子どもの進学先、どこを希望する?自閉症の息子の「自尊感情」を一番に考えた、わが家の場合

ライター:立石美津子
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お子さんに発達の凸凹や遅れがあると、進級先について悩み、迷う方も多いのではないでしょうか。通常級?特別支援級?特別支援学校?どこがベストなのでしょう。

知的障害を伴う自閉症の息子は、特別支援学校と特別支援学級の両方を経験しました。そこで感じたこととは…。

子どもの進学先、どこを希望する?

ノンフィクションの書籍『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)の題材となった立石美津子です。

息子は知的障害のある自閉症です。わが家の場合は就学時健診も受けず、迷わず“特別支援学校”(当時は養護学校という名前)に入学希望を出しました。

どうしてかというと…

保育園時代、たった一人だけ障害児で母子ともに孤独だったこと。福祉の情報が入らなかったこと。

それから一番の理由は…

息子はじっとしていることが出来ませんでした。更に不器用なのでお絵描き、制作なども全くダメでした。周りに関心がなかったとはいえ、「自分だけできない」ことは本人なりに感じ取っていたと思います。

私は、自尊感情をきちんと育むことは、とても大切だと思っています。ですから、人生の最初の段階である小学校時代に “周りの子ができて、自分だけあれもこれもできない”という経験を幼い息子にさせたくありませんでした。「僕はできない子なんだ」と自己否定してしまい、自尊感情が育たなくなることだけは避けたかったのです。

更に教員1名対児童8名の特別支援学級ではなく、教員1名対児童6名という人員配置でより個別に丁寧に見てくれると考え、特別支援学校に進学を希望したのです(実際には、息子の学級は教員2名対児童5名でした)。

特別支援学校の個別の支援計画

特別支援学校に入学すると、担任の先生から「どんなことを学ばせたいですか?」と聞かれました。「靴ひもが結べない」「時間感覚がない」と担任に伝えると、息子のために一冊の分厚い個別の支援計画が用意されました。
これは、息子のために担任の先生がつくってくれた“蝶結びをマスターするための道具”です。
蝶結びをマスターするための道具
Upload By 立石美津子
こうして、蝶結びも、時計も読めるようになり、ある程度のことができるようになりました。

特別支援学級に転校することに

ところが、小学2年生のとき、東京都指導主事の巡回がありました。息子が集中して課題に取り組んでいる様子を見て「この子は支援級に転校した方がいいのではないか」と学校側に東京都から指示がありました。

確かに、特別支援学校での手厚い指導により、入学してからの2年間で着替え排泄など身辺自立や、文字・制作などさまざまなことができるようになっていました。

こうして3年生で支援学級に転校することになりました。特別支援級は今までより1学級あたりの人数も多く、特別支援学校ほどの手厚さはありませんでした。また、基本的に一斉指導で授業は行われていました。教科によっては、息子にとってやさしすぎたり、難し過ぎたりすることもありました。

けれども、個別指導の時間もありましたので、息子は登校渋りもなく、毎日元気に学校に通うことができました。息子は、中学校でも特別支援学級で学び、現在は特別支援学校高等部3年生です。
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