「うちの子が知的障害?」3歳息子の障害を受けとめて1年。ことばも少しずつ出始めて

ライター:かさはらあやこ
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この記事では知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの体験談を専門家の解説と共にご紹介します。

SNSで息子について投稿を始めたのが、2019年12月下旬、息子が2歳6ヶ月のときでした。丸一年が経ち、現在は3歳6ヶ月。どんなところがどんな風に成長したのか、振り返ってみたいと思います。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

知的障害(知的発達症)とは?3歳に見られることの多い兆候についても

知的障害(知的発達症)とは、発達期(おおむね18歳まで)に知的機能と適応能力に遅れがあり、日常生活や学習、社会生活に困難が生じやすい障害のことです。
知的障害(知的発達症)は程度によって軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と分類されています。程度によって気づく時期に違いがあり、重度の場合は、発話の遅れなどによって幼児期に気づかれる場合がありますが、軽度では就学後学習が本格化してから分かることもあります。

3歳頃に見られることの多い知的障害(知的発達症)の兆候は以下のようなものです。ただ、子どもの発達には個人差があり、3歳児なら癇癪があることも珍しいことではありません。これらの兆候に当てはまったからといって知的障害(知的発達症)とはかぎりません。知的障害(知的発達症)の原因や症状はさまざまであり、このコラム記事のように自閉スペクトラム症と合併することもあります。ここでは、知的障害のみの特徴をいくつかあげておりますので、一つの目安としてご覧ください。

・人見知り、場所見知りがない(またはひどい)
・発語が遅れている
・運動発達が遅れている
・自分でトイレを知らせることができない(おむつ外れが遅い)
・先生の指示が分からず、集団行動などが難しい
・癇癪の頻度が多く、激しい
・食事などの身辺自立に遅れが目立つ

※上記は一例です

心配な面があると悩まれている方は、かかりつけ医や保健所/保健センターなどの専門機関、また3歳児健診などで相談してみるといいでしょう。
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
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以下では、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の3歳のお子さんの1年を振り返った体験談をご紹介します。専門家のコメントと共にご覧ください。

※自閉症…以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。以下の本コラムでは当時の診断名のまま掲載しております。

※知的障害…現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。

発語がなかった息子3歳6ヶ月、少しずつ成長中

3歳6ヶ月の息子が、糸巻きの歌を歌うように。
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現在、3歳6ヶ月の息子は、先月から〝音の模倣〟をするようになりました

おうむ返しではありますが、一生喋らないのではないかと思っていた息子の口から単語が出たり、歌ったりすることは信じられないようなことで、それがとても嬉しく、次は何を喋るのだろうとわくわくしている自分がいます

まだ3歳。でも、ここまでの日々も長い道のりでした

療育手帳について調べて、知的障害の可能性を考え始める母。
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息子が2歳を過ぎたころ...

発達障害について特に勉強することもなく、息子が知的障害を伴う自閉症であることなど想像もしていなかった私は、自治体のガイドラインに沿って息子を療育に通わせていました。

1歳5ヶ月から個別や集団のデイサービスに通っていることで安心し、〝これから喋れるようになるし、発達障害って最近よく聞くけど、個性だし、少し生きにくいかもしれないけど、早めに療育をしているから大丈夫!そもそも発達障害じゃないかもしれないし!〟と思っていました。

当時は特性が急激に増え、何度注意しても同じことを繰り返すので厳しく叱るせいか、走り回る、ぐるぐる回る、などの〝常同行動〟やツバをわざと出すような行為が多く見られたり、顔をしかめるチックのような症状がありました。

急に始まった癇癪をイヤイヤ期がきたと勘違いし、躾をしなければいけないという焦りからいつもイライラしていました

周囲から『療育手帳』の話を聞くようになっても、療育に通う際に必要な受給者証と同じようなものだろうと聞き流し...耳に入ってくる頻度が多くなってきたという理由で調べて、はじめて「ん?知的障害?ん?うちの子が?」となり、ようやく気づくことができました。

障害があると理解したことで、息子への接し方や、躾をしなければと焦っていた自分の気持ちに変化がありました。例えば、歩きながらごはんを食べたり、椅子に立って食べたりしても、感情的に叱ることはなくなりました。(危険があるときは未だに叱ります。)

それからは、常同行動や1日5回は起こしていたパニックも徐々に減り、ツバを出すような行為はなくなり、外出時には振り払われていた手も、3歳になるころには繋いで歩けるようになりました
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子どもの常同行動の理由と同じ行動を繰り返すときの対処法や相談先まとめ【専門家監修】


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