「学びやすい道具」を学校で使えていますか?アンケートから見えた、学びのツールの合理的配慮の現状

ライター:青い鳥・中の人
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私たち、青い鳥は発達障害がある子どもの親の会です。私たちの子どもの中には、特性によって手先の不器用さがある子どもたちが多くいます。例えば、リコーダーもそのひとつ。穴をうまく押さえることができない子どもたちのために考えられたリコーダーがあります。でもその使用頻度ひとつとっても、なかなか認めてもらえない現状があることに気づきました。

「使いやすい道具を使いたい」という子どもたちの願い――どうすれば学校で、それぞれの子どもにとって使いやすいものが使えるのか、一緒に考えてみませんか?

はじめまして、発達障害児親の会・青い鳥です

はじめまして、青い鳥・中の人です。ご縁があり、こちらでコラムを書かせていただけることになりました。青い鳥とは、ツイッターから生まれた親と支援者のつながり「発達障害児親の会・青い鳥」のことです。みんなで緩やかにつながりながら、いろいろな課題について考え、解決を目指したいと思っています。よろしくお願いします。

発達障害の子どもが使いやすいアルトリコーダーをつくりたい

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10131071463
青い鳥では先日より「発達障害の子どもの使うリコーダー」について考えています。青い鳥メンバーのひとりから「発達性協調運動障害の子どもにも使いやすいシリコンキーがついたソプラノリコーダー〈NUVO リコーダープラス〉にアルトリコーダーもあればいいな」という話が出たことから始まりました。そこで、実際にどのくらいの子どもがNUVOのような補助具がついたリコーダーを使っているのかなどについて、発達障害児親の会・青い鳥では、発達障害の子どもの保護者を対象にアンケートを取りました。

アンケートの回答の中で、シリコンキーのような補助具がついたリコーダーの使用について19%が「学校の先生は理解もなく使用も許可してくれない」を選択していたことについて、私たち青い鳥のメンバーは大変驚きました。「理解はないが使うことは黙認してくれている」という回答と合わせると約32%になります。保護者3割が、現場の先生方はこういった補助具の利用に対してあまり快く思っていないと感じていることが分かりました。
参考:発達障害の子どもが使うリコーダーについてのアンケート結果 | note 関西さえずり
https://note.com/kansai_saezuri/n/n1eb030b88e57
参考:シリコンキーつきリコーダー | NUVO リコーダープラス
https://kcmusic.jp/nuvo/recorder+.html

合理的配慮の範疇ではない?聞き取りで分かったこと

みなさんは〈合理的配慮〉という言葉をご存知でしょうか。

文部科学省のホームページの「合理的配慮について」によると、障害者の権利に関する条約において「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」と定義されたもの、とされています。

そして、合理的配慮の提供として考えられる事項に「(ア)教員、支援員等の確保(イ)施設・設備の整備(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮」と挙げられています。
参考:合理的配慮 | 文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1297380.htm
今回私たち青い鳥が注目した、発達障害の子どもにも使いやすいシリコンキーのような補助具つきリコーダーの持ち込みは「(イ)施設・設備の整備」に当たると考えられ、個人で購入して使用する分には十分に合理的配慮の範疇に収まるものと考えています。しかし現実には難しいというのは、いったいどういうことなのでしょう。

さらに聞き取りを進める中で上がったのが、「子どもの障害特性に応じてそれぞれにとって使いやすい道具を学校で使うのはリコーダーに限らず難しい」という声でした。

例えば発語の少ない子どもが使う個人用の絵カードブック、手の力が弱い子どもが使いやすい軸の太いシャープペンシル、大きな音が苦手な子どもの音を防ぐためのイヤーマフ、文字を書くことに強い困難さがある子どもが使うためのタブレットやパソコンなど。これらを個人で購入したものであっても学校内で使用することを認めてもらえず、何度も交渉を重ねて持ち込むことが許可されたという話がたくさん出てきました。こういったものを使うことができない理由として多かったのが、次のようなものです。

・ほかの子どもは使っていないから
・使っていない子どもに「ずるい」と言われる
・ほかの子どもも使いたがったらどうするのか


つまり「みんなと違う」ということが理由で、自分に使いやすい道具・自分に必要な道具を学校で使うことができないのです。さらに「頑張ればみんなと同じようにできるはず」とされ、発達障害の子どもたちにとっては大変困難なことに対して努力を強いられている実態が見えてきました。

合理的配慮の例え話でよく言われるのがメガネの話です。目が悪い人の多くはメガネやコンタクトレンズを使用しています。目が悪い人に「みんなメガネをかけてはいないのでかけないで下さい。一生懸命見ていれば見えるようになります」とは言いません。当たり前にメガネをかけて生活しています。なぜなら、視力の悪い人はメガネをかけることで不便を感じることなく物を見ることができるからです。これが合理的配慮です。

障害のある子どもが使いやすい道具はメガネと同じようなものです。発語の少ない子どもは絵カードを使うことで自分の思いを伝えることができます。手の力の弱い子どもは軸の太いシャープペンシルがあればノートを取ることが容易になるでしょう。不器用でリコーダーのトーンホールを押さえるのが難しい子どもが補助具付きのリコーダーを使えば、クラスメートと合奏して音楽を共に楽しむことができます。

これらの経験は、決して特別なことではありません。障害がないとされる子どもであれば、皆が学校で経験している当たり前のことです。当たり前を当たり前にしてくれるのが使いやすい道具であり、その道具の使用を求められた場合はそのための環境を整えることが合理的配慮です。
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