子どもの達成感とやる気を引き出すトークンエコノミー、夏休みに親子で嬉しい成功体験をしよう【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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いよいよ夏休み。「今年の夏こそは充実させたいけど、目標を決めても続かない…!」そんな親子にぴったりなトークンエコノミーシステムをご紹介します!発達ナビオリジナルの、夏らしくてかわいい「トークンシート」もダウンロードできます!

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

夏休み、親子で「トークンエコノミー」やってみませんか?

いよいよ夏休み。

長い休み中だからこそできることに挑戦したい、お手伝いや宿題などに継続的に取り組める習慣をつくりたい。でもいざ「お花に水をあげる」「絵日記を毎日書く」などと目標を決めても、なかなか続かず、結局三日坊主に終わってしまう…気づけば子どもを口うるさく注意して険悪に…そんな経験をする親子も多いのではないでしょうか?

そこで、発達ナビでは、親子で楽しく取り組める、トークンエコノミーシステムをご紹介します。目標を立てて取り組み、できたらごほうびと交換できるという仕組みです。「できた!」が見える化されやすい方法なので、発達障害のある子にとっても取り組みやすく、療育現場などでも広く取り入れられています。

今回のコラムでは、発達ナビ特製の「トークンシート」もダウンロードできます。ぜひ、この夏、親子で取り組んでみませんか?

トークンエコノミーの仕組み

ポイントカードもトークンエコノミーの一種

トークンエコノミーシステムは、自己コントロールを育てるほめ方のひとつです。

望ましい行動を促すために、ごほうび(報酬)を利用するという方法で、事前に本人と目標や課題を決め、その課題ができたらシールをあげたり、スタンプを押してあげたり、ポイントをあげます。そしてポイントを集めると好きな活動やものと交換できるシステムです。

トークンエコノミーの仕組みはいろいろなところで取り入れられています。例えば、お店で買い物するとスタンプが1つもらえ、10個貯まると景品と交換してもらえるといったポイントカードもその一つです。
お店のポイントカードのトークンエコノミーシステムの図。
お店のポイントカードのトークンエコノミーシステム
Upload By 発達障害のキホン
お店にとっては、ポイントカードによって「商品を買ってもらう」という望ましい行動を促します。ここで大切なのは、「努力に見合う」と感じ、ご褒美をあげる側と取り組む側が合意できることです。

つまり望ましい行動をした結果がお客さんに取っても嬉しいごほうびであること、そしてその課題や回数が「頑張ればできそう!」と感じられることです。

もらえるものがうれしくない、欲しくないものだったら初めから取り組もうとしないかもしれません。また、あまり行かないお店なのに、スタンプを100個集めなくてはならないとなると、途中で挫折してしまう、ということもあるでしょう。

ですが、上手に目標と報酬が設定できれば、次第にポイントを集めること自体が楽しくなって、気づけばお店に行くのも習慣になっている、という経験のある人もいるのではないでしょうか?

子どもと取り組むトークンエコノミーシステムも、このポイントカードと同じような仕組みです。最終的には、トークン(ごほうび)がなくても、その行動ができるようになることを目指します。

トークンエコノミーシステムのメリットは?

・結果がシールやスタンプなどで見える化でき、できたことに着目しやすい
・目標と、目標までの見通しがたてやすい
・その場でご褒美にするものや活動がなくてよい
・シールやスタンプを集めること自体も楽しめるので継続しやすい など

目標に向かって一定期間頑張ること、セルフコントロールや達成感が得られやすい方法です。ポイントをためてご褒美と交換するシステムなので、行動の直後にご褒美がなくても見通しを持って努力し、達成することを経験から学べます。この経験は、例えば大人になった時に給料の仕組みを理解しやすくなるなど、将来のセルフコントロールにもつながります。

例えば「お菓子を毎回買ってあげるのはちょっと…」というときなど、子どもとスモールステップで課題に取り組んでいると、ご褒美(強化子)を毎回提示することが難しいこともあります。そんな時は「10回できたらお菓子」というポイント制は便利です。

また、夏休みなどで目標を決めてじっくり取り組みたい機会や、特に頑張りたいことがある時は、決まったご褒美(強化子)以外のちょっと特別なご褒美を設定することで、より継続しやすく、頑張れる場合もあります。
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