アニエスベーのギャラリーで開催中の作品展「BRUT」。アニエスベーと障害のある日本人アーティストとの作品の出合い、世に出ていないアーティストを応援する想いとは

ライター:発達ナビ編集部
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「アール・ブリュット」とは、アートの専門教育を受けていない人がつくり出すアートのこと。街の壁にペイントされた絵や、子どもや障害のある人の作品も「アール・ブリュット」です。東京・表参道にあるアニエスベー ギャラリー ブティックで開催中の展覧会「BRUT(ブリュット)展」には、日本在住の13組の発達障害や知的障害のある人たちによるアート作品が並びます。フランスのアパレルブランド「アニエスベー」がなぜ日本人アーティストの作品展を展示するのか。LITALICO発達ナビ編集長・牟田暁子が取材しました。

「アール・ブリュット」とは、専門教育を受けていない人がつくり出すアート

アニエスベーといえば、ボーダーのTシャツにスナップボタンが特徴的な「カーディガンプレッション」といった、フランスらしいタイムレスなスタイルを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。流行に左右されないオーソドックスなデザインだからこそ、その人らしさを引き出す服というイメージがあります。

そのアニエスベーの青山のショップには、ギャラリーが併設されています。ここで2022年4月17日まで開催されているのが、BRUT展。アール・ブリュットの展覧会です。
青山にあるアニエスベー ギャラリー ブティックのエントランス
青山にあるアニエスベー ギャラリー ブティックのエントランス
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アール・ブリュットというと、日本では障害のあるアーティストがつくり出す作品というイメージがあるかもしれませんが、障害がある人によるもののみを指すのではありません。アートの専門教育を受けていない人が、独自の表現で生み出したアート、「アウトサイダーアート」のことを意味します。

アニエスベーでは次のように定義しています。
アール・ブリュットとは、1940年代にフランスの画家 ジャン・デュビュッフェが考案した既存美術や文化潮流と異なるコンテクストによって制作された芸術作品の総称で、一般的にアウトサイダーアートとも称される。 "ART=芸術""BRUT=生の"を組み合わせた言葉で、自身から湧き上がる衝動をそのままに、教育や社会的,文化的な通念から自由な思考で表現した芸術と定義されている。
出典:アニエスベー ニュースリリース

今回のBRUT展で作品が展示されるのは、13組の日本人アーティスト。ドローイングありペインティングあり、立体作品あり、個性は色とりどりです。パリが本拠地であるアニエスベーのギャラリーで、日本人のアール・ブリュットのアーティストの作品展が開催されるに至ったのは、ブランドの創始者でありデザイナーであるアニエス本人と作品との出合いがあったからでした。

南仏ブルターニュのギャラリーで出合った日本人アーティストの作品から始まる

今回のBRUT展に参加しているアーティストの一人が菅原康匡(すがわらやすまさ)さん。彼は、東京にある福祉サービス事業所「やすらぎの杜」でパン職人として働いています。
菅原康匡さんの作品
菅原康匡さんの作品
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アニエスの娘が、ブルターニュのギャラリー・プレインジュール(Gallery Plein-Jour)で菅原さんの作品と出合いました。ギャラリー・プレインジュールで開催されていたのは、ギャラリーのキュレーションによる展示「Art Brut Japoinais(日本のアール・ブリュット)」。そこで購入した1枚の絵を、彼女にプレゼントしたのです。

娘から贈られた菅原さんの作品をアニエスはとても気に入りました。その後、彼の作品のオリジナルプリントのTシャツも販売しました。それと同時に「いつか日本で、日本のアール・ブリュットの作品展を開催したい」という思いを抱き企画が動き始めたのだそうです。それから2年、コロナ禍の状況もあり、ようやくこの春、開催にこぎつけたのでした。

世に知られていない、若手アーティストを応援したいという思い

これまでも、アニエスベーはアート展の開催や、サポートなどを行ってきました。でも、アール・ブリュットの展覧会を独自で開催するのは初の試みです。

アニエスベーがアート作品を購入したり、アーティストを応援したりするのは、投資のためではありません。応援してきた人たちの中から、有名になった人たちもいますが、有名になりそうだから応援している、ということではないのです。彼女のアートへの思いの根底には「若い人たちを応援したい」という気持ちが常にあります。

「若い」というキーワードから、グラフィティ・アートやストリートアートが関連していきますが、そのひとつが「アール・ブリュット」だったのです。今回の展示も、障害がある人による作品だから、アール・ブリュットだからという視点で開催を企画したわけではないといいます。「アニエス自身が出会って好きになった」という、感情の動きが大事なのだと言います。
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