハードルがあることもわかりました。
その理由としては「発達障害についてのネガティブな気持ち」(29.0%)、「受診に対する不安」(27.3%)、「家族の反対」(12.1%)など、心理面でのハードルも大きいことがわかります。

また、「初診の予約が取りにくい」(49.7%)、「病院が見つからない」(21.8%)の回答から、ADHDを含む発達障害を専門的に診察できる病院はまだ少なく、予約が取りにくいという現状も見えてきました。

さらに、近隣に病院がない地域や自治体が情報を持っていない地域などもあり、どこに病院があるか、また自分と子どもに合う病院はどこか、病院探しそのものがハードルとなっているようです。以下のようなエピソードも多く寄せられました。
「どの病院が診察できるのか分からない、通える範囲に診察できる病院が非常に少ない、電話しても予約でだいぶ先まで埋まってるので受付できないと断られる」

「発達心理などのリストに上がる病院でも実際発達障害に特化しているわけではなく、特化している病院の調べ方がわからず大変でした。」
ADHDの診察ができる病院を地域検索できるサイトもあります。以下のサイト「メンタルナビ」では、地域を絞ってADHDを診察できる病院を中心に調べることができます。電話番号や所在地のほか、子どもを診察できるか、予約診療かどうか、地図や診療時間、駐車場の有無なども調べることができるので、病院探しに役立ててみてください。

受診後、実際にADHDの診断を受けた人は41.4%

「お子さまの診断について教えてください。」という質問に対する回答
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ADHDの疑いで医療機関を受診しても、必ずしもADHDの診断を受けるわけではありません。実際にはアンケート回答者の子どもの41.4%がADHDの診断を受けていますが、ADHDの診断とそれ以外の疾患・障害の重複診断ありの子どもも33.9%でした。

また、「ADHD傾向のグレーゾーン」21.0%、「ADHD以外の診断名」16.5%、「受診したがADHDではなかった」2.4%などADHDの診断がつかない場合もあります。

診療科はどこを受診した?

「お子さまの発達障害に関する相談で、現在または過去に利用した診療科はどれですか」という質問に対する回答
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アンケートからもわかるように、ADHDかな、と思ったときに相談できる診療科は多岐にわたります。

・小児科…赤ちゃんから15歳くらいまでの子どもの病気全般をみます。必ずしもADHD等の発達障害専門とは限りませんが、親子にとってもっとも馴染みの深い診療科であり、かかりつけ医にまずは相談するという人も多いようです。また、小児科にADHD等の発達障害の診察が可能な医師がいる場合もあります。

・発達外来…子どもの発達を専門に扱う診療科です。発達障害の診療のほか、言葉の遅れや運動面、行動の問題、対人関係の問題などにアプローチするところも多いです。

・小児神経科…神経系の発達の問題や、てんかんや脳性麻痺などの子どもの神経系の疾患をみます。

・心療内科…主に心理面から現れる身体の不調や症状をみます。

・児童精神科・精神科…精神科は心に関わるさまざまな問題を診療します。子どもを専門とするのが児童精神科です。発達障害と合併しやすいうつ病や不安障害、摂食障害などの診療科でもあります。

実際の診療科の名称は病院が任意で付ける場合もあるので、異なる場合もあります。またADHDが診療できるかを含め、診療対象や診療内容も、それぞれの病院にお問い合わせください。

医療機関をどうやって探せばよいの?

「病院はどうやって見つけましたか?」という質問に対する回答
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アンケートの結果を見ると、行政などの発達相談や児童相談所、発達障害者支援センターなどの専門機関で紹介してもらうケースが多いようです。

一方、インターネットや知人の口コミを使って自力で探す人も少なくありません。その他、かかりつけ医からの紹介、学校や園から紹介されたという人もいました。

インターネットを利用して病院を探す場合、各病院のホームページを都度調べるのは時間がかかる上に、条件に合うかどうかを確認するのは簡単な作業ではありません。

前述の検索サイトなどを利用し、効率よく探せると良いかもしれません。

医療機関を探してみての感想は?

大変だったのは受け入れてくれる病院を探すこと

医療機関探しが「大変だった/非常に大変だった」と答えた人に、具体的に何が大変だったかを伺いました。
「どこで発達障害を診察してくれるのかがわからない。あちこちに電話で問い合わせたり、病院に聞いたりした。療育や保育園では病院の紹介をしてくれなかった(口コミでもいいから教えてほしかった)」

「受診したい病院は全く予約がとれない。」
エピソードはさまざまですが、予約の取りにくさと確かな情報の少なさがネックになったケースが多いようです。

欲しかったのは検索性と具体的な情報

「どんな環境があれば医療機関探しは楽になると考えますか?」という質問に対する回答
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お住まいの地域にどれだけADHDをみられる医療機関があるかがわかると、楽になると考える人が多いようです。

また、治療内容や診療している疾患、予約の可否などの病院の具体的な情報がわかったら選びやすかったという声が多く寄せられました。どんな医師がいるのか、どんな相談・診療をしているのか、病院のホームページなどで詳しい情報が見つけられない、あるいは情報がない病院も少なくないという現状があるようです。

こちらも今ある検索サイトなどを上手に使いながら、保護者が自分と子どもに合う病院が探せるとよいでしょう。

医療機関を受診してみた感想は?

