「息子の問題行動、私のせい?」誰にも言えない悩みを話せた教育相談所――その後の親子関係の土台を築いた2年間のコト

ライター:かなしろにゃんこ。
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太。小学校3年生のときに、学校でも家でもイライラがピークに!一人で抱えきれなくなった私は息子と一緒に、担任の先生に紹介された教育相談所に通うことにしたのでした。

ADHD息子、小学3年生で学校生活のストレスが溜まりはじめて...

面談にて、リュウ太くんが学校で友達と喧嘩になり、授業中に机に伏せてしまうことを、担任の先生から説明される母の様子
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太が小学校3年生のとき。リュウ太は、学校でイライラすることが多くなりました。そして周囲とケンカになる、机に伏せて授業が受けられないなど、学校生活を送る上での問題が目立ってきたのです。

担任の先生との一学期の面談では、「リュウ太くんは他の子よりも心の成長が遅いのかもしれません。教育相談所に相談してみたらどうでしょう?」と言われました。
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学校の先生は、ADHD息子と母のサポーター!よい関係を築くため、母が心がけたコトとは…?

学校でのストレスが積み重なり、お腹が痛いと訴えるリュウ太くんと、それをみて教育相談所への連絡を決意する母の様子
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私もリュウ太は年齢よりも幼いし、気性も激しくて育てにくいと感じていたので、やっぱり何か発達に問題があるのかもしれない…と思い、担任の先生が勧めてくれた教育相談所に連絡してみようと思い始めました。

とはいえ私はそれまで、教育相談所という機関の存在なんて気にしたことすらありませんでした。それに当時は今から12年前。スマホで手軽にネット検索できる時代ではありませんでしたから、教育相談所がどんなところなのか何も情報がない状態で不安な気持ちなこともあって、すぐに問い合わせる勇気はありません。

どうするか悩んでいた夏休みの前、リュウ太のストレスはピークに達してしまいました。

家に帰ってきてもイヤなことを引きずって物にあたり散らす日々…そのうち「お腹が痛い」と言うようになりました。どのあたりが痛いのか聞くと、胃のようでした。イライラや心の問題が体にも不調となって表れていたのです。

これはもう私一人ではどうしようもない…勇気を出して、教育相談所に連絡してみることにしました。

担任の先生は教育相談所について、「育児の悩み相談もできるところだから何でも相談してみるといいですよ」と教えてくれましたが、私の中では「ザーマスタイプのおっかない教育熱心な指導者に『あなたの育児は間違っています!そんなんじゃダメですよ!』と怒られるのかも…」そんなイメージばかりが膨らんで(笑)、面談に行く前はドキドキだったことを今でも思い出します。

勇気を出して教育相談所へ!そこは母も息子も安心できる場所だった

教育相談所にて、自己肯定感を高める遊びをして過ごすリュウ太くんと、見守る指導員の様子
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しかし、実際は違いました…!

私よりも少し若い男性相談員の方が私のカウンセリングをしてくれる間、息子には若い女性の指導員の先生がついてくれるのだといいます。

息子はオモチャがたくさん置いてある畳の部屋に誘導され、指導員の先生と一緒にさまざまなオモチャで遊びました。息子は自分の好きなオモチャもそうでないものも、片っ端から引っ張り出しては触って試して遊んだそうです。

ここでの狙いは、遊びの中で「この遊び方をしていいんだ、ぼくはぼくのままでいいんだ!」という自己肯定感を育むことなのだと教えてもらいました。ですから、息子がどんな遊び方をしても指導員の先生は怒ったり注意したりすることはなく、息子は楽しみながら自己肯定感を高めることができたのです。
教育相談所にて面談を受ける母の様子
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私も小さな相談室に促され、相談員の先生に子育ての様子や困っていることを打ち明けました。これまで誰にも子育ての困り事を相談したことがなかった私。聞いてくれる人がいる、なんでも話していい。それだけでとても嬉しく、心が軽くなる感じがしました。

