サポートブックの活用を

文部科学省の規定で、小学校の1年生の人数は1クラス35名となっています。2年生からは40名。非常勤のスタッフが加配という形で人員が多くなることもありますが、基本、教師1名:生徒40名が通常学級です。

同じ教室で共に学ぶ“インクルーシブ教育”のためにも個別の支援は欠かせません。

お子さんの発達が気になるご家庭で、通常学級への就学を考える場合は、子どもが少しでも過ごしやすい環境を整えるため、保護者自身が子どもの特性を理解し、学校の先生への説明・相談を丁寧に行うことが大切です。

近年では通級による取り出し指導も充実してきていますし、障害者差別解消法の施行により、合理的配慮も求めやすくなりました。ですが、担任の先生も発達障害支援の専門家ではないことを前提に、子どもの特性や、どのような支援が必要かなどを保護者の側からも情報発信することが重要だと思います。
そこで、発達障害のある子どもが学校で学ぶ際には、なんでも学校任せにするのではなく、保護者が学校としっかり提携して、互いに協力しながら子どもを育てていく姿勢が大切だと思います。(通常学級に在籍する場合だけでなく、特別支援学級や特別支援学校に進む場合も、サポートブックを用意できたほうが、先生方はより指導がしやすくなると思います)

■サポートブックに記載する内容の例
・成育歴
・「特別な配慮が必要な子」として保育園、幼稚園担任からの細かい申し送り
・主治医や療育施設からのアドバイスの共有
・発達検査・心理検査の結果
・子ども本人がどんなことが苦手で、どんなことが得意か
・子どもが理解しやすい指示の伝え方
・パニックを起こしたときの対処法
・絶対に避けてほしいこと(急に音楽を鳴らすのではなく事前予告し、小さな音から徐々になど)
・どのようなタイプの友達が苦手なのか、どんなタイプの子と馬が合うか など

学校の先生は、障害名は知っていても、その分野への専門的な知識があるとは限りませんし、どんな著名な医者や専門家より、生まれたときからずっと育ててきた保護者が一番、子どものことを知っているはずです。

特別に支援される意味

何より、障害の軽い子も中くらいの子も重い子も含め、一人ひとりの学びの機会を最大限保障することが教育の目的ですから、障害の程度や周囲との関わりも踏まえて、保護者が自分の子どもに最も合った環境を検討していく必要があると思うのです。

子どもの状態に合わないクラスに在籍し、担任に対して「うちの子がみんなについていけるように、きちんと対応して!」と要望だけ主張するのは、内科を受診して「虫歯を治してください」と言っているのと同じことのように私は感じてしまいます。

それぞれの家庭の方針があると思いますが、置かれた環境次第で自信がついたり、逆に自信を無くしてしまったりするのが人間です。ですから、「子どもの能力に一番適した成功体験や達成感が得られる教育環境なんだろう?」と考えることが大切だと思います。

息子が小学校に入学した時代は“特別支援”という言葉がなく、支援級を特殊学級、支援学校を養護学校と呼んでいました。2年生になったときに法改正があり“特殊学級→特別支援学級、養護学校→特別支援学校”となりました。

“○○特別支援学校”、「特別に支援します」という意味を含んだ言葉が印刷されているスクールバスを見て、誇らしく嬉しく思ったことを、今でも思い出します。

著者親子のルポルタージュ

2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
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このコラムを書いた人の著書

立石流子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
立石美津子
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