テストも校則もない。高等部在学中からインターン―学びながら社会と繋がり、実践的なITスキルを身につける。多様な働き方にマッチする人を育てる「バンタンテックフォードアカデミー」を取材。生徒インタビューも

ライター:発達ナビ編集部
テストも校則もない。高等部在学中からインターン―学びながら社会と繋がり、実践的なITスキルを身につける。多様な働き方にマッチする人を育てる「バンタンテックフォードアカデミー」を取材。生徒インタビューものタイトル画像

“世界で一番、社会に近いスクールを創る”そんなビジョンを掲げ、2020年4月に開校したのが「バンタンテックフォードアカデミー」です。専門部と高等部が設置され、下は15歳から上は24歳までの生徒が互いに切磋琢磨しながら、プログラミングを中心にIT技術を学んでいます。同校が目指す社会に価値を提供できる人を育成するためのカリキュラムや授業の内容とは...?今回の取材では授業見学の他、スクール運営チーフや講師、そして生徒の皆さんにもお話を伺い、「バンタンテックフォードアカデミー」の真髄に迫りました。

学びながら社会と繋がり、社会に価値を提供できる人材を育成する

小学校に中学校、高校、そして大学。私たちは随分と長い時間を学校で勉強に費やします。しかし、「学校での勉強が今の仕事でどれくらい役立っていますか?」...と聞かれたら、回答につまってしまうという人も多いのではないでしょうか。

在学中から社会で活躍できる力を育み、繋がる機会も豊富にある――社会に価値を提供できる人材を育てるために開校した「バンタンテックフォードアカデミー」は、6,000人もの在校生を抱えるバンタングループが新しく設立したIT・プログラミング・情報処理を学ぶ企業法人の専門スクールです。
授業風景
授業風景。オンラインで授業を受けている生徒もいる。
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このスクールは、学校と社会の垣根を取り払い、校則もありません。授業はオンラインでもオフラインでも受けられる。定期テストもない。遅刻や欠席数にも縛られない。「さまざまな規則で縛ろうとするから合わない生徒が出てきてしまう。環境を整えれば、どんな人にも開かれた場になる」と、同校スクール運営チーフの渡辺氏は言います。

今までになかった学校の形をとる、バンタンテックフォードアカデミー。その大きな特徴をまとめてみましょう。

バンタンテックフォードアカデミーの3つの特徴

1つめが“毎日が社会と連携した「プロジェクト型授業」”。既存の学校のような知識詰め込み型ではなく、企業や地方自治体の課題解決などのプロジェクトを通して、コミュニケーション力や企画・マーケティング力を身につけることができます。

2つめが“確実に身につけられる「独自のIT教育」”。企業の新人研修をベースにつくられたカリキュラムの内容は、プログラミングの基礎技術から、webデザイン、スマホアプリ、サーバーなどの最先端のプログラミング技術まで。それぞれのニーズやペースにあわせて学習が可能です。

3つめが“最先端のITを学ぶ「CEO/CTO特別授業」”。さまざまな業界のトップから直接最先端のIT活用を学び、ビジネス企画のための発想力などを身につけます。また、さまざまな業界のトップの話を聞くことで、将来の目標を見つけることができるというメリットも。

既存の学校にはない、さまざまな特色を持つバンタンテックフォードアカデミーには、中学校を卒業した生徒が通う高等部と高校を卒業した生徒が通う専門部があり、全体で89名の生徒が在籍しています。

既存の学校とは違う自由な学校生活。それは学ぶ人を選ばないということ

バンタンテックフォードアカデミーの強みや生徒への想いなどを、同校スクール運営チーフの渡辺敦司さんにお聞きしました。
渡辺氏のポートレート
同校スクール運営チーフの渡辺氏
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<渡辺敦司さん>
大学を卒業後、穀物の国際貿易に9年間携わり、アメリカ駐在経験もあります。アメリカでITの大切さを感じ、独学でプログラミングを習得。教育分野に適性を感じ、IT×教育の分野に参入。既存の学校に問題意識を持っていたことも参入の理由のひとつ

――渡辺さん自身はなぜ教育業界に参入されたのですか?

渡辺さん:そもそも私自身、既存の学校や教育に大きな疑問を感じていました。私自身の経験ですが小学校、中学校、高校、そして大学と長い時間勉強をしてきたのに、社会に出たときに役立つスキルが身についていないと気づいたんです。そのときに感じた問題意識がそもそもの始まりだったように思います。

――このスクールの一番の特徴はどんなところでしょうか?

