もう宿泊学習は行きたくない。

脱水と栄養不足で途中離脱した宿泊学習―ー感覚過敏の僕が具合が悪くなったワケと、必要だった対策【感覚過敏な15歳社長】の画像
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中学1年の秋にも宿泊学習がありました。海のフィールドワークというもので、海辺で生物をさがしたり、グループワークをするようなものでした。入学後のオリエンテーリングと同じような感じで、念のため栄養補助食品を持って行きました。飲み物は自動販売機が使えるのも同じでしたので、困ることはありませんでした。

この頃は、教室の騒がしさで体調が悪くなることが多く、保健室に駆け込むことが多いころでした。保健室の先生から「聴覚過敏」という言葉を聞き、自分の体調不良が聴覚過敏からくるものではないかと調べているころでした。

宿泊学習でも、やはり具合が悪くなりました。海でフィールドワークをしているときは問題ないのですが、ホテルの自由時間や食事の時間は、音の洪水で頭が痛くなって、気持ち悪くなるのです。

中学2年の4月。また2泊3日のオリエンテーリングがありました。宿泊学習のあの雑踏にいるような騒がしさを思い出し、「行きたくないな」と思いました。食べるものも限られてしまうので、気持ちが乗りませんでした。

親にオリエンテーリングに行きたくないことを伝えました。オリエンテーリングを欠席することのメリット、デメリットも話し合いました。メリットは、「とりあえず行きたくないので気持ちが安定する」です。話し合った結果、デメリットは「学校での思い出が1つ減ること。オリエンテーリングの話題に入れないこと」だと思いました。僕は、思い出が1つ減ろうが、その会話に入れないことがあろうが、それよりも、宿泊学習に行くストレスの方が高いと思いました。

親には、自分で先生に相談するようにいと言われたので、自分で先生にオリエンテーリングを欠席することを伝えました。1年生の3学期は、オリエンテーリングの班決めや準備の時間もあるので、当日は欠席してもよいが、準備には参加するようにと言われました。自分が行かないと分かっていて、班のメンバーにも伝えている中で、準備に参加するのは多少の罪悪感や面倒臭さがありましたが、オリエンテーリングを欠席することに後悔はありませんでした。

感覚過敏が強い人の宿泊学習・修学旅行で気をつけたいこと

これまでの宿泊学習を振り返って思うことは、まず、子ども本人は、感覚過敏のある自分が宿泊学習に行くことによって、どんな困った状況が起きるかについて、想像することが難しいので、親や先生が起こる状況を想定して対策を考えて欲しいということです。

また、「1日、2日くらい我慢すればよい」という考え方も危険だと思います。僕は小学5年生の宿泊学習で、丸1日食事をとれず、トレッキング中に水分を取れなかったことで具合が悪くなりましたが、低血糖や脱水などで生命に関わる可能性もあったのではないかと思います。

家や学校とは違う環境で逃げ場もありません。心配だと思うことは、1つずつ先生と親と生徒で確認していくのがいいと思っています。

そして、修学旅行などは学校行事の中でも大きなイベントです。「思い出のために」「みんなと一緒に」という気持ちを親や先生が子どもに押し付けているかもしれないと、考えてみてもらいたいと思います。小学生時代の僕は「学校行事は参加するもの」と思っていました。休むという選択肢を持っていませんでした。

僕は中学1年の終わりに、「宿泊学習は行かない」という選択をしました。クラスの話題に入れなくなっても、学校の思い出が少なくなったとしても、それでもいいと思えるようになりました。

最後の切り札として「行かない」という選択肢があること、たとえ、一つの行事に参加できなかったとしても、そのことで損なわれるものは思っているほどはないことをみなさんに知っていただきたいです。
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三木先生より

小6の時の先生や宿泊先の神対応が素晴らしいですね。
また、必要な支援や取り組みのメリット・デメリットをしっかりと自分で考えられるようになった成長にも目を見張ります。
このように、困っていることを整理して皆で相談できるようになると良いですね。
(監修:児童精神科医 三木 崇弘先生)
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