足して2で割りたい…!?ASDの凸凹兄妹、特性炸裂なお料理事情とは
2022/01/12 更新
うちの凸凹兄妹は21歳と14歳。ADHDのあるお父さんの分も含めて、毎日私が4人分の食事をつくっています。しかし今後の生活を考えると、ぜひとも子どもたちには自立した食生活を送れるようになってほしい、お料理をつくれるようにもなってほしいと思うのですが…。
寺島ヒロ
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監修: 三木崇弘
社会医療法人恵風会 高岡病院 児童精神科医
兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程修了。
愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。
2019年4月よりフリーランスとしてクリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所などでの現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動を行う。2022年7月より社会医療法人恵風会 高岡病院で児童精神科医として勤務。
お兄ちゃんの料理は科学実験気分?
ちょっと意外なのですが、タケルは料理が得意で、人が料理をつくっている動画などもよく見ています。幼いころは、おばあちゃんに教えてもらってパンやお菓子をつくっていたことも。粉ものや液体を測って化学反応させるのが面白かったらしく、今でも料理をする様子はどこか理科実験ぽいです。
料理をすること自体には問題がないタケル。でも、例えば自分で「お昼に食べよう」と考えて、ごはんをつくることはできません。私が、タケルのご飯の用意を忘れて出かけていたりすると、帰ってくるまで何も食べずに待っています。
材料を並べて「カレーつくってくれる?」といえばつくってくれるのですが、キッチンのあちこちに散在する材料から、食べたいものを選んで、その材料にふさわしい調理をして、美味しく食べられるようにするということは、『隠れている工程が多すぎて、とてもムリ!』と感じるようです。
また、普段は朝と夜は私が先んじて料理をしてしまうこともあり、タケルが料理をするチャンスは昼ぐらい。それも少しもたつくと「もう行かなきゃいけないから、ラーメンでいいよ!」となってしまい、なかなか掘り下げられません。
子どもは料理をしないもの?いっちゃんのこだわり
一方、妹いっちゃんは、なかなか料理に興味を持つことがなく、10歳ぐらいまでナイフを持つこともありませんでした。
手先の動きが今ひとつ器用ではないということもあり、私も積極的に食材を切ったり、お皿を運んだりということはやらせていなかったので、いつしか「子どもは料理をしないもの」と思いこんでしまったようです。頼めばお箸ぐらいは取ってきてくれるのですが、それ以上の台所働きをすることはありませんでした。
手先の動きが今ひとつ器用ではないということもあり、私も積極的に食材を切ったり、お皿を運んだりということはやらせていなかったので、いつしか「子どもは料理をしないもの」と思いこんでしまったようです。頼めばお箸ぐらいは取ってきてくれるのですが、それ以上の台所働きをすることはありませんでした。
変化があったのは、小学校の高学年になってから。
学校の調理実習で「包丁がかり」をやったことをきっかけに「子どもでも料理していいんだ!お兄ちゃんは変わり者だと思ってた!」と意識改革があったらしく、それからはちょいちょい、料理をしていると寄ってきて「やらせてー」と言うようになりました。
学校の調理実習で「包丁がかり」をやったことをきっかけに「子どもでも料理していいんだ!お兄ちゃんは変わり者だと思ってた!」と意識改革があったらしく、それからはちょいちょい、料理をしていると寄ってきて「やらせてー」と言うようになりました。
中学生になってからはさらに進化し、たまにですが「ママさん忙しい?何かつくってあげようか?」と言って、つくってくれるようにもなりました!
めでたしめでたし…かと思いきや…
材料を見て料理を思い浮かべられる妹と、何をつくるか決めてもらえば料理は正確につくれる息子。その力、足して2で割れないかなあ…と思う母です。。
執筆/寺島ヒロ
執筆/寺島ヒロ
(監修:三木先生より)
必要な能力を兄妹で分けてしまった感じなんですね(笑)。それぞれ「段取りを網羅的に整理するための段取り構築」と、「思いついた作業を着実に遂行する練習」ができると良いのかもしれませんね。ぜひ次は「二人で協力してつくったら…」というエピソードを読んでみたいものです。
必要な能力を兄妹で分けてしまった感じなんですね(笑)。それぞれ「段取りを網羅的に整理するための段取り構築」と、「思いついた作業を着実に遂行する練習」ができると良いのかもしれませんね。ぜひ次は「二人で協力してつくったら…」というエピソードを読んでみたいものです。

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