子どもの障害、伝えたら入園拒否も!?担任、ママ友、クラスメイト…「誰に」「どこまで」伝えるか

ライター:立石美津子
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10179020273

我が子が発達障害だった場合、どの範囲まで伝えたらいいのか悩みます。家族の間だけの秘密にしていては、子どもは必要な支援が得られず辛い思いをします。そうなると担任、他の園児やママ友などどこまで伝えたらよいのでしょうか。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

保育園・幼稚園に対して

障害を伝えると嫌な顔をされるケース

私の知人が入園前に「うちの子は障害がありますが、こちらの園に入園を希望しています」と伝えた結果、「当園は療育機関ではありませんので、他所へ行ったらどうですか」と言われてしまったそうです。

この話を聞いて、もしかしたら「黙っていた方がよかったのかも」と思う人もいるでしょう。自閉症は見た目ではわかりにくい障害なのでそのことを隠して入園することもできるからです。

けれども、そもそも「あなたのお子さんを歓迎します」の園ではありませんから、何かトラブルが出てきたら“厄介者扱い”されてしまうかもしれません。そうなると子どもはとても居心地の悪い空間で小学校入学まで過ごすことになってしまいます。ですから私は、障害や特性を伝えて断られたら「縁がなかった」と諦めたらよいと思います。

担任に伝えたらよいか迷った

息子は2歳で診断を受けましたが保育園に入園したのはそれよりも前でした。診断結果を園側に伝えたほうがいいのかどうか悩みました。

「『自閉症だ』と伝えたら、色眼鏡で見られてしまい、伸びるものも伸びなくなってしまうのではないか。周りにも似たような子はたくさんいるじゃあないか。だったら“個性が強いだけ”ということに留めておいて黙っていようか」と思いました。

でも、伝えなければ「母である私がきちんとしつけをしていない」と責められ、息子も「単なる行儀の悪い子」として叱られる回数が多くなると思い、正直に話しました。

書籍を渡すのは迷惑

園の先生は忙しいです。ですから、保護者から「自閉症とは」の書籍をドサッと渡されるのは迷惑です。

そこで、息子についての自作カルテ(サポートブック)を担任に渡しました。

「どんなことを嫌がり、何が好きか」「パニックはどんな状況で起こりやすいか」「どう
伝えれば理解するか」の情報は、どんな学術書よりも、我が子と月に1回程度しか接していない医師や臨床心理士よりも、親が持っています。24 時間年中無休で育ててきているのですから、親は子どもの一番の理解者であり専門家だと思います。

園の先生にも大勢の園児の保育に加えて発達障害児への対応で苦労をかけることになります。担任の先生が少しでも楽に対応ができるようにお願いする姿勢で具体例を伝えるようしました。

ママ友にはどう伝えるか

クラスの保護者に対してはどうしたらよいでしょうか。担任に伝えただけですと特別な配慮をしていることに対して「どうして、あの子だけ立ち歩いても許されているのかしら?特別扱いするなんてえこひいきする先生よね!」と陰口を叩かれてしまうかもしれません。

息子の場合、保育園で保護者会がなかったので送迎時に顔を合わせる3〜4人のママ達に「実はうちの子は自閉症なんです。ご迷惑をかけることもありますが、どうぞよろしくお願いします」と伝えました。

嫌な顔をして「障害のある子どもとは関わらせたくない」という姿勢の親御さんは一人だけでした。そんな相手に対しては私も友達にはなりたくありません。“もう我が家とは縁のない人々”と割り切りました。

結果、障害を公開することにより、「協力できることがあれば、なんでも言ってね」と大勢の保護者から温かい言葉をかけてもらえ、私も肩の荷が下りより親しくなれました。
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クラスメイトにはどう伝えるか

4歳くらいになると結構、子ども達は周りをよく見ています。
「なんで○○君だけ教室を脱走しても許されるんだ」と疑問に感じている子もいます。中には、あからさまに「○○君だけずるいよ。先生はえこひいきをしている!」と家に帰ってから親に言う子どももいます。

だからといって担任が「あの子は障害があるから」と説明しても、まだ幼い園児には理解できません。

そんなときは…

「背が高い子、低い子、走るのが速い子、遅い子、給食をおかわりする子しない子。眼鏡をかけている人、いない人、人間はみんな一人ひとり違います。うまくできることとできないことがそれぞれあります。

椅子に座るのが得意な子も苦手な子もいます。○○君はじっと座っていることが苦手だけれども走るのが得意です。だから少しだけ立ち歩いてしまっても○○君は走りたいのをグッとこらえて頑張っているのだから先生は叱っていないのよ。ずるいと言ってはいけないよ。できないのではありません。できることが違うだけです」

足が不自由な人が杖や車椅子を使ったり、近視の人が眼鏡を使ったりすることに対して誰も文句を言いませんが、パッと見でわかりにくい発達障害児に対しては子どもたちなりに「?」と感じています。

幼いうちから「世の中にはいろんな人がいるんだ。人間は皆違いがあるんだ」ということを体験させ教えていく必要があります。

義務教育におけるインクルーシブ教育とは、障害のある子どもを含むすべての子どもに対して一人ひとりの教育的ニーズにあった適切な教育的支援を「通常の学級において」行う教育のこと。つまり、特別なサポートを必要とする子どもが存在しているのを認めることだと思います。

それは我が子の障害を周りに伝えることで可能となると私は思っています。

執筆/立石美津子


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専門家コメント 鈴木直光先生(小児科医)

他国の例ですが、デンマークのように、自閉スペクトラム症をはじめとするさまざまな特性や障害も自然に受け入れる社会は、一つの理想的な姿と言えるのではないでしょうか。保護者の方がその都度お子さんの特性を説明して回らなくても、周囲に知識と理解の土台があれば、ご本人もご家族もずっと肩の力を抜いて過ごせるはずです。日本の場合、たとえ障害について伝えたとしても、社会全体の知識がまだ追いついていないために、どう接してよいか戸惑われてしまう場面が少なくないかもしれません。
多様性を前提とした教育は、日本ではまだ十分に浸透していないというのが課題ではないかと思います。例えば、クラスにケアやサポートが必要なお子さんがいる場合、担任の先生から分かりやすく伝えていくことも必要ではないでしょうか。保護者の方自らが教壇に立って我が子の特性を説明したケースもあります。日本にインクルーシブ教育はまだ定着しているとは言いづらいかもしれません。(監修:小児科医 鈴木直光先生)

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