渡辺さん:当校は“世界で一番、社会に近いスクールを創る”というビジョンを掲げているのですが、その言葉の通り、学校と社会の垣根を取り払っています。インターンや業務委託などで、すでに社会と繋がっている生徒もたくさんいますし、会社からの報酬を得ている生徒もいます。一番の特徴は、スクールのなかだけではなく、社会のなかで学び成長する機会を提供しているところです。

――高等部の生徒もインターンなどに行くのでしょうか?

はい、すでに行っている生徒もいます。また、高等部・専門部という名称はあるものの、授業は高等部も専門部も一緒に行っています。これも社会の環境を意識しているから。仕事をするうえでは、いろんな年齢の人が協働していますよね。だとしたら、スクールも年齢にこだわらずにクラスをつくったほうが良いと考えました。

――どのような生徒が在籍しているのでしょうか?

渡辺さん:入学当初はエンジニアを目指しているという生徒が多いですね。ですが、エンジニアは向き不向きがありますし、入学して学んでみた後に「これは違うかもしれない」と気づく生徒もいるんです。その場合も、他の分野で活躍できるようなサポートをしています。営業職のインターンをしている生徒もいます。これまではIT業界と呼ばれていましたが、今後ITはすべての業界にまたがる技術になっていくでしょう。ITスキルは、どんな業界であれ自分が望む働き方をするための強みになるはずです。

――生徒にはどのように成長していってほしいですか?

渡辺さん:これからの時代は、既存のレールに乗っているだけでは生き残れないと思っています。自分のスキルを身につけて、それをどうやって社会への価値にするのか。生徒がそういったことを自分で考えて行動できる人になれるように、私たちも全力でサポートしたいです。
取材をうける渡辺氏
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――自由に学べるスクールだともお聞きしました。

渡辺さん:はい。校則もありません。人に迷惑をかけなければ何をやっても良いと考えています。既存の学校は校内やクラス内での相対評価ですが、当校では、社会にどのような価値を与えているかを大切にしています。具体的にいうとインターン先の評価や実際のプロジェクトでどのような働きをしたかです。また授業もオフラインとオンライン両方で行っていて、自分で好きな方を選ぶことができるんです。生徒は「今日は体調が良くないからオンラインにしよう」などうまく使っていますよ。

――既存の学校とは何もかもが違いますね。

渡辺さん:既存の学校には馴染まなかったという生徒も少なくありません。でも、決してコミュニケーション能力がないとか、いじめを受けていたというわけではないんです。こだわりがあったり、特性のある生徒もいるとは思います。でも、当校の自由ですべてを自分で選び、スタッフや講師が相対評価をしない環境だと、どの生徒もみんな馴染んでいるように見えます。自由だからこそ、学ぶ人を選ばないということを実現できているのかもしれません。

渡辺さんは生徒ともフランクに接していました。ときには生徒とビジネスやITについて熱く語り合うこともあるといいます。生徒とスタッフの距離が近いところもバンタンテックフォードアカデミーの大きな特徴のひとつ。さまざまな現場で経験を重ねてきたスタッフとの語らいは、生徒にとって大きな学びとなりそうです。

ITに関わる授業はもちろん、さまざまな視点や社会的教養を身につけられる授業も

取材では、株式会社ゆめみのコンセプター、吉田理穂講師による「アートシンキング」という授業を2コマ見学させていただきました。アートシンキングは、自分なりの視点を増やすことや、社会的教養を身につけることを目的とした授業なのだそう。どの授業もオンライン・オフライン両方で行われているため、この日も教室で授業を受ける生徒、オンラインで授業を受けている生徒が混在していました。
福祉にまつわる授業風景
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1コマ目の授業は、福祉とITのコラボレーションについての講義。吉田講師が自身の働いた経験を元に話しをしたり、日本と海外の対比をしたりとさまざまな視点から福祉について語っていたことが印象的でした。

2コマ目の授業では、短編映画製作に向けての準備が進行。各自が監督、脚本家、役者...など、やりたい役割を挙げ、それをもとにグルーピングを行っていきます。これから先6回ほどの授業とその他の時間を使って短編映画の製作を進めていくそうです。
真剣に授業に参加する生徒の様子
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授業は講師が一方的に話すのではなく、対話形式で進んでいきます。授業のなかでは「今はどんな時代か?」という疑問が講師から投げかけられ、生徒が答える時間がありました。
「今ってどんな時代?」のスライド投影
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「夢で溢れている」「スキルをつければ評価してもらえる」「やろうと思えばなんでもできる」など、ポジティブな意見が多数。生徒の未来を切り開くパワーを感じることができました。
授業で使われるslackなどのツールがうつしだされたPC画面
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また、授業の投影スライドはslackで共有、グループ分けなどもオンラインツールを活用して行われており、生徒は筆記用具を持たず、パソコンを駆使しているのも印象的でした。
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