多動な自閉症ハルが入園!「協調性が身につくかも」母の期待も空しく、問題行動の連続に先生の反応は?【幼稚園編】

ライター:beth(ベス)
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ハルは現在11歳。多動を伴う発達障害、自閉症スペクトラム(知的障害あり)と診断されています。今回は、ハルが幼稚園に入園したころを振り返ってみます。

いよいよ幼稚園へ!入園面談では…

案の定、ハルは全然座っていませんでした。かろうじて面談の部屋には入れましたが、「いってちます」と爽やかに出ていこうとしては連れ戻し…変な汗をかきました。普段のようすは私の口から説明しました。園長先生は、ハルや私をずっと穏やかにエレガントに見守ってくださり、ほっとしたものです。

ですが、おそらく他のお子さんはされなかったであろう「加配の先生のお話」は、さりげなく出してくださいました。(加配とは担任の先生の補助として、心配のある子をサポートしてくれる先生のことです)

ハルと一緒にいると何一つ聞く余裕もなく、元気な印象だけでも残そうとハキハキ挨拶したのを覚えています(笑)。一つ上の従兄弟が在園していたこともあり、一応問題なく入園は決まりました。

スーパー多動児ハル、幼稚園に入園しました!

ハルは私の実家にとって初孫。初孫が初めて幼稚園に入園するとあって、家族一同お祝いフィーバーでした。私も新生活にドキドキわくわく!というよりは…正直…疲れ切っていて精神的に余裕がゼロだったため、数時間でも離れられることで心の平穏を得られると期待していたりもしました。

ごめん、ハル…。本気で可愛かった。ぷにぷにのほっぺも肩も、座っている姿だけでも涙が出るくらい可愛かったです。ずっと抱きしめて穏やかな愛情を注ぎたい。それでも、それは叶いません。

道路へ、歩道橋へ、電話ボックスの上へ。手を繋いでも一瞬。するりと逃げるんだもの。ハーネスも軟体動物のように縄抜け。一日数十回追いかけていると、母は…鬼の形相にもなってしまうのでした。
すぐにどこかへ行ってしまうハル
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はじめての集団生活

集団生活に入れば、少しは協調性やルールが身につく…?との期待もありました。幼稚園に入って、同年代の子どもたちがみんな教室で楽しそうなら、一緒に何か活動したり、するかな…?と。

ところがどっこい、やはり母の期待の斜め上を生きるハル。集団生活に、そもそも入りませんでした…。

教室に入らず、どこにいたかというと…

木登りが好きなハル
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木の上です(笑)。
ちょっと木登りとかでなく、てっぺんまで登ってようやく、動きが止まるのでした。

速攻で園のほうから加配の先生を付けていただいたハル。そこから、集団生活ではなく、加配の先生との濃密な時間が始まりました。

先生達の反応は…

優しかったです!
担任の先生も、加配の先生も、園長先生も、温かく見守ってくださいました。これは、本当に救われました。

ハルが木の上にいたこと、用具入れの屋根に登ろうとしたこと、非常用のすべりだいを逆走してさすがに止められたこと、従兄弟の教室に乱入したけれどそのあと一緒に過ごさせてもらったこと。これらのことすべて、「困ったこと」としてではなく「微笑ましいエピソード」として語ってくださったので、正直、面食らいました。「すみません」しか言っていなかった気がします。

今なら胸を張って、「そんな風に見守ってくれてありがとうございます!」と言いたいです。毎日外で「すみません」だらけの私は、家族以外でも、こんなにハルを受け入れてくれる場所があるんだ…!と思いました。

降園時間、お迎えに行くと…

迎えに行き、先生からハルの様子を聞く
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「ハルくんのお母さんー」、降園時間に迎えに行くと私だけ呼び止められます(笑)。

「今日…どうでしたか?」恐る恐る聞くと…「ずっと木の上にいました」と、清々しい笑顔で教えてくれました。「なので私はハルくんの下でずーっとボーッとしてました。ハルくんといると、忙しいけど、時間がゆっくり流れる気がしますね」と。

…! 先生ありがとう。そう、そうなんですよ。わかってくれますか!!なんだかしょっちゅう感動してました。

育児で大変な反動か、いつの間にかかなりの感動屋になっていました。感受性を豊かにしてくれたハルには感謝しかないです。幼稚園の先生たちは、木の上の世界にいるハルを下ろして集団に入れようとすることは一度もありませんでした。それで、迎えに行くときの心持ちが軽くなりました。

大変なことは、多くても

数時間離れて再会するハルは、可愛くて可愛くて仕方なかったです。なんてまあるいほっぺなんだろう。なんて小さい手。先生が「ハルくん!ママきたよ」というと駆け寄ってくるハルを見て、ああ~わたしの迎えを心待ちにしていたんだな、とわかりました。抱き上げると、数時間しか離れていないのに、愛おしさがこみあげました。

なぜこんな可愛い子を怒れたんだわたしは…と思ったりもしました。ハルが可愛いと罪悪感が湧いてくる。不思議で面倒臭い心理状態でした。子育てをする上で、不思議でメンドクサイ複雑な気持ちは、山ほど経験しました。一色では表せない気持ち、これもまた愛と呼ぶのだと思っています。
迎えに行くと駆け寄ってくるハルに愛おしさがこみあげる
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そしてそれから、数分後…

なんて可愛いんだと感動したり、普段の鬼母な自分に反省したりするものの、まあ数分も経てば、現実に直面するのでした。

いくら言ってもつないでくれず、振り払われる(先程愛しかった)小さな手。その手をがしっと捕まえ、鬼の形相で叱るけれど、ハルには響かず、道ゆく人は振り返るのでした…。帰りに公園に寄って遊ばせて、お母さんたちと喋ることに最初は憧れていましたが、2分もできなかったです。まず公園内に留まっていない…。

そんな帰り道。幸い自転車は好きだったので乗せて、後部座席に「きょうは何したのー?」と話しかけながら帰りました。返事が返ってくることはないけれど、その時間がけっこう好きでした。

そして信号待ちで自転車の後ろを振り返ると、ハルはだいたい寝落ちしていました。その寝顔を見ると、ハル自身もまた、なかなか慣れない幼稚園生活のなかでとても疲れるよね、と気づくのでした。

お疲れさま、ハル。人の世は慣れないことばかりでしょう。あれ? ふと、疑問が沸きました。人の世で生きていけるのかしらこの子…?と。そんな心配は、そっとしまって、帰路についたものでした。
後部座席で寝落ちしているハル
ベルト、ヘルメット等省略しています
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次回は、幼稚園でのさまざまなイベントでのハルの様子や、ちょっと不思議だった出来事などを書いていきます!
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