受診しての印象は人それぞれ

「医療機関に対する印象は受診前と変わりましたか?」という質問に対する回答
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「変わらない」(42.4%)がもっとも多いですが、「よくなった」(29.5%)、「悪くなった」(11.8%)まで、さまざまです。

具体的にどんなふうに印象が変わったかも、さまざまな回答が寄せられました。

「病院は、子どもの診断をして、対処法だけを教えてくれるだけだと思っていたんですけど、実際には、親の気持ちまで考えてくれる先生でした。親が不安に思う気持ちをしっかり理解してくださっていて、少しでも気持ちが楽になるようにと色々な話をしてくれました。」

「検査結果が詳しく分かり、これからどう対応していけばよいのかアドバイスをもらえたのがよかった。結果を学校の担任の先生に直接説明してくれるので、学校側に理解してもらう上でも助かった。」

「保護者向けの講習会を病院内で行ってくれて、関わり方、知識、今後の進学に向けての流れなど、沢山教われたので、余裕が生まれた。」

「待ち時間が長く、診察時間が短く、何をしに行っているのかわからなかった。
医師と子どもの相性が良くなかったのだが、他に行くところが無かった。」


ひと言で医療機関といっても病院の方針や担当する医師によっても診療内容はさまざまです。相性もありますので、病院選びの際にできるだけ情報を集めるようにするとよいでしょう。

医療機関受診が親子の困り感を軽減するきっかけになることも

「医療機関を利用してお子さまの様子や親子の生活で変わったことや、ご自身の心境の変化はありましたか?」という質問に対する回答
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7割の方が、受診後に子どもへの接し方や自身の心境、子どもの様子などに何らかの変化を感じているようです。

「子どものことを直接知る専門家に出会えたこと、子ども自身も知っている「優しいお医者さん」ができたことによる安心感。(親が死んでも、何かあった時に子ども自身が受診できる先があること)」

「診断名があると、教師の態度、対応が違う。」

「服薬を始めたので、衝動のコントロールや親の話を聞くことが出来るようになったり、かんしゃくがかなり減った。その為SSTが進めやすくなった。
クラスメートとの関係がスムーズにいくようになってきて、他人の気持ちや考えを受け入れられる余裕も出てきた。
親としても関り方や方法の相談が出来るので一人で抱え込まなくなった。」

約半数が医療機関で相談もしている

「医療機関に診断や治療法以外で相談はしますか?」という質問に対する回答
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約半数の方が、診断や治療法以外の相談をしていることがわかりました。

「本人が困っていることに対しての対策や、学校などでの在り方について相談している。」

「家庭(兄弟、夫への説明や協力の得方)」

「保護者自身のお悩み相談」


など学校生活や家庭での課題についても幅広く相談しているとのこと。

医療機関は、診断や治療をするだけではありません。専門家の立場からアドバイスをするなど、保護者のよき相談相手としての一面もあるようです。

まとめ

最後に、これから医療機関を探し、初診を受ける保護者の方に向け、アドバイスをいただきました。
「相談窓口は1つでも多い方がいいと思います。心理士の先生と医師の意見や考えは違ったりするのでそれもいいことだと思います。」

「一番最初に区や県の担当部署にリストの有無の問い合わせをする、その際可能な範囲で口コミやアドバイスをもらう。近接する県などの通える範囲の場所の都道府県の窓口にも相談する。リスト入手と並行して自分が医療機関でなんのサービスが欲しいかもピックアップ(わかる場合)。リストとつきあわせ、通える範囲のなかからチェックリスト化して個別に問い合わせる」

「親子ともに先生との相性もあり、長期治療になる内容だけに、医療機関に何を求めるのかで、大きな病院にするのか個人病院にするのか等違ってくると思います」


医療機関と言っても、さまざまなところがあり、地域や病院の方針、本人との相性などによっても医療機関探しの経験はさまざまだということが今回のアンケートからわかりました。また、みなさんの医療機関探しの経験から、効率よく情報を得るための方法や医療機関とつながるヒントもご紹介しました。

育児に悩んだり、ADHDの特性による困り感のある親子にとって、医療機関は大切な相談先の一つであり、受けられる支援もたくさんあります。

ぜひアンケートで寄せられた経験者951人の貴重な声を参考にし、相性の良い医療機関探しに役立てていただければ幸いです。
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