イヤイヤ期の「困った」どう乗り越える?発達障害がある場合の対応方法は?【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

「自分で!」「イヤ!」と強硬に主張したかと思えば、「ママがやって!」と突然の手のひら返し。まるで怪獣に変身してしまったようなイヤイヤ期の子どもたちに、「わが子ながらもうお手上げ」と白旗をあげたくなったことがあるかたも多いでしょう。
でも、保護者にとっては大変な「イヤイヤ」は、実は成長の証しでもあります。また、発達が気になる子のイヤイヤの背景には、感覚特性や見通し不安などが関係していることもあります。イヤイヤのメカニズムや、子どもへの寄り添い方を頭に入れて「イヤイヤ」に対応しましょう。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

イヤイヤ期ってどんな時期?

イヤイヤ期とは、1歳半ごろから3歳ごろにかけて続く「第一次反抗期」のこと。イヤイヤ期真っ盛りの2歳は、「魔の2歳児」とも言われます。海外では「恐怖の2歳(テリブル・ツー)」と言われていて、イヤイヤ期の激しさは万国共通であることがわかります。

イヤイヤ期の子どもは、日常生活のさまざまな場面で「イヤ!」「きらい!」と拒否したり、なんでも自分でやりたがったり、大声で泣きわめいて要求を通そうとしたりと、何をするにも一筋縄ではいきません。「やるといったのに、結局やらない」「できなくて泣き叫ぶ」こうした行動に振り回されてクタクタになってしまう、という声もよく聞かれます。

ほかにも、「急に食べ物の好き嫌いが多くなった」「いやなことがあると、たたいたり、物を投げたりする」「服装へのこだわりが強く、自分で選んだ服しか着ない」など、イヤイヤのタイプは実にバリエーション豊かです。

大人からすれば、「どうしてそんな行動を?」と思うことも、子どもにとってはどうしても譲れない場合もあります。
この時期の子どもは、まだ自立への最初の一歩を踏み出したばかりです。
さらに脳も発達途中で、知的な働きをする大脳皮質や、コミュニケーションや社会性をつかさどる大脳辺縁系の働きも未熟。気持ちがコントロールできなかったり、その場にそぐわない行動をしてしまうのも、2歳前後の年齢ならば当然のことなのです。
イヤイヤ期の子どもたちは、体はスラリとしてすっかり赤ちゃんを卒業したように見えますが、だからといって急に大人と同様になるわけではありません。まだ本能のおもむくままに動く時期なのだと考えると、子どもの行動にイライラすることが減るかもしれません。

イヤイヤ期はなぜ起こる?

イヤイヤ期の「困った」行動は、どれも自我が確立してきたことの表れと考えられます。
1歳半ごろになると、ママと一心同体だった赤ちゃん期は卒業。ママと自分は違う人間である、ということに気づき始めます。

2歳になるころには、運動能力も知的な発達もかなり進み、自己主張はますます強くなります。ただ、「こうしたい!」というイメージははっきりしていても、まだまだ不器用で、手先や体のコントロール能力も発達途上です。語彙力も不足しているので、自分の思いをうまく伝えられないことも多いのです。
やりたい気持ちは満々なのに、実力が伴わないことにイライラしてしまうのがイヤイヤ期、とも言えるでしょう。

大変なイヤイヤ期ですが、もちろん永遠に続くわけではありません。3歳ごろになると少しずつ社会性が身につき、少しなら我慢することもできるようになります。自分ができること、できないことの予測も立てられるようになり、だんだんとイヤイヤ期を卒業していきます。

なんでもイヤイヤでお手上げ!保護者はどうしたら?

「自我の芽生え」「自立の一歩」とはわかっていても、日々のイヤイヤに応戦するのは大変ですね。「早くしなさい!」「自分でやるっていったんだから、最後までやりなさい!」と叱ってばかりでは、保護者も疲れてしまいます。かといって、イヤイヤ期の子どもに理屈を説いたり、効率のよい方法を教えようとしても、それは無理というもの。きちんとしつけなくては、と焦る必要もありません。

さりげないサポートで「できた」を応援

この時期に心がけたいのは、子どもの「やりたい」という強い気持ちを受け止めてあげることです。そして、「やりたい」が「できた!」という達成感へとつながるように、環境を整えていきましょう。
たとえば、日々の身支度。洗面台には踏み台を置き、タオルも手が届く位置にかけておけば、スムーズに手洗いができます。靴に左右がわかるシールを貼ったり、子どもの洋服は引き出しの一番下の段に入れて自分で出せるようにする、なども一案です。お子さんのイヤイヤに繋がりやすいポイントを観察して、先回りして自分でできる環境をつくっておくことで、子どもの「できた!」をサポートしましょう。

子どもの気持ちを代弁する

また、かんしゃくを起こしたときには、ぜひ子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。「イヤだったんだね」「自分で開けたかったんだよね」、こんなふうに代弁してもらうことで、ぐちゃぐちゃになっていた気持ちも整理されます。そして、だんだんと自分でも言葉で気持ちを伝えられるようになっていきます。
子どもの言葉に、おうむ返しで答えるのもおすすめです。たとえば、「帰らない! まだ遊ぶ」とダダをこねられたら、「そっか、まだ遊びたいんだね」とくりかえしてみましょう。保護者が自分の言葉を否定しないで聞いてくれる、と思うことができれば、子どもの心はすーっと安心します。イヤイヤが吹き荒れていた心が静まれば、自分から「おうちに帰る」という言葉が出ることも。そんなときは、思いっきり抱きしめて、たっぷりほめてあげましょう。

正しい行動をほめる

してほしくない行動ではなく、適切な行動にフォーカスするのもストレスのない方法です。
たとえば、食べ物をポイポイ投げるのは、してほしくない行動のひとつという保護者も多いのではないでしょうか。こうした行動を目の前にすると、つい「ダメ! やめなさい!」と叱りたくなりますが、これはかえって逆効果のこともあります。ママやパパが構ってくれたと、嬉しくなって何度も同じことを繰り返すことも少なくないからです。

してほしくない行動には過剰に反応をせず、正しい行動ができたときにほめてみましょう。大好物だけを集めたメニューを用意して、投げずに完食したら「今日は投げなかったね、えらいね!」「ピカピカに食べられて、すごい!」と笑顔でほめます。投げるよりも、投げないほうが注目してもらえる、とわかると、次も投げないようにしよう、と思うものです。適切な行動ができたらほめることを続けていくと、いつのまにかしてほしくない行動は減っていきます。
次ページ「発達障害がある子の「イヤイヤ」にはどう向き合う?」


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