発達障害子育てで家族と衝突!そのときどう行動する?子どもの幸せを第一に考えた、二つの対応策

ライター:立石美津子
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子どもの発達障害について、家族の中で「受け入れる」「受け入れない」とか、子どもの進級先の希望は「通常学級」「特別支援学級」など意見の相違があった場合、どうしたらよいのでしょうか。

講演活動をしていると、多くの母親たちから質問されることがあります。今回は、そういった場合にどうすればいいのかについて、私がお伝えしていることを書いてみたいと思います。

対応策を考えてみた

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

発達障害のある子を育てている保護者対象の講演に講師として招かれることが多いのですが、様々な質問を受けます。その中でも多いのが、子どもの発達障害について、家族間で意見の相違があった場合についてのことです。
なかでも一番多いのは…

「(母親である)自分は子どもと接する時間が長いので、我が子の行動が単に性格や個性で片づけられるものではなく、特性があることに気が付いている。早めに相談機関に行ったり、療育を受けさせたりしたい。でも、夫や姑に相談しても喧嘩になるだけ…」というものです。

夫からは
「ちゃんと躾をしていないのが原因だ!もっとしっかり子育てしろ!」
「受給者証や手帳をとるなんて、我が子に障害があるとこんなに小さいうちから決めつけるのか!伸びるものも伸びなくなる!」
「似たような子は沢山いるじゃないか!個性の一つなんだから!」
などと言われてしまう。

更に…
「我が子には軽度の知的障害があるが、夫は通常学級を望んでいる。私(母親)は特別支援学級を望んでいる」

このような状態で前に進めない、つまり「家族間で意見の対立があり、悩んでいる」という質問です。
こんな質問を受けたとき、私は、「いったん家族の説得は諦めて、母親だけで黙って行動すればよい」とお伝えすることがあります。家族との話し合いで疲弊してしまうくらいなら、一人で行動を始めたほうがよいと思うからです。

子どもの育ちに必要な環境を得るために、相談機関や発達支援を利用したい。でも、どうしても納得してもらえない家族と争う姿を子どもに見せたくない。何より日々の諍いで自分の心が折れてしまいそう…そんなときは、行動したほうがいい。母一人で役所に相談に出向き、受給者証を取得して、発達支援施設を利用したらいいのだと思います。

夫は納得しているけれど、義親や自分の親から反対される場合はなおさらです。姑が子育てしていた1970年代ごろまでは「子どもが自閉症になるのは冷蔵庫マザー(=愛情をかけない親)が育てたからだ」とまで言われていたこともあります。相手が長年そのように信じていたとしたら、今すぐ理解してもらうのはなかなか難しいのではないでしょうか。

受給者証を所持していることも、療育手帳を持っていることも、戸籍や住民票に記載されることはありません。障害児を扶養していることを申請しない限り源泉徴収票にも記載されることはありません。

通常学級?特別支援学級?特別支援学校?進路については…

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ただ、通常学級か特別支援学級か等、進級・進学先について意見の相違があったら、黙っていることはできません。入学式や授業参観に、家族も参加したらわかってしまいます。
進級・進学先等について意見が対立するときや、黙って一人で行動するのはちょっと…という人は、家族だけで話し合うのではなく、相談機関(発達障害児支援センターなど各自治体に設置されている機関)や医者に間に入ってもらい、第三者である専門家から伝えてもらうとよいと思います。専門家による意見であれば納得できる人もいるからです。

どうして受け入れられないのか

「障害のある子は家族を照らす天使、障害のある子が家族の絆になる」と言われることがあります。逆に、「障害児がいて家族に諍いが絶えません」なんていうテレビ番組はあまり見たことがありません。

ですが、家族間での意見の対立、子育ての仕方の意見の相違で、母親もしくは父親が孤立無援状態で苦しんでいるという人は実際には存在しています。その結果シングルマザー、シングルファザーとなり、一人で育てている。そういう人が、私の身近では少なくありません。

では何故、「受容できない」となってしまうのでしょうか。

・軽度知的障害だったり、知的障害がなかったりする場合。「うちの子に障害があるはずがない」と思ってしまう。
・親自身の人生の中で障害のある人と接する機会がまったくなかった。我が子が出会った初めての障害者。よくわからないために、親自身が「障害があることは不幸なことだ。周りにも知られたくない」と思っている。
・親自身「人並であること・普通であること」を強いられて育ってきた。我が子が社会の枠から外れてしまったらどうしていいかわからない。

このように、今までの価値観がガラガラと崩れていくことが耐えきれない人はいます。

でも、争い、迷っている間にも子どもはどんどん大きくなってしまいます。それに、いったん一人で行動をしても、家族から「あのときは反対したけれど、今思えば動いてくれてよかった」と感謝される日もあるかもしれません。

子どもの幸せを第一に考えて、最善の方法を考え、行動してほしいと思います。

このコラムの著者親子がモデルとなった本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社
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このコラムをかいた人の著書

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立石美津子
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