「気になる行動がある」園の先生から子どもの発達の問題を指摘されたら?先生たちのことばから

ライター:立石美津子
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私は発達障害のある子どもを育てる保護者としての苦しみを伝えるべく、保育園や幼稚園の先生に研修をすることがあるのですが、研修の度に、「保護者になかなか子どもの問題を伝えられない」と悩んでいる園の先生がとても多いように感じます。

発達が気になる子どもを受け持つ、園の先生方の悩み

私は発達障害のある子どもを育てる保護者としての苦しみを伝えるべく、保育園や幼稚園の先生に研修をすることがありますが、そこで出会う先生方が「保護者になかなか子どもの問題を伝えられない」と悩んでいることがとても多いように感じています。

同時に「悩みが目先のことに向いているようだ」「親も先生も“子どもに幸せな人生を送ってもらいたい”という見ている方向は同じなのに、大人同士の人間関係を優先してしまい、言い淀んでいる状態なのかもしれない…」と感じることがあります。
園や学校の先生にわかってほしい。障害のある子を持つ親の気持ちのタイトル画像

園や学校の先生にわかってほしい。障害のある子を持つ親の気持ち

研修で耳にした、園の先生方が実際に受けた言葉

これらは、実際に私が耳にした園の先生方の言葉です。

「親御さんに伝えられない理由はなんですか」と質問をすると…。

・「子どもの問題行動は先生の指導力が問題!うちの子を障害児扱いして」と詰め寄られた経験がある。それが原因でうつになり、退職してしまった同僚がいる。
・行政に訴えられたことがある。
・「障害児加算をあてにしているんですか」と言われたことがある。
・ほかの保護者に担任の悪口を言いふらされたことがある。
・「上の子も同じ感じだったが今はしっかりしている」「家では問題ない」と言い訳されてしまい、それ以上話が進まない。
・「文字も書け、数字も得意だし問題ない」と言われる。保護者と話がかみ合わず、そのまま話が止まっている。
・相談機関とつなげようとしたり、「就学相談に行って、小学校の進級先を検討してみてはいかがでしょうか」と伝えたりしても無視される。
・頑なに福祉サービスを受けることを拒否している。それぞれの家庭の方針があるので、踏み込めない。
・「障害者手帳を所持することで、障害者のレッテルを貼られたくない」と言われた。
・「障害ではなく、個性の一つ。障害としてしまったら、伸びるものも伸びなくなる」と言われた。

身につけさせたいことは

ある保育士からの相談は、5歳児クラスのお子さんについてでした。お箸やスプーンで食事することが難しく、そのお子さんは、食事は手づかみ食べ、発語もあまりない状態だということでした。

そしてそのお子さんの保護者の希望は、

「わが子には、通常学級に行って定型発達の子どもたちから刺激を受けて、さらに読み書き計算ができる学力をつけてほしい。特別支援学級に進学するとそれが叶わない」
ということでした。

本当にそれでそのお子さんに必要な支援は受けられるのだろうか、子どもに必要な力はその環境で伸ばすことができるのだろうか、とその保育者は悩んでいました。

私は思います。

「その保護者の考えかたも一理ありますが、定型発達の子どもとの違いを思い知らされ、努力しても授業内容が理解できず、更にいじめにあったら、お子さんはどう感じるでしょうか。通常学級にこだわることはあまり意味がないのではないか」と…。
こだわるのやめて、とたしなめられている保護者
©今井久恵
Upload By 立石美津子
教育委員会で働いていた方から次のコメントを頂いたことがあります。

「障害のある子の保護者には、『隔離された特別支援学校・特別支援学級より、地元の通常学校・通常学級に入って定型発達の子どもたちと育ったほうが発育によい影響がある』と信じる方が多いです。でも、子どもの発達段階によっては、「特別支援学校・学級の方が手厚い教育を受けられるのではないか…」と思うケースも多々あります。

特別支援学校・学級に入っても通常学級の子たちと交流する機会はあります。決して隔離ではありません。アメリカでは保護者はむしろ「障害のある子が特別な学校・学級で特別な教育を受けるのは権利」と考えると耳にしたこともあります。」
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