はじまりは2歳ごろ。ひたすら物を並べるASD息子に苛立ち…そんな私が、息子のつくる世界を好きになった日

ライター:かさはらあやこ
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現在4歳2ヶ月の息子。好きな遊びは再現することと、並べること。今までさまざまな物を並べてきました。
こんなに並べることが得意なのに、なぜ本棚やおもちゃ箱からぐちゃぐちゃに出した絵本や玩具は片づけないのか。不思議でなりません。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

2歳ごろから物を並べるように

真っ白い紙とクレヨンを用意しても、ただクレヨンを並べるだけ
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知的障害を伴う自閉症の息子は2歳前後から、物を並べるようになりました。

ミニカー、ブロック、フィギュア、ペットボトル、その他…。自閉症児はどうやら物を並べるらしい、ということを調べて既に知っていた私。最初に息子がミニカーを並べ始めたときは、かなり動揺しました。

そしてそのことを周囲に話すと「うちも並べてたよ、みんなやるよ!」なんて言われて、あぁ…そうなのか…みんなやるのか。と無理矢理 自分を納得させ、モヤモヤをごまかしていました。

ある日、お絵描きをさせようと真っ白い紙にクレヨンを用意しました。私が幼いころは落書きは基本的にチラシの裏だったので、真っ白い紙に絵が描けるなんてとても嬉しいことなのに、息子は白い紙には見向きもせず、ただクレヨンを並べるだけでした。

いま思い返すと、本当に酷い親なのですが、当時はその姿を見ることがつらくて「ねぇ!どうして描かないの⁉︎描かないならもうだめ!ないないだよ!!」と無駄に怒り、クレヨンを取り上げて泣かせる。そんなことを何回繰り返したかわかりません。

2歳半で初めて受けた発達検査

2歳半で初めて発達検査を受け、心理士の先生がくれた言葉
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〝もしかして…〟と思ってから約2年。黙々と検索をして調べたり、そんなはずはないと自分に言い聞かせたり、なぜこんなに指示が通らないのかと叱りすぎて自己嫌悪に陥ったり。

本当に苦しい時間でしたが、児童発達支援の先生に、環境を整えてあげる必要があると言われて初めて、息子は知的障害を伴う自閉症なのかもしれないと気づき、知的障害の有無とその程度はどうなのか、状態を把握するために、2歳半で初めて、発達検査をすることになりました。検査では指示の通りには何もすることができず、結果は全領域 1歳3ヶ月(言語は0歳8ヶ月)DQ50の軽度〜中度知的障害でした。

「発達検査で知ることができるのは、子どものほんの一側面にしかすぎません。10歳のお子さんの発達年齢が仮に5歳だったとして、じゃあ5歳児のように接しましょうとか、そういうことにはなりません。発達年齢が低かったとしても、いっちゃんが今まで生活してきただけの生きる知恵や、哲学や想いが必ずあるはずです」

心理士の先生がかけてくれたその言葉を、私はきっと一生忘れません。

驚きの事実

フィギュアを並べながら、不思議な動きを繰り返している息子
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発達検査から数ヶ月経ったある日、いつものようにフィギュアを並べて遊んでいた息子を眺めていました。

なぜかこの日は、並べたあとに離れたところから確認し、また戻って微調整をしてまた離れて…そんなことを繰り返していました。あまりにも長いことやっているので、何がそんなに楽しいのかと息子が確認をしていた位置に立ち、視点を低く目線を合わせてみたところ、驚愕の事実が発覚しました。

なんと息子は、アニメのワンシーンを再現し、夕日がフィギュアに当たるように向きを整え、それが夕映に包まれる様子を離れたところから俯瞰していたのです。

自分の中にある情景を納得がいくまで作業をし、見事につくり上げたその様子を目の当たりにし、鳥肌が立ちました。
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