「お姉ちゃんには障害があるの?」自閉症の子のきょうだい児の成長に、願うこと

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わが家には19歳の発達障害の娘と10歳の定型発達の息子がいます。病気や障害がある子どものきょうだいのことを、「きょうだい児」 と呼びます。病気や障害がある子がいると、親の手はどうしてもそちらにかかりがちになります。そこで、きょうだい児は、さみしさを感じたり、がまんをする場面も多くなると言われています。

最近は、きょうだい児と親の関わりや、心のケアへの関心が少しずつ高まってきました。今回は、「きょうだい児」である息子の子育てについての話をしてみようと思います。

荒木まち子
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発達障害のある子と定型発達の子の子育ては、天と地ほどの差がある

私は息子が生まれてすぐに、発達障害のある子どもと定型発達の子どもの子育てには天と地ほどの差があると知りました。

・抱っこしても海老反りせず身を任せてくる
・発語のない0歳の時でもこちらの言っていることは解っている
・長時間泣かない
・外出時、自ら手を握ってくる

定型発達の子どもを育てている親御さんには当たり前のことでも、1人目の子どもが発達障害だった私にはすべてが新鮮でした。そして「世間一般の人が体験する子どもの夜泣きや迷子、発語の遅さはこの程度なのか。何て楽なんだろう」と感じたものでした。

まだ小さいのに、気遣いができるなんて!

息子にとって「お姉ちゃん」は生まれたときから「傍にいて当たり前」の存在でした。小さいころはゲームの取り合いなどで喧嘩もよくしましたが、自分より知識があり色々なことを教えてくれる姉を尊敬していました。
息子が小学校に上がったころからでしょうか、娘が近くに来ると、それまで私の横に座っていた息子が遠い席に移動するようになりました。

後で理由を聞くと、「僕とお母さんが仲良くしているとお姉ちゃんが寂しく思っちゃうから」と言いました。小学校低学年なのにそんな気遣いをするものなのかと、驚いたものです。

息子8歳、高校生の娘は反抗期真っ盛り

娘が高校生だったころ、何を言っても全否定!という時期がありました。
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いつものように、私と娘がバトルをしていたときのこと。息子が険悪な母娘の横で、お笑い番組をつけたのです。
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息子がテレビをつけたことで、娘は気持ちの転換ができ、落ち着いたのでした。息子に話を聞くと…
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息子10歳、深刻そうな顔をして…

息子が深刻そうな顔をして、話しかけてきました。

息子「今日、学校で友達が『障害者ってウザいよね』って言ったんだ。その言葉がすごく嫌だったんだけど、俺そのとき、黙っちゃったんだ」

私「そうなんだ」

息子「ムキになって『そんなことない』って言うのもどうかと思ってさ。でも友達のその言葉が心に突き刺さってホント嫌な気持ちになったんだ」

私「うん、その気持ち分かるよ」

息子「…お姉ちゃんってさ、障害あるんだよね?検査とかしてるの?」

私「発達検査のこと?しているよ」

息子「してたんだ。診断名は何?」

私「自閉症だよ」

息子「ふうん、自閉症か。俺、実は本とかで調べたんだ。いつからそうなの?」 

私「生まれたときからだよ。小さいころから周りの子と違うと感じてたんだ」

息子「へぇ、お母さんは分かってたんだ?俺、ずっと気づかなかったよ。何が原因なの?」

私「脳の伝達機能の問題らしいけど、まだはっきりとは解明されていないんだよ」
息子は娘が病院に通っていることを知っていましたし、私が娘と進路や将来のことなどを話すのを聞いていました。

でも生まれてからずっと一緒に暮らしてきた彼は
・計算は苦手だけど絵が得意
・本が好きで色々なことを知っている
・泣いたり怒ったりもするけど、一緒に笑ったり冗談を言い合える
・不器用だけどサボらず真面目
・寂しがり屋で優しい
という“個性”を持つ姉として彼女を受け入れていました。

成長するにつれ、姉が自分や周りの友達と違うことに気づき始めた息子は、内緒で図書館やネットで姉の症状について調べたのでしょう。

思春期の入り口に立った息子に

私は息子の話を聞き彼の気持ちを受け止めます。質問に答えます。でも私は娘に関することについて「息子にはこうして欲しい」などの要望は言わないようにしています。

なので、この日私は息子に
「5、6年になると、そういうこと口にする子もいるよね」
「それってどうなんだろうね」
とだけ言いました。
初めての発達障害児の子育ては分からない事ばかりです。それは、きょうだい児の子育ても同じです。私がしていることが正しいのかは分かりません。

先日私は会話の中で息子にあるヒントを出しました。

「私が『障害者の親の会』に参加しているのは知ってるでしょ?そこで私は経験した人にしか分からない悩みや情報を共有したり、笑い話をしたりして元気をもらっているんだ。世の中には他にも『認知症の親を持つ子の会』とか『がんの当事者会』とかいろいろな会があるんだけど『きょうだい児の会』っていうのもあるんだよ」

障害がある子の親がそうであるように、きょうだい児にはきょうだい児にしか分からない悩みや苦労があるはず。苦しくなったり、壁にぶち当たったり、一人で抱え込めなくなったとき。そこに足を運べばきっと気持ちが楽になる、そんな場所があるんだよ、と。

これから本格的な思春期を迎える息子の悩みが少しでも軽くなれば良いな、という願いを込めて。
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