それまでは、親など身近な人に話しても「言い聞かせが足りない」「躾ができていない」などと言われて、「もっと厳しくしないといけないんだ…私の育児は甘いんだ」と落ち込むばかり。息子に対して厳しくすればするほど反発され暴れられるということを繰り返し…いつからか誰にも相談しなくなっていたのです。

「一人でなんとかしなくちゃ!」と頑張りすぎていたその頃の私は、「厳しさが足りないんだ」と思い込んで、軍隊のような礼儀・作法・規則を厳守させたりする指導が必要なんじゃないか、とまで考えていました。

でも、教育相談所に通った2年の間、毎回少しずつ困り事を話していくうちに、私が困っていることの要因やどうしたらいいのかが、整理できてきました。

〇ただ厳しく育てるだけでは逆効果で、息子は変わらないこと。
〇息子は周りからちょっかいを出され、やめてと言ってもやめてもらえずに学校でイライラしていること。
〇息子は学校でイヤなことがあると、そのストレスを家で爆発させていること。

整理されて気づいたのは、私が困っていることは息子も困っていることだということです。
2年間教育相談所に通う中で、リュウ太くんへのより良い接し方に気づく母の様子
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一人だと悩みをまとめることができなくて「自分はとにかく息子のことで困ってる!問題がいろいろありすぎて何に困っているかは分からない?考えるの面倒だから全部に困ってる!」となるんですが、人に話すことで見えてくるんですね。

なんとか変えていきたいことについては、できることから取り組むようにアドバイスしてもらいました。

〇息子の場合は、一人でできないことはできるようになるまで注意しないで待ってあげる方がよいこと。(例えば時間割に合わせた持ち物の準備や、提出物の準備など)
〇学校で起こったイヤな出来事の話も含めて、家でたくさん息子の話を聞くこと。

アドバイスを受けて、「息子が一日のうちで体験するイヤなことを、家では減らす」ということかな?と思いました。

学校で起こることは親にはどうにもできないこともあります。その分、家の中では子どもの思いを受け止めて、楽しく過ごさせてあげたいなと思ったのです。家でも学校でもイヤなことがあったらたまりませんもんね…。

悩みを吐き出したら、息子にとってより良い環境づくりに前向きになれた

教育相談所でのアドバイスを受けて考え方が少しずつ変わっていく母の様子
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躾が足りないと思って厳しくしていた私は、逆のことをやっていたんだ――そう気がついたのは、通い出して半年後のことです。

相談員の先生は私に「こうしなさい」「ああしなさい」とは言いませんでした。「こうしてみるのもいいかもしれないですね」とあくまで提案のかたちでした。提案された方法の中から、息子に合ったものを考えて自分で選んでいくプロセスが、私には必要だったんだと思います。相談員の先生は、そこまで分かった上で話してくれていたのでしょう。

息子が変わるには、まず私が変わることが先で、私が変わるには考え方を変えていかないといけない。

考え方を変えるには、私の中に新しい情報が入るように空欄を作ること、空欄を作るために私の悩みや苦しいものを外に出さないといけなかったんですね。そして新しい情報が入ると共に、こだわっていた考え方が柔らかくなってきて「新しい方法を試そう!」という気持ちになってくる。
教育相談所に行く前、自分の育児を否定されないように必死になっていた母の様子
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育児を注意されないように、甘やかしていると思われないように、相手に攻撃されないように…絶えずそんな気持ちでバリアを張っていたら、新しい有力な情報をはじいてしまいますもんね。でも、以前の私はそんなふうに生きていたんでしょう。

そんな私の姿を学校の先生も分かっていて、教育相談所を紹介してくれたんだと思います。そして教育相談所とつながれたから、発達が気になる子の診断をしてくれるクリニックも紹介してもらい、小学4年の頃に受診、ADHDと広汎性発達障害と診断され、特性による困りごとにも早め早めに対応できるようになったのです。

おかげで、後に訪れる反抗期の息子と大喧嘩はしても大きくこじれることもなく乗り越えることができました。必要なときに必要な支援に出合えたことが、大人になった息子とのイイ感じの親子関係にもつながっています。いまもし悩んでいるママがいたら、一人で抱え込まずに、支援機関につながって悩みも不安も全部相談してみてほしいなと思います。
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