要支援者の災害時の(一般の)避難所での困難とは?

避難生活は、多くの方にとってストレスフルと言えますが、要支援者の方々はさらに困難を感じがちです。特に一見障害があると分かりにくい場合は、困りごとが理解されにくく窮屈な思いをしたり、過度なストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。

さらに、一般の避難所での生活が困難であることから自宅避難や車中泊に切り替える方もいます。そのため、支援物資などが行き渡らないなどの問題や、狭い場所での寝泊まりでエコノミークラス症候群などのリスクも高まります。

福祉避難所では支援を必要とする人、困りごとのある人が適切な施設の利用や配慮を受けられるように開設されます。

福祉避難所の課題

福祉避難所に関しては、住民に周知されていない、支援者側の人手不足、施設入所者以外の困りごとの把握が困難であること、などの問題も指摘されています。熊本地震では想定よりも少ない開設数と利用者数になってしまいました(※1)。

住民への福祉避難所についての周知に関しては、26.5%の自治体が行っていない現状があります(※2)。周知することが困難である理由として、内閣府の調査によると

・二次避難所としての位置づけだが、受け入れる体制が整う前に直接避難してきてしまう可能性がある(支援者側も被災することや、福祉施設などでは通常運営と並行して行われることなどによる人員不足)
・要支援者が対象だが、一般の人が直接避難してきてしまう恐れがある

の2つが大きな課題としてあげられていました。
(※1) 出典:平成28年熊本地震における福祉避難所での要配慮者の受入状況
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisss/31/0/31_87/_pdf/-char/ja
(※2)出典:指定避難所等における良好な生活環境を確保するための推進策検討調査報告書|内閣府(防災担当)28ページ目
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/20180808_seikatukannkyo_houkokusho.pdf
そのため、事前に要支援者の大まかな人数の把握や事前通知、避難所でスクリーニングを行い要支援者を把握して二次避難所として福祉避難所を提供するなどの対応が検討されています。

ただし先述のとおり、避難所の開設の流れは国で統一せず市区町村など自治体により異なります。事前に自分はどこの避難所に行き、どのように福祉避難所にたどり着けばよいのかを確認することが必要です。

避難までのステップ

福祉避難所の利用の仕方を調べる場合、お住まいの地域の市区町村のWebサイトを検索し、防災・災害時に関するページから情報を得たり、「(地域名) 福祉避難所」などで検索してみてください。

もしも情報の記載がなかったり、見つけられない場合は市区町村の福祉課や防災課に問い合わせを行うなどして、いざというときの行動をイメージできるようにしましょう。

ここでは、発達障害のある方が避難する場合の一般的な流れを紹介します。ただし、命を守る緊急の避難を終えた後に、避難所での生活を余儀なくされた場合についてです。それぞれの災害における緊急の避難は、命を最優先に避難勧告や指示に従いましょう。状況によって判断できるようにあらかじめ準備をしてみてください。

命の安全が確保された後自宅での生活が困難な場合、まず最初は市区町村などから指定された避難所に移動しましょう。

次に指定された避難所では多くの人が集まるため、その場で生活することが困難になってしまう場合に、その避難所内(もしくは近く)に設置される福祉避難室への移動を相談しましょう。ここでは専門性の高いサービスなどは必要ではないが、配慮を必要としている要支援者の方が生活できます。

しかし、福祉避難室での生活が困難な人もいます。二次避難所である福祉避難所の利用が必要な人たちは、受け入れ側の体制が整い次第、福祉避難所へ移動することが可能となります。細かな指示や流れは自治体ごとに異なるため、必ず事前に確認をしておきましょう。
発達障害のある方が避難する場合の一般的な流れ
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