発達障害の子に本当に必要な支援とは?藁にもすがる思いで皮膚炎治療に散財した経験から

ライター:立石美津子
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インターネットを見ていると、「発達障害を治します」の広告が目に飛び込んでくることがあります。また専門資格も持たない人がカウンセリング・セッションを提供するとSNSで宣伝しているのを目にすることもあります。

「わが子のためになるなら…」と想う気持ちはわかりますが、その心の隙間に入り込まれないよう気を付けてほしいと感じています。

発達障害のカウンセラーは、誰でもなれるもの!?

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。
カウンセリング行為やカウンセラーは公認会計士、医師、薬剤師、弁護士のような法令が定めた業務独占資格ではありません。
※業務独占資格とは、国家資格の分類の一つで、その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格のこと

でも「発達障害専門のカウンセラー」はどうでしょう。もちろん子どもの発達支援に携わる専門家はいます。小児精神科医や臨床心理士、PTやOT、STなど…とはいえ、漠然とカウンセリングとなると急に間口が広がる気がします。所有資格として「○○団体認定カウンセラー」と書いてあっても、その団体自体が個人が作ったものかもしれません。

発達障害だけじゃない――さまざまな商法

発達障害とは話題が少し離れますが、“アトピービジネス”という言葉があります。これは、アトピー性皮膚炎で悩んでいる人に対し、ステロイドの塗り薬のデメリットを強調し、高額商品を販売するビジネスのことを指したものです。

実は私も22歳のときアトピー性皮膚炎に苦しんだ時期があり、随分と散財してしまいました。藁をもすがる気持ちでいろんな商品を試し、結局は悪化し、入院まですることになりました。
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大学病院の皮膚科に入院していた頃(1989年 4月)
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8050問題、内閣府はひきこもりの40~64歳が全国で推計61万3千人いるとの調査結果を発しました。このことで「ひきこもりから救い出します」のサービスも同様に広まりはじめているとも耳にします。そもそも子どもにとっては有難迷惑なサービスかもしれません。

法律で規制されているわけではない

ある幼児教室の経営者が次のように言うのを耳にしたことがあります。

「健康食品には『これを買って飲んだら○○が治ります』と宣伝してはならない“薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)”があるが教育産業にはない。小学校、中学受験をうたっている塾は合格率で客観的評価がされるが、幼児教室の場合、そうした評価もされない」

発達障害のある子を育てる親がママ友から「○○さんのセッションを受けたら通常学級に入学できた!」と耳にしました。でも本当にそのセッションのおかげなのか、子ども自身にもともと力が備わっていたのか――それはわからないでしょう。

また、“通常学級に行く”ことがそもそもゴールなのかという問いもあります。特別支援学級のほうがその子に合っている可能性もあるでしょう。通常学級に馴染めず特別支援級に通うことになったとき、母親はカウンセラーではなく、「うまくいかなかったのは私のせいだ」とは自らを責めてしまうかもしれません。

「普通」であってほしいと子どもを追い込んでしまったとしても、将来二次障害を起こしてしまっても、カウンセラーを訴えることはないでしょう。多くの保護者は、自分の子育てを反省するだけです。
次ページ「わが子をそのまま受け入れる」

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