福祉避難所とは?障害のある人など要支援者のための災害時の施設について【専門家監修】
ライター:発達障害のキホン
「災害が起きたらどうするか」災害への備えを確認しませんか? 障害のある方やご家族は特に、災害時の避難所などでの生活を不安に感じているかもしれません。避難所には、一般避難所のほかに支援や配慮を必要とする方のための「福祉避難所」があります。いざというときのため、対象者や、避難の流れ、さらに事前に準備すべきことなど、知っておきたい情報をまとめました。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
福祉避難所とは
福祉避難所とは、一般の避難所での生活が困難であったり、配慮が必要な高齢者や障害のある方のための避難所です。平成30年10月1日現在、全国に22,579施設が設置されています。
災害時、自宅が倒壊したり危険な状態にあるときに、一定の期間、避難所での生活を余儀なくされる場合があります。ただでさえ災害に見舞われた恐怖や慌ただしさの中で避難所では不安な状況にありますが、障害・持病がある方やお年寄り、妊娠されている方などはより一層困難な状況におかれます。
福祉避難所では、そのような配慮を必要とする方々が避難し、円滑な施設の利用や、助言や支援を受ける体制を整え、適切な生活環境の確保を目指しています。
災害対策基本法施行規則では以下のように定められています。
福祉避難所では、そのような配慮を必要とする方々が避難し、円滑な施設の利用や、助言や支援を受ける体制を整え、適切な生活環境の確保を目指しています。
災害対策基本法施行規則では以下のように定められています。
第一条の九 令第二十条の六の内閣府令で定める基準は、次のとおりとする。
一 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この条において「要配慮者」という。)の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること。
二 災害が発生した場合において要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されること。
三 災害が発生した場合において主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されること。
福祉避難所の対象の人は?
内閣府による福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、福祉避難所の対象について次のように示しています。
福祉避難所の受入対象者として想定されているのは、法律上「要配慮者」ということになる。要配慮者は、「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)と定義されている。よって、福祉避難所の事前指定やその準備は、これらの人々を受入対象として備えておく必要がある。「その他の特に配慮を要する者」として、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者、医療的ケア(※)を必要とする者等が想定される。これらの人々は、一般的な避難所では生活に支障が想定されるため、福祉避難所を設置し、受け入れ、何らかの特別な配慮をする必要がある。
引用:福祉避難所の確保・運営 ガイドライン平成28年4月(令和3年5月改定)|内閣府(防災担当)
また、内閣府の示すガイドラインによると、要配慮者の家族も同行することが可能であるとしています。受け入れられる状況によって要配慮者の中でも重症であったり、ニーズの高い方が優先されます。
福祉避難所の運営は民間企業やNPO、ボランティア団体などが指定管理者となり、自治体主体で行われています。施設や地域によっても状況が異なるため、お住まいの地区でどのような対応をしているのか事前に確認しておくことが重要です。
福祉避難所の運営は民間企業やNPO、ボランティア団体などが指定管理者となり、自治体主体で行われています。施設や地域によっても状況が異なるため、お住まいの地区でどのような対応をしているのか事前に確認しておくことが重要です。
どんな場所が福祉避難所になるのか?
困りごとのある方々を受け入れる福祉避難所の候補となる場所は、「バリアフリー」であり「支援者をより確保しやすい」ところです。この2つのポイントに重きを置いてみると、以下のような施設が想定されます。
・一般の避難所となっている施設(小・中学校、公民館等)
・老人福祉施設(老人デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、老 人福祉センター等)
・障害者支援施設等の施設(公共・民間)
・児童福祉施設(保育所等)、保健センター
・特別支援学校
・宿泊施設(公共・民間)
市区町村などの自治体はこれらの施設の設備や、そこで支援を行うことのできる人材などの状況をあらかじめ情報収集し、福祉避難所として活用できるように準備しています。地域によって異なるため事前に確認しておきましょう。