きめ細かな対応には限界がある

通常学級では教科書の内容を理解できるという前提で、国語、算数など授業が行われます。一クラスの人数は35人~40人、たとえ加配の先生がついたとしても基本、担任は一人でこの大人数の子どもを担当します。ついていけない子がいたら周囲や先生が「周りに遅れないように」とやってあげるなどで対応をし、みんな同じペースでカリキュラムをこなすことになります。

これに対して特別支援学級では、質問のタイミングや着替え、生活のルールなど基本のきの部分から生活を作っていきます。

通常学級では、丁寧な支援をしたくても、人数の関係もあり難しいこともあるのではないでしょうか。そして子どもは、黙って待っていれば、誰かがやってくれるという待ちの姿勢になってしまうこともあるのかもしれません。

なによりも、わからない授業を9年の間、じっと座って受け続けていたAさんの苦痛はどれほどのものだったでしょう。さらには、身につけたい身辺自立の力は育むことはできなかったのです。

自分から親や先生につらさを発信できないおとなしいタイプの子だからこそ、進級・進学先で困っていないかどうか、大人はアンテナを立てて気を付けて見なくてはならないと思います。

小学校卒業までは、中学校卒業までは――いったん入学すると、卒業まではがんばろうと思いがちです。でも、子どもの様子をしっかりと見て、困っているのではないかと気づいたら、子どもにとって最適な環境を親や教師など支援者の側が速やかに用意をしてあげることが、何より子どもの力を育むのではないか。私はそう思うのです。

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