自閉症の息子は体調変化に鈍感…。服薬は苦行、通院では大暴れ、試行錯誤の4年間

ライター:かさはらあやこ
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マスクはできず、偏食のため栄養も偏りやすく、その辺のものを平気で口に入れてしまう自閉症の息子。今回は、とにかくよく怪我をし、体調を崩しても「痛い」「苦しい」と伝えることができない息子の体調管理について書いてみました。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

困るのは、怪我や病気で体調を崩すこと

赤ちゃんのころは、快も不快も全くわからない状態でした
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現在4歳3ヶ月の息子は、知的障害を伴う自閉症です。会話をすることができず、意思の疎通が困難です。そんな息子を育てるうえで困るのが〝怪我や病気で体調を崩すこと〟。

感覚の鈍磨さのためか、40度近い高熱があっても元気に走り回っていたり、痛いことや苦しいことがあったときも的確に伝えることができなかったり。そのため、発見が遅れ、気づいたときには酷くなっていたということが多々あります。

今でこそ、〝体温調節の機能がうまく働かないので気をつけてあげなければいけない〟と意識ができますが、赤ちゃんのころは暑い寒いで泣いたりすることがなく、快も不快も全くわからない状態でした。そのため「ちょっと…この子、汗だくじゃないの!着させすぎよ!!」と周囲に指摘されるようなこともありました。

怪我をしても絆創膏の類いはすぐに剥がされ、傷が気になって触るので、3日で治るような傷も完治まで数週間かかり痕が残ります。火傷をしたときも、火傷をしたと気づくまでに時間がかかり、どこが患部なのかわからず処置が遅れ、感覚過敏のため冷やすことができずに酷い水ぶくれになってしまい…そばにいた父親を責め、夫婦喧嘩になりました。

癇癪、パニック、大暴れ

息子が風邪をひくと、親子共々、本当に本当に疲弊します
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ほんの少しの鼻詰まりでも、眠ることができず朝まで大癇癪。病院に向かう車窓から建物が見えただけでパニック。駐車場で逃げ回り、院内では車椅子の高齢者の膝に飛び乗って座る、他人の飲みかけのペットボトルを奪い、診察室では大暴れ。

日頃から偏食があるため栄養が偏りやすく、睡眠時間も短いためか普通の風邪をこじらせてしまうこともあります。

息子が風邪をひくと、親子共々、本当に本当に疲弊します。だから、過保護と思われても、できるだけ怪我をさせるのは避けたいし、
絶対に風邪をひかせたくない…!
と思いながら生きています(無理だけど)

薬を飲ませるのも大ごと

風邪をひくたびに1日3回7日間の投薬に悩みます
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2歳〜4歳の現在進行形で、薬を飲ませることも大変です。風邪をひくたびに、1日3回7日間も、どうやって飲ませよう…と悩んでいます。

最初は成功していた〝好きな食べ物に混ぜて入れる方法〟は、薬を入れたたことがバレて一切食べなくなってしまったり、偏食が進んでくるとまったく通用しなくなりました。〝普段食べさせない甘いものに混ぜて入れる方法〟も、成功するのはせいぜい2日間で、すぐに飽きてしまったりバレたり。

それでもなんとか、騙し騙し服用していた薬。3歳を過ぎたころは、察知する能力が高くなり、とうとう何に混ぜても口を開かず、どんなに工夫をしても飲めなかった時期でした。飲まないことで回復が遅れ、イライラして怒って…。イライラする自分に疲れて嫌気がさし、あるとき、飲まなくても別に死ぬわけじゃない。〝飲まなければいけない〟ではなく〝飲めたらラッキー〟と思うようにしたことで、だいぶ心が軽くなりました。

しかし、風邪をこじらせて、風邪薬を2週間服用しても治らず、7日間最後までしっかり飲み切らないといけない抗生剤が処方されたときは、必死に抵抗し全身の力で暴れるわが子に馬乗りになり、口を無理矢理に開いて飲ませなければならず…。いままでゆっくり時間をかけて積み重ねてきた信頼関係のようなものが、この朝昼晩の行為によって崩れてしまうのではないかと不安に思うほど大変でした。

実際、このあと2週間ほど不安定な状態が続いたので、もう二度と飲ませたくありません(無理だけど)
次ページ「親としての願い」

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