ASD兄、大学入学時に障害者手帳の取得を決意!引越し先で病院を探し、10年ぶりに受診・再診断を経て…
ライター:寺島ヒロ
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人付き合いが苦手、すぐ目を回す、こだわりが強いなど、ガッツリASDの傾向があったタケルですが、実はまだ障害者手帳を取っていませんでした。以前住んでいた大分では療育手帳も基準を満たしていなくて取れなかったのです(少し前の話です。今は違うかも)が、大学で支援を受けるにあたって、やはりあったほうが便利ということになり、大阪で改めて取得に挑戦することに。果たして…?
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
大学生活開始のタイミングで、手帳を取得することに
でこぼこ兄妹の兄、タケルは現在20歳。8歳の時に県の発達センターで検査を受け、アスペルガー症候群(当時の名称)に「大変近い」との診断を受けました。「大変近い」といっても、発達障害という程ではない、俗にいうグレーゾーンとかいう意味ではなく、発達障害の中の分類でアスペルガーにキッチリ当てはまらないという意味です。
当時も一応療育手帳の取得を検討はしたのですが、IQの高い、いわゆる高機能の発達障害の領域にいたこともあって、住んでいた自治体の基準では取得ができず、結局、18歳で高校を卒業するまで「そのまま」の状態できてしまいました。
当時も一応療育手帳の取得を検討はしたのですが、IQの高い、いわゆる高機能の発達障害の領域にいたこともあって、住んでいた自治体の基準では取得ができず、結局、18歳で高校を卒業するまで「そのまま」の状態できてしまいました。
しかし、大学で障害学生として支援を受けるにあたって、やはり手帳があったほうが手続きがスムーズということになり、精神障害者保健福祉⼿帳を取得することにしました。
他にも市営の地下鉄や博物館や動植物園が無料になったり、美術館や水族館、アーカイブスの閲覧料金の割引もあるとのこと。迷い的なものは最初からあまりなかったのですが、この時点で僅かにあった葛藤も全てどこかに吹っ飛んでしまいました。大阪に来た瞬間から週1を上回るペースで動物園に通っていたタケルには「地下鉄タダ」「動物園タダ」が大変魅力的だったようです。
手帳の取得の手順は以下の図をどうぞ。
なお、これは2020年8月の時点での情報となります。自治体によって、診断書の用紙は窓口での手渡しではなかったり、郵送をしてくれる場合もあるそうです。大きな流れは一緒だと思いますが、細かいところはご自分が住んでいる自治体の福祉担当窓口でご確認いただけたらと思います。
診断を受けてから10年。改めて受診が必要とのことで...
さて、改めて精神障害者保健福祉⼿帳を取得しようということになったタケルですが、ここで問題が発覚!8歳の時に受けた診断があるので、大分の発達センターに連絡すればすぐに申請に必要な書類(診断書など)を出してもらえると思っていたのですが、ほぼ10年経っているため診断から取り直す必要があることが分かったのです。
言われてみれば当たり前ですが、わたしの中で時が止まっていたようです。(ASDあるある。。。)
言われてみれば当たり前ですが、わたしの中で時が止まっていたようです。(ASDあるある。。。)
とはいえ、引っ越してきたばかりの大阪でタケルを診てくれる病院のあてなどありません。ネットで探す?などと夫と話していましたが、タケルに合う病院を探すのはそれなりに時間がかかりそう…と、その時…
「大学の病院に聞いてみたらどうかな?」とタケルが言ってきました。ナイスアイディア!
たまたまでしたが、タケルの通う大学には大学病院があり精神科もあったのです。新患を受け入れてくれるかは分かりませんでしたが、ダメで元々。さっそく、大学の障害学生支援課を通じて、大学病院に発達障害の診断をしてくれるか問い合わせてもらいました。
「大学の病院に聞いてみたらどうかな?」とタケルが言ってきました。ナイスアイディア!
たまたまでしたが、タケルの通う大学には大学病院があり精神科もあったのです。新患を受け入れてくれるかは分かりませんでしたが、ダメで元々。さっそく、大学の障害学生支援課を通じて、大学病院に発達障害の診断をしてくれるか問い合わせてもらいました。
結局、大学病院では受け入れてもらえませんでしたが、大学の近くで開業している専門医を紹介してもらい…次の週にはもう診察を受けられることになりました!いやもう、大学さまさま!学生支援課さまさまです!
