イヤイヤ期の「困った」どう乗り越える?発達障害がある場合の対応方法は?【専門家監修】
「自分で!」「イヤ!」と強硬に主張したかと思えば、「ママがやって!」と突然の手のひら返し。まるで怪獣に変身してしまったようなイヤイヤ期の子どもたちに、「わが子ながらもうお手上げ」と白旗をあげたくなったことがあるかたも多いでしょう。
でも、保護者にとっては大変な「イヤイヤ」は、実は成長の証しでもあります。また、発達が気になる子のイヤイヤの背景には、感覚特性や見通し不安などが関係していることもあります。イヤイヤのメカニズムや、子どもへの寄り添い方を頭に入れて「イヤイヤ」に対応しましょう。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
イヤイヤ期ってどんな時期?
イヤイヤ期の子どもは、日常生活のさまざまな場面で「イヤ!」「きらい!」と拒否したり、なんでも自分でやりたがったり、大声で泣きわめいて要求を通そうとしたりと、何をするにも一筋縄ではいきません。「やるといったのに、結局やらない」「できなくて泣き叫ぶ」こうした行動に振り回されてクタクタになってしまう、という声もよく聞かれます。
ほかにも、「急に食べ物の好き嫌いが多くなった」「いやなことがあると、たたいたり、物を投げたりする」「服装へのこだわりが強く、自分で選んだ服しか着ない」など、イヤイヤのタイプは実にバリエーション豊かです。
大人からすれば、「どうしてそんな行動を?」と思うことも、子どもにとってはどうしても譲れない場合もあります。
この時期の子どもは、まだ自立への最初の一歩を踏み出したばかりです。
さらに脳も発達途中で、知的な働きをする大脳皮質や、コミュニケーションや社会性をつかさどる大脳辺縁系の働きも未熟。気持ちがコントロールできなかったり、その場にそぐわない行動をしてしまうのも、2歳前後の年齢ならば当然のことなのです。
イヤイヤ期の子どもたちは、体はスラリとしてすっかり赤ちゃんを卒業したように見えますが、だからといって急に大人と同様になるわけではありません。まだ本能のおもむくままに動く時期なのだと考えると、子どもの行動にイライラすることが減るかもしれません。
イヤイヤ期はなぜ起こる?
1歳半ごろになると、ママと一心同体だった赤ちゃん期は卒業。ママと自分は違う人間である、ということに気づき始めます。
2歳になるころには、運動能力も知的な発達もかなり進み、自己主張はますます強くなります。ただ、「こうしたい!」というイメージははっきりしていても、まだまだ不器用で、手先や体のコントロール能力も発達途上です。語彙力も不足しているので、自分の思いをうまく伝えられないことも多いのです。
やりたい気持ちは満々なのに、実力が伴わないことにイライラしてしまうのがイヤイヤ期、とも言えるでしょう。
大変なイヤイヤ期ですが、もちろん永遠に続くわけではありません。3歳ごろになると少しずつ社会性が身につき、少しなら我慢することもできるようになります。自分ができること、できないことの予測も立てられるようになり、だんだんとイヤイヤ期を卒業していきます。
なんでもイヤイヤでお手上げ!保護者はどうしたら?
さりげないサポートで「できた」を応援
たとえば、日々の身支度。洗面台には踏み台を置き、タオルも手が届く位置にかけておけば、スムーズに手洗いができます。靴に左右がわかるシールを貼ったり、子どもの洋服は引き出しの一番下の段に入れて自分で出せるようにする、なども一案です。お子さんのイヤイヤに繋がりやすいポイントを観察して、先回りして自分でできる環境をつくっておくことで、子どもの「できた!」をサポートしましょう。
子どもの気持ちを代弁する
子どもの言葉に、おうむ返しで答えるのもおすすめです。たとえば、「帰らない! まだ遊ぶ」とダダをこねられたら、「そっか、まだ遊びたいんだね」とくりかえしてみましょう。保護者が自分の言葉を否定しないで聞いてくれる、と思うことができれば、子どもの心はすーっと安心します。イヤイヤが吹き荒れていた心が静まれば、自分から「おうちに帰る」という言葉が出ることも。そんなときは、思いっきり抱きしめて、たっぷりほめてあげましょう。
正しい行動をほめる
たとえば、食べ物をポイポイ投げるのは、してほしくない行動のひとつという保護者も多いのではないでしょうか。こうした行動を目の前にすると、つい「ダメ! やめなさい!」と叱りたくなりますが、これはかえって逆効果のこともあります。ママやパパが構ってくれたと、嬉しくなって何度も同じことを繰り返すことも少なくないからです。
してほしくない行動には過剰に反応をせず、正しい行動ができたときにほめてみましょう。大好物だけを集めたメニューを用意して、投げずに完食したら「今日は投げなかったね、えらいね!」「ピカピカに食べられて、すごい!」と笑顔でほめます。投げるよりも、投げないほうが注目してもらえる、とわかると、次も投げないようにしよう、と思うものです。適切な行動ができたらほめることを続けていくと、いつのまにかしてほしくない行動は減っていきます。
発達障害がある子の「イヤイヤ」にはどう向き合う?
