「100回書け」で勉強嫌いに…ひらがな学習「負のループ」に陥らない!覚えやすい教え方と添削の工夫
ライター:立石美津子
「覚えるまで、100回書きなさい!」、
「もっときれいに書きなさい!」
「ほら、そこ違うでしょ、書き直し!」
親は良かれと思って ついついこれらの言葉を口にしてしまいますが、子どもはどう感じているでしょうか。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ひらがな学習について、特別支援学級の先生の言葉
私の友人に、現役の特別支援学級の先生がいます。その友人が「ひらがな負のループ」について教えてくれました。
①字がうまく書けない
②ひたすら書く、注意される→でもうまく書けない
③取り組みが嫌いになる
④うまく書けないので、さまざまな書く学習でつらくなる
⑤学習に苦手意識をもつ
⑥さらに注意される
ひらがなは、小学校に入ってすぐに学ぶもの。そして、今後ずっと使い続けるさまざまな文字の初期段階。
これが嫌いな取り組みになることで、子どもは別の場面でもつらくなってしまうのだとも教えてくれました。
字は一生付き合っていくもの。ひらがなの学習での「できた」が、カタカナや漢字を始めるときにも「やってみよう」という気持ちの基礎になります。そういう意味でひらがなは、とても大切な第一歩です。けれども、いまだ「書いて覚える」文化は根強くはびこっています。10回、20回、覚えられない子には30回、40回と、ひたすら書かせて覚えさせる場面はまだまだ多くあります。
実際、私も現場で、そうしてきた経験があります。でも、指導の中で、書く回数と、覚えるスピードは、必ずしも比例しないようにも感じていました。
①字がうまく書けない
②ひたすら書く、注意される→でもうまく書けない
③取り組みが嫌いになる
④うまく書けないので、さまざまな書く学習でつらくなる
⑤学習に苦手意識をもつ
⑥さらに注意される
ひらがなは、小学校に入ってすぐに学ぶもの。そして、今後ずっと使い続けるさまざまな文字の初期段階。
これが嫌いな取り組みになることで、子どもは別の場面でもつらくなってしまうのだとも教えてくれました。
字は一生付き合っていくもの。ひらがなの学習での「できた」が、カタカナや漢字を始めるときにも「やってみよう」という気持ちの基礎になります。そういう意味でひらがなは、とても大切な第一歩です。けれども、いまだ「書いて覚える」文化は根強くはびこっています。10回、20回、覚えられない子には30回、40回と、ひたすら書かせて覚えさせる場面はまだまだ多くあります。
実際、私も現場で、そうしてきた経験があります。でも、指導の中で、書く回数と、覚えるスピードは、必ずしも比例しないようにも感じていました。
保育園、幼稚園で
私は長年、幼稚園・保育園で年中児、年長児にひらがなを教える仕事をしていますが、直されたり注意されたりして、「よし頑張ろう」と奮い立つ子に出会ったことがありません。
また、
「まるで、虫眼鏡でチェックするかのような添削をする」
「消しゴムを使って、何度も書き直しをさせる」
「他の子と比較して評価する」
これらも同様に「文字嫌い」の子をつくってしまう要因となると感じていました。
「まるで、虫眼鏡でチェックするかのような添削をする」
「消しゴムを使って、何度も書き直しをさせる」
「他の子と比較して評価する」
これらも同様に「文字嫌い」の子をつくってしまう要因となると感じていました。
印象に残る教え方が必要
そこで、苦行にならない文字の教え方を考えてみました。
例えば…
例えば…
「5」の書き順の覚え方
小学生になっても、数字の「5」の上の部分の横棒を先に書いてしまう子がいます。筆順を「1番→2番…」と教えても、子どもにとっては単調でつまらない覚え方なので、すぐに忘れてしまい、また同じ間違いをします。
このようなときは「お出掛けゴーゴー(55)! 出掛けるときは最後に帽子をかぶるよね。ここ(5の横棒の部分)は“帽子”なの。だから、先に“体”を書いて、最後に帽子をかぶろうね」。
こう教えると、書き順を覚えられなかった生徒がすぐに正しい筆順をマスターしたのです。
こう教えると、書き順を覚えられなかった生徒がすぐに正しい筆順をマスターしたのです。
「も」の筆順
次に、ひらがなの「も」。これも筆順を間違えて覚えている子が多い文字です。カタカナの「モ」は横棒が先ですが、ひらがなは「し」のようなクルンとした部分を先に書き、次に横棒を2本書きます。
でも、筆順を「1番→2番→3番」と練習しても、子どもはすぐに忘れてしまいます。「尻もちドーン、でも、腕2本で何ふんばるよ!」と覚えると忘れないようです。
でも、筆順を「1番→2番→3番」と練習しても、子どもはすぐに忘れてしまいます。「尻もちドーン、でも、腕2本で何ふんばるよ!」と覚えると忘れないようです。
「よ」
小学校では、ひらがなの「よ」の結びの部分を「リボン結び」と教えることもあるようです。ですが昨今、子どもたちにとってリボンはどのくらい身近なものでしょうか。具体的な形が思い浮かぶ子は少ないようです。
あるとき、年中児17名に「これなにに見える?」と聞いてみました。すると「おたま!」と言う子が結構いました。そこで「最後は『おたま』を書いてね」と教えると、子どもたちは実にきれいにお玉を書くことができました。
あるとき、年中児17名に「これなにに見える?」と聞いてみました。すると「おたま!」と言う子が結構いました。そこで「最後は『おたま』を書いてね」と教えると、子どもたちは実にきれいにお玉を書くことができました。
「あ」
「ここ何に見える?」と子ども達に聞いたら、「魚」「タケノコ」などの答えの中で、圧倒的に多かったのが「マヨネーズ」でした。そこで。私は「ここはマヨネーズの形にしてね」と教えました。