ASD兄、大学入学時に障害者手帳の取得を決意!引越し先で病院を探し、10年ぶりに受診・再診断を経て…
ライター:寺島ヒロ
人付き合いが苦手、すぐ目を回す、こだわりが強いなど、ガッツリASDの傾向があったタケルですが、実はまだ障害者手帳を取っていませんでした。以前住んでいた大分では療育手帳も基準を満たしていなくて取れなかったのです(少し前の話です。今は違うかも)が、大学で支援を受けるにあたって、やはりあったほうが便利ということになり、大阪で改めて取得に挑戦することに。果たして…?
大学生活開始のタイミングで、手帳を取得することに
でこぼこ兄妹の兄、タケルは現在20歳。8歳の時に県の発達センターで検査を受け、アスペルガー症候群(当時の名称)に「大変近い」との診断を受けました。「大変近い」といっても、発達障害という程ではない、俗にいうグレーゾーンとかいう意味ではなく、発達障害の中の分類でアスペルガーにキッチリ当てはまらないという意味です。
当時も一応療育手帳の取得を検討はしたのですが、IQの高い、いわゆる高機能の発達障害の領域にいたこともあって、住んでいた自治体の基準では取得ができず、結局、18歳で高校を卒業するまで「そのまま」の状態できてしまいました。
当時も一応療育手帳の取得を検討はしたのですが、IQの高い、いわゆる高機能の発達障害の領域にいたこともあって、住んでいた自治体の基準では取得ができず、結局、18歳で高校を卒業するまで「そのまま」の状態できてしまいました。
しかし、大学で障害学生として支援を受けるにあたって、やはり手帳があったほうが手続きがスムーズということになり、精神障害者保健福祉⼿帳を取得することにしました。
他にも市営の地下鉄や博物館や動植物園が無料になったり、美術館や水族館、アーカイブスの閲覧料金の割引もあるとのこと。迷い的なものは最初からあまりなかったのですが、この時点で僅かにあった葛藤も全てどこかに吹っ飛んでしまいました。大阪に来た瞬間から週1を上回るペースで動物園に通っていたタケルには「地下鉄タダ」「動物園タダ」が大変魅力的だったようです。
手帳の取得の手順は以下の図をどうぞ。
なお、これは2020年8月の時点での情報となります。自治体によって、診断書の用紙は窓口での手渡しではなかったり、郵送をしてくれる場合もあるそうです。大きな流れは一緒だと思いますが、細かいところはご自分が住んでいる自治体の福祉担当窓口でご確認いただけたらと思います。
診断を受けてから10年。改めて受診が必要とのことで...
さて、改めて精神障害者保健福祉⼿帳を取得しようということになったタケルですが、ここで問題が発覚!8歳の時に受けた診断があるので、大分の発達センターに連絡すればすぐに申請に必要な書類(診断書など)を出してもらえると思っていたのですが、ほぼ10年経っているため診断から取り直す必要があることが分かったのです。
言われてみれば当たり前ですが、わたしの中で時が止まっていたようです。(ASDあるある。。。)
言われてみれば当たり前ですが、わたしの中で時が止まっていたようです。(ASDあるある。。。)
とはいえ、引っ越してきたばかりの大阪でタケルを診てくれる病院のあてなどありません。ネットで探す?などと夫と話していましたが、タケルに合う病院を探すのはそれなりに時間がかかりそう…と、その時…
「大学の病院に聞いてみたらどうかな?」とタケルが言ってきました。ナイスアイディア!
たまたまでしたが、タケルの通う大学には大学病院があり精神科もあったのです。新患を受け入れてくれるかは分かりませんでしたが、ダメで元々。さっそく、大学の障害学生支援課を通じて、大学病院に発達障害の診断をしてくれるか問い合わせてもらいました。
「大学の病院に聞いてみたらどうかな?」とタケルが言ってきました。ナイスアイディア!
たまたまでしたが、タケルの通う大学には大学病院があり精神科もあったのです。新患を受け入れてくれるかは分かりませんでしたが、ダメで元々。さっそく、大学の障害学生支援課を通じて、大学病院に発達障害の診断をしてくれるか問い合わせてもらいました。
結局、大学病院では受け入れてもらえませんでしたが、大学の近くで開業している専門医を紹介してもらい…次の週にはもう診察を受けられることになりました!いやもう、大学さまさま!学生支援課さまさまです!
診察の予約が取れたので、「診断書の用紙」をもらうために地域の区役所に行き、精神障害者保健福祉⼿帳の「申請書」も一緒にもらってきました。自宅で書くので、親が書いてもわかるまいとは思うのですが、タケルは「いいよ。自署って書いてあるから自分でやるよ。」と、何度も下書きを書き直しながら、自力で「申請書」の記入欄を埋めました。
そして、診察の予約をした当日がやってきました…
病院での診察はスムーズで、さほど待たされることもなく診察室に呼ばれました。この病院ではなるべく最初に本人から話を聞くことにしているということで、まずはタケルだけが診察室へ。
生育環境などを聞かれるだろうと予想していたので、タケルは客観的に上手く喋れないと予測して、大分のセンターに通っていた時に受けた検査の結果(紙で残っていた)と、私の育児日記の一部を持って行って説明したそうです。
生育環境などを聞かれるだろうと予想していたので、タケルは客観的に上手く喋れないと予測して、大分のセンターに通っていた時に受けた検査の結果(紙で残っていた)と、私の育児日記の一部を持って行って説明したそうです。
その後、診察室に呼ばれ、今度は4人で話を聞くことになりました。そう!なんと私たちは家族全員でぞろぞろとタケルについて来ていたのです。診察をした医師の話では、「以前大分で出たという診断で間違いないでしょう。来週のどこかでもう少し詳しい検査をしましょう。」ということでした。
丁度1週間後に予約を取って、この日は帰りました。診察にかかった時間は30分ほどでした。
丁度1週間後に予約を取って、この日は帰りました。診察にかかった時間は30分ほどでした。
詳しい検査のため再受診。受けた検査は『WAIS-IV』
※WISC(ウィスク)は概ね児童用 WAIS(ウェイス)は成人用
これを読んでくださっている方の中には、これから検査を受ける方もいらっしゃるかもしれませんので、詳しくは書けませんが(予習になってはいけないので)、時間を測りながらの筆記の試験で、全部でも2時間かからないぐらいの感じでした。
診断はやはりASD(自閉症スペクトラム障害) 。名称が変わりましたが、これは2013年に診断基準がDSM-5に変わったためで、かつて「アスペルガー症候群に大変近い」と言われた本人の症状は変わっていません。