発達障害によくある行動はなかったけれど。 昭和の時代に、わが子の発達障害に気づいた母に理由を聞いてみたら

2021/12/09 更新
発達障害によくある行動はなかったけれど。 昭和の時代に、わが子の発達障害に気づいた母に理由を聞いてみたらのタイトル画像

親子ともに発達障害がある私と息子のコウですが、幼少期から”発達障害あるある”な行動がよく見られたコウに対して、幼いころの私にはそのような行動は見られなかったそうです。

ところが、3歳児健診まで息子に発達障害があることに気がつかなかった私とは違い、母は私の幼少期にはすでに「娘には発達障害があるかもしれない」と感じていたそうです。

丸山さとこさんのアイコン
丸山さとこ
157027 View
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

子どもの”発達障害がある可能性”に気づいた、私の母のケース

幼いころの私に対して違和感を覚えていた母でした
Upload By 丸山さとこ
私には発達障害のある小6の息子がいます。また私自身、大人になってから(息子が生まれる前)自分に発達障害があることが分かりました。

息子のコウは、幼少期から「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの発達障害あるあるの行動がよく見られましたが、私は3歳児健診まで息子に発達障害があることに気がつきませんでした。一方で私の母は、私の幼少期に「娘には発達障害があるかもしれない」と感じていたそうです。今回は、私自身の幼少期と母が感じていたことについて書きたいと思います。

昭和の子育て知識の中でも、娘に「発達障害があるかもしれない」と感じていた母

私と発達障害の関係の始まりは、私が幼児だったころにさかのぼります。今よりもずっと発達障害に関する情報が少なかった昭和50年代でしたが、私の母は「娘は何かしら発達に障害を抱えているのではないか」と感じていたそうです。
幼いころの私について、母は「言葉の発達は早いものの言葉づかいが子どもらしくなかったり、力は強いのに歩く姿が不器用でよく転んだりしていたのが気になっていた」と言います。その母は、『さとこが少しでも歩きやすいように』と”少しでも軽い靴を探す”などの工夫をしていたそうです。
私が幼かったころの様子を話してくれた母
Upload By 丸山さとこ

コミュニケーションの遅れは感じなかったものの、違和感は増していき…

幼いころの私に対して、コミュニケーションの遅れは特に感じたことがなかったそうです。しかし「とにかく子どもらしくないような違和感があった」「甘えない・後追いをしない・大喜びをしない・おままごとをしない、などの行動に引っかかりを感じていた」と母は振り返って言います。

幼いころのコウのように「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの、分かりやすい発達障害がある傾向は見られなくとも、母は私の”日常の中のささいな姿”に対して違和感を覚えることが増えていったそうです。
健診にて医師に相談したものの、心配性な母親としてアドバイスを受けてモヤモヤする母
Upload By 丸山さとこ
健診で総合病院に行った際など、母は何度か娘の発達に関する違和感について医師に相談してみたそうです。しかし「知的にも順調に発達しているし動作にも問題は見られない」と言われ、”不安症な母親への軽い子育てアドバイス”をもらってその場は終わったそうです。

なぜ母は、「娘の発達への違和感」を抱いたのか?

私はその後、成人してから発達障害(ASD・ADHD)の診断を受け、現在ではADHD治療薬を服用しています。今になって振り返れば、幼い私に対して母が抱いていた違和感は正しかったわけです。
幼い私に母が抱いていた違和感は、今となれば正しかったわけです
Upload By 丸山さとこ
保育園に入園してからの私は、”指示の通らなさ”や”こだわりと見られる行動”によって集団の中でも目立っていたそうです。現在の基準であれば「発達障害がある可能性」を指摘されたかもしれません。

ですが、母が違和感を抱き始めたのは私が未就園児のころであり、集団の中での違和感が目立つよりも、もっと早い段階の話だったのです。

『なぜ違和感に気づくことができたのだろうか?』と先日改めて母に聞いたところ、意外な…けれど、とても腑に落ちる答えが返ってきました。

”自分の子ども”以外の子どもと接することで、分かることもある!?

母が自然に獲得していた”一般的な子ども像”のイメージ!

現在60代の母が若かったころは今より子どもの数が多く、近所や親戚の子どもを預かったり見かけたりすることもかなり多かったそうです。

公園や広場や園で見かける姿とも少し違う、子どもたちの”家庭での素の姿”を目にする機会も多かったため、経験から漠然と『個性はいろいろあるけれど、子どもには大抵こういうところがある』という”一般的な子ども像”を持つに至っていたのだと思う…と母は言いました。
近所や親戚の子どもを見る機会が多かったから「娘への違和感」に気づきやすかったのだと思う…と母
Upload By 丸山さとこ
「だから、さとこを育てていて『子どもなら多かれ少なかれするはずの行動をとらない』ことが引っかかったんだと思う」

「発達障害の知識はなかったけれど、とにかく子どもらしくなくて妙だな~…と感じていたよ」


…と続く母の話を意外に思いつつ、同時に「あ~、でも、ちょっと分かるかも! そういえばそういうことあったな!!」と思い、私はヒザを打ちました。コウが小学生になったころ、未就園児だった親戚の子を預かったことがあります。そのときに「これが定型発達とされる子どもか~!」と発達の違いに驚いた経験があったからです。

子どもの特性には、通り過ぎてから気づくことも…?

