福祉避難所とは?障害のある人など要支援者のための災害時の施設について詳しく説明します

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9月1日は「防災の日」。「災害が起きたらどうするか」災害への備えを確認しませんか?障害のある方やご家族は特に災害時の避難所などでの生活を不安に感じていると思います。そんな支援や配慮を必要とする方のための「福祉避難所」があります。いざというときのため、対象者や、避難の流れ、さらに事前に準備すべきことなど、知っておきたい情報をまとめました。

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福祉避難所とは

福祉避難所とは、一般の避難所での生活が困難であったり、配慮が必要な高齢者や障害のある方のための避難所です。平成28年時点で全国に2万185施設が設置されています。

災害時、自宅が倒壊したり危険な状態にあるときに、一定の期間、避難所での生活を余儀なくされる場合があります。ただでさえ災害に見舞われた恐怖や慌ただしさの中で避難所では不安な状況にありますが、障害がある方、持病をお持ちの方やお年寄り、妊娠されている方などはより一層困難な状況におかれます。

福祉避難所では、そのような配慮を必要とする方々が避難し、円滑な施設の利用や、助言や支援を受ける体制を整え、適切な生活環境の確保を目指しています。

内閣府令で定める基準は、次の通り(災害対策基本法施行規則第1条の9)。
・ 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この条 において「要配慮者」という。)の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること。
・ 災害が発生した場合において要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されること。
・ 災害が発生した場合において主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されること。

出典:http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_hukushi_guidelin...

福祉避難所の対象の人は?

福祉避難所の利用対象者は「要配慮者」とされています。実際にどのような人が当てはまるのか詳しくみていきましょう。

以下が内閣府による要配慮者の定義です。

「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」
(災害対策基本法第8条第2項第15号)

出典:http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_hukushi_guidelin...
「その他の特に配慮を要する者」は、一般的な避難所での生活では支障をきたしてしまい、何らかの配慮が必要となる方を指します。

つまり、福祉避難所を利用することができることになるのは以下のような方です。
・障害のある方(身体障害者、知的障害者、精神障害者)
・高齢者
・妊産婦
・乳幼児
・難病患者
・傷病者

また、内閣府の示すガイドラインによると、要配慮者の家族も同行することが可能であるとしています。

ただし、避難所の運営は民間企業やNPO、ボランティア団体などが指定管理者となり、自治体主体で行われています。そのことから、それぞれの地域で異なる決まりがなされている場合もあります。

お住まいの地区がどのような対応をしているのか事前に確認しておくことが重要です。

どんな場所が福祉避難所になるのか?

困りごとのある方々を受け入れる福祉避難所の候補となる場所は、「バリアフリー」であり「支援者をより確保しやすい」ところです。この2つのポイントに重きを置いてみると、以下のような施設が想定されます。

・一般の避難所となっている施設(小・中学校、公民館等)
・老人福祉施設 (デイサービスセンター、小規模多機能施設、老人福祉センター等)
・障害者支援施設等の施設(公共・民間)
・児童福祉施設(保育所等)、保健センター、特別支援学校
・宿泊施設(公共・民間)

出典:http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_hukushi_guidelin...
市区町村などの自治体はこれらの施設の設備や、そこで支援を行うことのできる人材などの状況をあらかじめ情報収集し、福祉避難所として活用できるように準備しています。

要支援者の災害時の避難所での困難とは?

避難生活は、多くの方にとってストレスフルと言えますが、要支援者の方々はさらに困難を感じがちです。特に一見障害があるとわかりにくい方は、困りごとが理解されにくく窮屈な思いをしたり、過度なストレスを感じてしまうこともあります。

さらに、一般の避難所での生活が困難であることから自宅避難や車中泊に切り替える方もいます。そのため、支援物資などが行き渡らないなどの問題や、狭い場所での寝泊まりでエコノミークラス症候群などのリスクも高まります。

