「じゅんばん!じゅんばん!」が娘の口癖⁉

療育センターでの親子グループ療育のプログラム修了後から小学校に入学するまでの間、娘は療育センターから紹介された大学の研究室で親子分離の療育と親同伴のグループセッションを受けていました。

当時私は“療育”という言葉を知らなかったのでそこを「子育ての悩みを相談できる場所」「親子で楽しく体を動かせる場所」として利用していました。
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【障害年金申請への道 最終話】子育て振り返りの旅も終わりに――15年前の発達検査報告書を見て感じた後悔と感謝。そして少しずつ親離れする二十歳の娘への想い

幼稚園入園前の母子分離プログラムの時の様子を研究室の先生はこのように記しています。

“のりちゃんは友達におもちゃを貸して欲しいときに「じゅんばん!じゅんばん!」と言います
これはお母さんがのりちゃんに「順番ね」という言葉を頻繁に使っているためと思われます。”

確かに娘は小さいころ「じゅんばん!じゅんばん!」とよく言っていました。
でもその言い方では相手に“物を貸してほしい”とか“順番を変わってほしい”という気持ちは伝わりません

当時の私は娘に“順番を守ること”を教えるのに必死だったのでしょう。

しかし娘には“周りに自分の意思や気持ちを伝える方法”をもっと具体的に教えることが必要だったのです。

「こういう時は『貸して』とか『代わって』って言うんだよ」と。

3年の歳月をかけて

幼稚園在園中に通っていた月2回の親同伴のグループセッション時に、先生方とのやり取り(振り返り)で使用していた連絡帳にも『順番』にまつわる記録が残っています。

【連絡帳やり取り(抜粋)】

<年少の5月某日>
親より ― サーキットの時の順番待ちの間、つねられたりTシャツを引っ張られたりして困りました。
先生より ― 待ち時間の過ごし方も工夫していけると良いですね。

<年少の6月某日>
親より ― 順番待ちがやはり問題。音楽に合わせて歌を歌ってごまかしてみましたが、Tシャツが引っ張られてノビノビになってしまいました。 
A先生より ― 待つこと、見ることは少しずつ声掛けをしたり共感をしたりして慣れて行ってください。
B先生より ― 待つのにお母様がいろいろと苦労し、工夫されているのを感じました。経験していきましょうね。

<年少の6月某日>
親より ― 久しぶりに大暴れでした。まさかここまで暴れるとは。泣くだけでなく「~しない!」「~いや!」と言えるだけ進歩でしょうか?途中で帰りたくなりました。でも本人は「帰らない!」と言っていました。疲れました。こんな日もあるんですね...。他のお子さんにも迷惑を掛けてしまいました。次回からもこんなだったらどうしよう。 

A先生より ― タイミングと気分の問題だと思います。お母様はお疲れだったと思いますがこういう経験(気分を戻して乗り越える)も大切なのでこれからも頑張ってください。
B先生より ― お母様は大変ですけれど、ある意味みんなに絶対見てもらえるという場での発散(ガス抜き?)だったんでしょうね。
C先生より ― これからもいろいろな所でこのようなことは起こると思います。大変ですがやっていきましょう!

<年少の7月某日>
親より ― 待ち時間、ひたすらお友達の名前や様子を実況中継して何とかやり過ごしました

A先生より ― 待ち時間も色んな工夫で待てるのはすごい!べたべた甘えん坊の時間になっても良いので色々な方法を見つけてください。
B先生より ― 待ち時間の工夫ありがとうございます。技術も大切ですがお母様と楽しくすることを大切にしたいと思いますので、少しの間は膝の上でも結構です。 
C先生より ― 前回のことがあるのでお母様が全力でお子さんに関わっていられる様子が良く分かりました。ご苦労様です。

<年少の7月某日>
親より ― 待ち時間、何度もトイレに入ったり、おもちゃで遊んだり「疲れた。休憩」と言って立ち歩いたり、どうしたら時間を潰せるか“本人なりに”考えたようです

A先生より ― 待ち時間はのりちゃんにとってもお母様にとっても課題ですね。一度うろうろすることを許すと次に止めることが難しくなります。なるべく椅子に座るかお母様の膝の上で過ごせると良いのですが…がんばってみましょう。
B先生より ― 待つこと、見ることは難しい課題ですが、親子で気兼ねなくその課題に取り組むことができる場ですのでゆっくりトライしてください。継続は力なりです。1回ずつのお母様の努力は必ず実を結びます。
 C先生より ― 待つことと自分がすることと大きく違いますが、少しずつ待ち方を工夫していってください。生活の中のいろいろな場面に繋がっていきます

<年少の9月某日>
親より ― 最近イヤイヤが治まっているせいか、順番待ちが上手にできました

A先生より ― かなり上手に座っていることができました。いっぱい褒めてあげてくださいね。
B先生より ― 椅子に座っていなくても「名前を呼ぶよ」と言うと椅子に戻れました。落ち着いていたように思います。
C先生より ― 順番待ち拍手ですね!

<年中の5月某日>
親より  ― 何でも自分でやりたい時期らしいです。できた時の達成感を知ったようです。

A先生より ― すっかりおねえちゃんになりましたね。できたことの達成感を味わえることもすごいことだと思います。できた時に一緒に喜び合いたくさん褒めてあげてください。
B先生より ― 達成感を知ったというのは素晴らしいですね。できた!という思いとお母さんに褒められる喜びと両方で本人の自信につながっていると思います。

私一人では無理だった

娘はこのグループセッションに3年間通いました。年長になるころにはすっかり慣れて「次は何日?」と私に聞くほど楽しんでいました。

徐々に『順番待ち』を学んだ娘。
でも実のところ『娘が“待つこと”を学んだ』というより、療育を通じてプロの先生方に見守られ、励まされながら『親が子どもへの接し方を学んだ』というほうが正しいかもしれません

私一人ではうまくやっていけなかったと思います。

療育は子どもに無理やり何かの技能を身につけさせたり、大人にとって都合の良いおりこうさんにしたりするためのものではありません。

それは私が通っていたこグループセッションの『目標』をみても明らかです。

〇子どもと一緒に体を動かす楽しさを感じる
〇子どもの苦手なことをどう対処するか考える
〇お互いの子どもの成長も喜び合う

お子さんの日々の困りごとや子育ての苦労を少しでも減らすためにも保護者には身近な相談先を見つけ、どんどんプロを頼って欲しいと思っています。
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