診察の予約が取れたので、「診断書の用紙」をもらうために地域の区役所に行き、精神障害者保健福祉⼿帳の「申請書」も一緒にもらってきました。自宅で書くので、親が書いてもわかるまいとは思うのですが、タケルは「いいよ。自署って書いてあるから自分でやるよ。」と、何度も下書きを書き直しながら、自力で「申請書」の記入欄を埋めました。
そして、診察の予約をした当日がやってきました…
病院での診察はスムーズで、さほど待たされることもなく診察室に呼ばれました。この病院ではなるべく最初に本人から話を聞くことにしているということで、まずはタケルだけが診察室へ。
生育環境などを聞かれるだろうと予想していたので、タケルは客観的に上手く喋れないと予測して、大分のセンターに通っていた時に受けた検査の結果(紙で残っていた)と、私の育児日記の一部を持って行って説明したそうです。
生育環境などを聞かれるだろうと予想していたので、タケルは客観的に上手く喋れないと予測して、大分のセンターに通っていた時に受けた検査の結果(紙で残っていた)と、私の育児日記の一部を持って行って説明したそうです。
その後、診察室に呼ばれ、今度は4人で話を聞くことになりました。そう!なんと私たちは家族全員でぞろぞろとタケルについて来ていたのです。診察をした医師の話では、「以前大分で出たという診断で間違いないでしょう。来週のどこかでもう少し詳しい検査をしましょう。」ということでした。
丁度1週間後に予約を取って、この日は帰りました。診察にかかった時間は30分ほどでした。
丁度1週間後に予約を取って、この日は帰りました。診察にかかった時間は30分ほどでした。
詳しい検査のため再受診。受けた検査は『WAIS-IV』
※WISC(ウィスク)は概ね児童用 WAIS(ウェイス)は成人用
これを読んでくださっている方の中には、これから検査を受ける方もいらっしゃるかもしれませんので、詳しくは書けませんが(予習になってはいけないので)、時間を測りながらの筆記の試験で、全部でも2時間かからないぐらいの感じでした。
診断はやはりASD(自閉症スペクトラム障害) 。名称が変わりましたが、これは2013年に診断基準がDSM-5に変わったためで、かつて「アスペルガー症候群に大変近い」と言われた本人の症状は変わっていません。
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診断書を手に申請へ。手続きは意外とあっさり...?
記入してもらった「診断書」を持って、再び区役所の福祉課に向かいます…。
相談窓口で申請書と診断書、そして写真を提出し、マイナンバーカードを提示。問題なく受理され、1カ月後には申請通り精神障害者保健福祉⼿帳が発行されました。
あれ、意外とあっさり…狐に化かされたみたい…。
タケルの場合、10年前からの資料が残っていて経緯が追えたこと、他の合併症や二次障害がほとんど無いことなどがあり、スムーズに取得に至ったものと思われます。それにつけても大学の学生支援課の頼もしさといったら…!
用意されている支援は遠慮せずうまく使わなければな…という思いを新たにしました。
執筆/寺島ヒロ
用意されている支援は遠慮せずうまく使わなければな…という思いを新たにしました。
執筆/寺島ヒロ
専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)
療育手帳や精神障害者保健福祉手帳は、診断を受けたからといって必ず取得しなければならないものではないため、どうすべきか悩まれている親御さんも多いことと思います。
幼児期や学童期には、手帳がなくても療育や学校での支援につながれることが多く、特別支援学級への在籍にも手帳が必須というわけではありません。そのため、この時期には手帳を取得せずに過ごしている方も少なくないでしょう。一方、年齢が上がり、進学や就労、福祉サービスの利用などを具体的に考える時期になると、手帳を持っていることが支援の必要性を伝える一つの資料になったり、利用できる制度の選択肢が広がったりすることがあります。特別支援学校高等部への進学についても、手帳そのものが全国一律の入学条件というわけではありませんが、手帳や障害の状態を示す資料が重要になる場合があります。
また、障害者雇用枠で働く場合には、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳などの所持が重要になります。
療育手帳は基本的に知的障害があると判定された方を対象とするため、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)があっても知的発達症を伴わない場合には、必要に応じて精神障害者保健福祉手帳の取得を検討することになります。ただし、精神障害者保健福祉手帳も診断があれば必ず取得できるものではなく、症状だけでなく日常生活や社会生活への影響なども含めて判断されます。
タケルさんにとっては、大学進学が「これから自分にはどんな支援が必要なのか」を改めて考える、とてもよいタイミングだったのかもしれませんね。ご家族に任せきりにするのではなく、自ら申請書を書き、受診に必要な資料を準備し、大学の支援にもつながっていくタケルさんの姿がとても頼もしく感じられました。こうした経験を通して、「自分にはどんな支援が必要か」を考え、それを周囲に伝えながら上手に活用していく力が育っていることは、これからの大学生活や社会生活においても大きな強みになると思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
幼児期や学童期には、手帳がなくても療育や学校での支援につながれることが多く、特別支援学級への在籍にも手帳が必須というわけではありません。そのため、この時期には手帳を取得せずに過ごしている方も少なくないでしょう。一方、年齢が上がり、進学や就労、福祉サービスの利用などを具体的に考える時期になると、手帳を持っていることが支援の必要性を伝える一つの資料になったり、利用できる制度の選択肢が広がったりすることがあります。特別支援学校高等部への進学についても、手帳そのものが全国一律の入学条件というわけではありませんが、手帳や障害の状態を示す資料が重要になる場合があります。
また、障害者雇用枠で働く場合には、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳などの所持が重要になります。
療育手帳は基本的に知的障害があると判定された方を対象とするため、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)があっても知的発達症を伴わない場合には、必要に応じて精神障害者保健福祉手帳の取得を検討することになります。ただし、精神障害者保健福祉手帳も診断があれば必ず取得できるものではなく、症状だけでなく日常生活や社会生活への影響なども含めて判断されます。
タケルさんにとっては、大学進学が「これから自分にはどんな支援が必要なのか」を改めて考える、とてもよいタイミングだったのかもしれませんね。ご家族に任せきりにするのではなく、自ら申請書を書き、受診に必要な資料を準備し、大学の支援にもつながっていくタケルさんの姿がとても頼もしく感じられました。こうした経験を通して、「自分にはどんな支援が必要か」を考え、それを周囲に伝えながら上手に活用していく力が育っていることは、これからの大学生活や社会生活においても大きな強みになると思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の違いは?こだわりはどちらの特徴?
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