私も、大人になってからコウ以外の子どもに関わった経験がなかったわけではありません。親戚の子どものお守りをしたことや、友人の子どもと遊んだ経験はありましたし、コウが産まれてからは公園でほかの子どもの様子を見ることもありました。

けれども、当時の私はコウとほかの子どもを比べたり周りを見たりする発想が(今以上に)乏しかった気がします。私自身に発達障害があるから…ということも理由かもしれませんが、単純に、初めての子育てで周りを見たり比べたりする余裕がなかったからなのかもしれません。
ほかの子どもの姿を見てこそ、息子の姿もクッキリ見えてくるのだろうなー…と思います
Upload By 丸山さとこ
そんな私であっても、3歳児健診のおかげでコウが発達障害である可能性に気づくことができたので、「今の時代でよかったな~」と思います。

周囲と比べて焦らなくてもよいと考えてはいますが、その時々のコウの発達状況における"必要な手立て"が見つけられるように「『周りの様子』と『コウの現在位置』を見ることは大切なんだな~!」と思う私でした。

執筆/丸山さとこ
(監修:井上先生より)
幼児期は女の子の場合、男の子よりコミュニケーションの発達が早い傾向があるため、発達障害の特性は目立たないケースが多く、今のお医者さんでも女の子の発達障害を早期に診断するのは難しいものです。お母さんがこの当時、さとこさんの発達の偏りに気づいていたということは、周りの人と比較するだけでなく、さとこさん自身を本当によく観察されていたのだと思います。同じ母という立場で、自分の母親と子育ての話をする中で、これからもプラスのヒントが見つかるといいですね。3世代のよい親子関係性が築けているのがすてきだと思いました。
「うちの子、もしかして発達障害?」健診や幼稚園プレ、小学校でのトラブルで、癇癪やクレーンが気になってなど、体験談コラムまとめのタイトル画像

関連記事

「うちの子、もしかして発達障害?」健診や幼稚園プレ、小学校でのトラブルで、癇癪やクレーンが気になってなど、体験談コラムまとめ

並べる、オウム返し、パニックも「性格」だと思っていた――母も当事者ゆえ気づけなかった息子の発達障害のタイトル画像

関連記事

並べる、オウム返し、パニックも「性格」だと思っていた――母も当事者ゆえ気づけなかった息子の発達障害

発達障害かもと思ったら読んでほしい、分類や原因や相談先、発達障害の診断について。図解つきで分かりやすく説明!のタイトル画像

関連記事

発達障害かもと思ったら読んでほしい、分類や原因や相談先、発達障害の診断について。図解つきで分かりやすく説明!

発達ナビPLUSバナー
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。

この記事に関するキーワード

あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

この記事を書いた人

丸山さとこ さんが書いた記事

「あれどこだっけ?」が激減!「お片づけ収納ラック」でADHD親子の在宅ワークも宿題問題もまとめて解決!【発達ナビ×フェリシモ】のタイトル画像

「あれどこだっけ?」が激減!「お片づけ収納ラック」でADHD親子の在宅ワークも宿題問題もまとめて解決!【発達ナビ×フェリシモ】

発達ナビ×フェリシモコラボの、発達が気になるお子さんや保護者さまが便利に快適に過ごせるためのグッズづくり。『ひとまとめで持ち運び!整理らく...
身のまわりのこと
2824 view
2022/01/27 更新
ASD息子も春から中学生!スクールカウンセラーとの面談で「壁にぶつかる可能性が高い」と厳しい予想も。本人と親、それぞれができることを探してのタイトル画像

ASD息子も春から中学生!スクールカウンセラーとの面談で「壁にぶつかる可能性が高い」と厳しい予想も。本人と親、それぞれができることを探して

ついこの間小学校に入学したような気がするのに、気がつけば春には中学生になるコウです。スクールカウンセリングでも、中学校入学後の生活について...
進学・学校生活
2572 view
2022/01/22 更新
ASD小6コウの修学旅行「迷子になる?持ち物は探せる?」母の立てた渾身の対策とはのタイトル画像

ASD小6コウの修学旅行「迷子になる?持ち物は探せる?」母の立てた渾身の対策とは

ASDとADHDのある息子コウ。「行けたらいいなぁ」と楽しみにしていた修学旅行が近づいてきたある日のことです。「学校で配られたよ!」とコウ...
進学・学校生活
9024 view
2022/01/06 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。