子どもの発達には個人差が大きく、乳幼児期の診断は難しいと言われます。明確な診断は受けていないものの気になっている、というご家庭もあるでしょう。
ここでは、発達障害のある子のイヤイヤ期について見ていきましょう。
発達障害は、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つのタイプに分けられます。いずれも脳の働き方に偏りがあるために起きると考えられていて、周りからは理解されにくい障害ともいわれています。
激しいイヤイヤの背景には感覚の過敏性があることも
こうした感覚の偏りがあると、些細なことでも不快感が高まりやすくなります。
ただ、感覚は人それぞれでその不快さなどが他者からはわかりづらい上に、子ども自身も不快さを自覚できていなかったり、言葉にして説明することが難しかったりする場合があります。発達障害のある子の中には、言葉の発達がゆっくりめである子も多く、その場合、なぜ不安なのか、なにがいやなのかをうまく伝えることができません。
感覚過敏の不快感に加え、保護者や周囲の人にわかってもらえないもどかしさから、かんしゃくをおこしたり、泣き叫んで表現するしかない、ということも多いのです。
大きな音を嫌がったり、白い紙をまぶしがったりなどの様子が見られたら、なるべく刺激が少なくなるように工夫してみましょう。そして、「大きな音がするとびっくりしちゃうね」「ピカピカしていると、まぶしいかな?」などと言葉にしながら、子どもの感覚や気持ちに寄り添うコミュニケーションを心がけます。
かんしゃくがおきてしまったときには、気持ちを落ちつけることを優先しましょう。ゆっくり静かに「いやだったんだね、もうだいじょうぶだよ」と声をかけたり、抱きかかえて別の場所に移動したり、気分を変えられるようにサポートします。
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スケジュールの予告で安心させる
「子どもにいろいろな体験をさせてあげたい」「週末は遠出をして、普段はできないことをさせてあげたい」と思うのも親心ですが、子どもはいつもと同じお散歩コースのなかでもたくさんの発見をしているものです。
お子さんに「急な変化に弱い」という特性がありそうだと感じたら、なるべく日々のルーティンを守って、子どもが安心できるように心がけましょう。
スケジュールの見通しをあらかじめ伝えておくのも、おすすめです。「いつもは公園で遊ぶけど、今日は雨だからおうちで遊ぼう」「これからじいじとばあばが来るから、お散歩は夕方にいこうね」。直前に知らされるより、あらかじめ予定がわかっていたほうが心の準備ができるのは、大人も子どももいっしょですね。
予定を伝えるときには、言葉で知らせるだけではなく、目で見てわかる情報をあわせて用いると、より理解しやすい場合があります。イラストや写真を並べて予定表をつくったり、数字がわかるお子さんには番号を振って手順を伝えたりするのもよいでしょう。
そのような様子が見られる場合は、時計やタイマーなどを事前に見せておき、終わりの時間の予告をしておくなどの工夫も大切です。「ゼロになったら終わりだよ」などと伝えながらタイマーを一緒にセットすれば、お子さんも心の準備ができるかもしれません。
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イヤイヤをしだしたら、大人は「いやだったね、こまったね」と共感して、その子の気持ちを受け止めてあげれば十分です。そしてその子が楽しくできること、穏やかでいられる時間を大切に、環境を整えていくことを考えましょう!
レスパイトサービスを活用して上手に息抜きを
親も休日には子育てから解放されたくなることはあります。しんどい時は無理せず、一時保育やファミリーサポート、シッターサービスなど、発達障害のある子どもの育児で利用できる、レスパイトサービスの利用を考えてみましょう。「レスパイト」とは、小休止や息抜きを意味する英語で、育児や介護で疲れたときに一時的に休息をとることを指す言葉です。
レスパイトサービスについては、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。
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ポジティブにとらえて、イヤイヤ期を乗り切ろう
ひとくちにイヤイヤ期といっても、表現の仕方は一人一人違うものです。わが子はどんなタイプなのか、どんなポイントでかんしゃくを起こすのかをよく観察すると、イヤイヤを回避するための準備もできるようになります。
それでも、ひとたびイヤイヤスイッチが入ってしまえば、ある程度ほうっておくしかないのもこの時期の子どもたちです。「今はこういう時期」と割り切って、「イヤイヤしているな〜」と一歩引いた目でみられると、気持ちもラクになるかもしれません。
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