福祉避難所では支援を必要とする人、困りごとのある人が適切な施設の利用や配慮を受けられるように開設されます。

福祉避難所の課題

福祉避難所に関しては、住民に周知されていない、支援者側の人手不足、施設入所者以外の困りごとの把握が困難であること、などの問題も指摘されています。熊本地震では想定よりも少ない開設数と利用者数になってしまいました。

住民への福祉避難所についての周知に関しては、26.5%の自治体が行っていない現状があります。周知することが困難である理由として、内閣府の調査によると

・二次避難所としての位置づけだが、受け入れる体制が整う前に直接避難してきてしまう可能性がある(支援者側も被災することや、福祉施設などでは通常運営と並行して行われることなどによる人員不足)
・要支援者が対象だが、一般の人が直接避難してきてしまう恐れがある

の2つが大きな課題としてあげられていました。
そのため、事前に要支援者の大まかな人数の把握や事前通知、避難所でスクリーニングを行い要支援者を把握して二次避難所として福祉避難所を提供するなどの対応が検討されています。

ただし先述のとおり、避難所の開設の流れは国で統一せず市区町村など自治体により異なるため、自分の住む地域の周知が不十分であったり、他の地域とは異なっていたりする可能性もあります。事前に自分はどこの避難所に行き、どのように福祉避難所にたどり着けばよいのかを確認することが必要です。

避難までのステップ

福祉避難所の利用の仕方を調べる場合、お住まいの地域の市区町村のホームページを検索し、防災・災害時に関するページから情報を得たり、「地域名 避難」などで検索してみてください。

もしも情報の記載がなかったり、不十分であった場合は市区町村の福祉課や防災課に問い合わせを行うなどして、いざというときの行動をイメージできるようにしましょう。

ここでは、発達障害のある方が避難する場合の一般的な流れを紹介します。ただし、命を守る緊急の避難を終えた後に、避難所での生活を余儀なくされた場合についてです。それぞれの災害における緊急の避難は、命を最優先に避難勧告や指示に従いましょう。状況によって判断できるようにあらかじめ準備をしてみてください。

命の安全が確保された後自宅での生活が困難な場合、まず最初は市区町村などから指定された避難所に移動しましょう。

次に指定された避難所では多くの人が集まるため、その場で生活することが困難になってしまう場合に、その避難所内(もしくは近く)に設置される福祉避難室への移動を相談しましょう。ここでは専門性の高いサービスなどは必要ではないが、配慮を必要としている要支援者の方が生活できます。

しかし、福祉避難室での生活が困難な人もいます。二次避難所である福祉避難所の利用が必要な人たちは、受け入れ側の体制が整い次第、福祉避難所へ移動することが可能となります。細かな指示や流れは自治体ごとに異なるため、必ず事前に確認をしておきましょう。
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準備しておくべきこと・もの

避難のイメージをつけると同時に、防災用品の準備も大切です。ここでは発達障害のあるお子さんのいるご家庭向けに一般の防災グッズに合わせて、特に準備したいものについてまとめました!
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・常備薬とその説明書
・ヘルプマーク、ヘルプカード、サポートブックなど
・偏食があっても食べられる飲食物
・耳栓、アイマスク、簡易トイレなど、苦手なもの対策
・いつも使っていて安心できるもの(毛布、ぬいぐるみ、ゲームなど)
・家族での防災マニュアル
など

リタリコではお子さんにどのような困りごとがあり、どのように接してほしいかを書くことのできる「サポートブック」を配布しています。また、目に見えない困難がある人のためのヘルプマークについての記事も載せているので参照してみてください。
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さらに、発達障害のあるお子さんが、いつもと違う場所や行動をすることでパニックになってしまわないためにも、平常時に避難の予行演習などに積極的に参加したり、予習として実際に足を運んでみることもよりスムーズな避難のために大切なことです。

まとめ

災害などのもしもの時に、困りごとがあり配慮が必要であるなど、災害時の避難所での生活を不安に思われている方は特に、お住まいの地域の福祉避難所の利用をご検討ください。

また、避難の流れや防災用品の準備に加えて、もしもの時にどのように行動するのか、防災の日をよい機会に、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
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