「融通がきかない!」小6ASD息子が自己分析!? 頑なモードから、自己都合な抜け道探しに変化。その理由は同じだった!?

ライター:丸山さとこ
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一度”頑なモード”のスイッチが入ってしまうと融通がきかなくなり困ることの多いコウですが、成長に伴い少しずつ「他人からの提案」や「予定の変更」を受け入れられるようになってきました。

そんなうれしい成長の反面、”抜け道”を探すことも増えてきたコウとの暮らしを振り返りつつ、これからの課題や方向性について改めて考えました。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

突然スイッチが入る「頑なモード」…譲れないコウとの押し問答!

調理実習の宿題中に、小さなミスから押し問答が発生!
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「調理途中の食材」と「食材の残り」は別物!?

先日、コウが調理実習の宿題をしていたときのことです。「教科書の手順を見ながら料理をつくり、その過程をタブレット端末で撮影し提出する」という宿題なのに、材料の段階で撮るのを忘れていたコウは「もう切っちゃった…」と大慌て!

パニックになりかけている彼に「材料の残りを撮れば大丈夫だよ」と言うと、コウは「それは今つくっている料理の材料じゃない」と頑なに拒みました。
あまった材料を撮ればいいと言っても「それは今作りかけの料理で使っているものじゃない」と納得しないコウ
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「じゃぁもう一度つくり直す?」と聞くと「ここまで作ったのに!」とは言うものの、”宿題として今つくっている料理”と、”調理された食材の調理前の写真”にこだわるコウ。

しばらく押し問答したのちに、しぶしぶ納得してくれたコウは、その後調理が進むにつれて落ち着いていき、無事に宿題のレポートも提出することができました。

コウがときどき見せる”融通のきかなさ”

調理前の食材を撮るという課題に対して「今使っている食材」と「袋にまだ残っている食材」を”同じ物”と認識しないコウを見て、『今でもこういうことってあるんだな~!』と少し驚きました。

「食材の状態で写真を撮ったあとで、それを調理するという段取りだったはずだ」「もう切ってしまった食材の”調理前”の状態を撮ることはできないのだ」というコウの認識そのものは正しいだろうと思います。

ですが、次善の策として”残っていた食材を撮る”という選択をできないほど強固に「この食材(調理済)と、あの食材(袋に残った物)は別の物」と考えるのは、小学6年生の子どもとしては融通のきかない認識の仕方だな…と感じます。
「融通がきかないコウと」「抜け道を探すコウ」の両方に困っている私です
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そのような融通のきかなさは、小学1年生のころまで多く見られましたが、今では大分減ってきました。そのことにより本人も周りも楽になった反面、”抜け道を探して解決しようとする行動”が増えたことで、新たに増えてきたトラブルもあります。

「どっちの僕も『人の話』を聞いてないね」

かつてはルールに厳密過ぎて困ったときもあったのに、今度は「勝手なルール変更」で手を焼くことになるとは!…と思うと頭を抱えたくなりますが、それもまた成長の過程の一つなのだろうなと思います。

上に載せた”融通がきかないコウ・抜け道を探すコウ”を対比したイラストを見たコウは、「これ、どっちの僕も『人の話』を聞いてないね」と言いました。
抜け道を探すときも融通がきかないときも「人の話を聞いていないね」と気付いたコウ
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私も、その通りだと思います。融通がきかないほうのコウは、一見すると”自分の外にある条件”に合わせて行動しているように見えます。ですが、”自分が取り込んだ条件”に従って行動している状態のため、外から条件を変えようと働きかけても中々通りません。

そのことに気づいたコウは、以前より自分を客観視するようになったのだなと思います。

改めて”コミュニケーションは大切”なのだなと思いました

”融通がきくかどうか”について「変更を受け入れて柔軟に対応することができるかどうか」という点から振り返ってみると、コウは少しずつ確実にその力をつけているのではないかと思います。
コウの成長を感じる私と夫
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「融通がきかない状態」から「融通はきくが、自分に都合のよい解釈や思い込みが多い状態」を経て、「人の話(都合・考え・気持ちなど)を聞き、自分の話を伝えることができる状態」「お互いに納得できる点を探したり交渉したりできる状態」になっていけたらいいなと思います。

『人を認識して、人と社会と自分との間で情報交換をして意思の疎通をはかることは大切なことなのだな…』と、コミュニケーションの意義の深さを改めて考えた調理実習の一コマでした。

執筆/丸山さとこ
(監修:初川先生より)
融通の利かない自分、抜け道を探す自分の絵を見て、客観的に「どっちも人の話を聞いてないね」と言えるコウくん、素晴らしいですね。まさに成長してきているのだなと感じます。

調理実習時のエピソードは、たしかに久しぶりの“融通の利かない”エピソードなのだと思いましたが、それほどに調理実習への真摯な思いもあったのかなと感じました。幼いころに融通が利かなかったのは、発達段階的にその域で留まっているという面もあると思いますが、一つひとつの出来事への並々ならぬわくわく感や緊張などもあったのではないでしょうか。成長するにつれ、初めてのことであっても、だいたいこんな風な展開になるだろうとざっくりとした予想ができたり、これまでの経験から、初めてあるいは経験の浅い事柄自体へのゆとりも持ちやすくなってきているのもありそうだなと感じました。

認知様式もコミュニケーションも、さまざまな段階を経て変化し続けるものであると思います。成長という大きな方向性もある一方で、経験によって向きが変わることもあるかもしれません。ともあれ、その段階がゴールなのではなく、変化し続けると周りの大人が思えることも、お子さんにとってはおおらかな眼差しで包まれることとなり、きっと成長の一助となるでしょう。
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