7つの問いかけで、自信を失った子どもが「考え方のくせ」から脱せる?自分で自分を応援するリフレーミングのコツ

2022/04/19 更新

感受性の強い思春期の子どもは、親のほめ言葉なども素直に受け取れない上に、体の急激な変化への戸惑い、進路や人間関係での悩み、自己否定や劣等感などに直面し、心身共に不安定になりやすい時期にあります。加えて現在は、否定的な言葉や不安感を強めるネガティブな情報が目に入りやすい状況でもあります。この自信を失いがちな多感な時期を乗り越えるために、私は「7つの問いかけ」で、子ども自身が自分で自分を応援するリフレーミングの視点をお伝えしたいと思います。

楽々かあさん
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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

自信をなくしがちな時期を乗り越えるには……?

こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。
今回のコラムは、思春期の子どもを始めとして、落ち込んでいるときに自分で自分を応援する、リフレーミングの視点をお伝えしたいと思います。

子育ての上では「ほめることが大事」「子どもの自己肯定感を高めましょう」とよく言われますが、だんだんと成長に伴って周りが見えてきたり、大人や社会に対しての批判や疑問を感じる目が育ってくると、親のほめ言葉を素直に受け取れないことも多くなるでしょう。
また思春期は、体の急激な成長に伴ってホルモンバランスが崩れたり、成績や進学・就職、恋愛や複雑な友達関係などで思い悩んだり、自分に否定的になったり、周りと比べて劣等感を感じたり…など、成長の上での課題に直面し、身体的・精神的に不安定になりやすい時期でもあります。

加えて現在は、新型コロナウイルスや刻々と変化する世界情勢などで先行きが不透明な中、客観的に物事を見て視野を広げる経験が減ったり、ネットなどで少数の極端で否定的な言葉や、不安感を強めるネガティブな情報が、簡単に目に入りやすい状況でもあるでしょう(こんな中では、大人ですら、自信や意欲をなくしやすいのではないでしょうか)。

では、この自信を失いがちな多感な時期をなんとかやり過ごし、乗り越えるにはどうしたらいいでしょう。
私は、それまでの子育てで、我が子の少しでもできてるところをほめ、一見できて当たり前のような頑張りを認め、失敗しても挑戦した意欲や努力の過程に注目し、短所や欠点は長所やいいところに変換し、自信につながるように意識して接してきました。

ですから、子どもが大きくなってきた今度は、親がいてもいなくても、誰がほめてもほめなくても、同様に、「子ども自身が自分でリフレーミングし、自分を応援できたらいいのではないか」と考え、我が子が周りと自分を比較し始めたころより、以下のセルフ・チェックシートを自作し、いつも見えるところに貼っていました。
筆者作成「自分おうえんcheckシート」の画像
筆者作成「自分おうえんcheckシート」
Upload By 楽々かあさん
実は、この自分への7つの問いかけは、私自身もつい、いろいろと気になってしまうほうなので、いつも頭の中で繰り返し、習慣のようにしていることでもあります。
では、うちの子どもたちと同世代のお子さんに向けたメッセージとして、それぞれ詳しくお伝えしますね(大人の方にも、ご参考まで)。

落ち込んだときに、自分で自分を応援する7つの問いかけ

誰だって、落ち込んでいるときには、どうしてもネガティブな情報ばかりが目についてしまうもの。そんなときは、意識して自分自身の「いい情報」に目を向けるクセをつけるといいでしょう。
たとえ誰もほめてくれない時でも、以下の「自分への7つの問いかけ」などで、自分で自分のできてること、頑張っていること、いいところに気づいて、ちゃんと認めて、自分を応援してあげてくださいね。

Q1:本当にそれは”できて当たり前”?

誰にでも、得意なことと苦手なことがあります。
周りの人みんながいとも簡単にできているように思えることでも、それがとても苦手なことである人にとっては、ただ「みんなと同じように」「人並み程度に」するだけでも、密かにものすごく努力することが必要な場合だってあるでしょう。
もしかしたら、「〇才なら、これくらい"できて当たり前"」とか、「なんでこんなこともできないんだ」なんて言葉に傷ついたり、そんな風に自分で自分を責めている人もいるかもしれませんね。

でも、苦手なことはうまくできないほうが当たり前なんです。
そして、あなたがそれを人一倍努力しながらやっていることは、たとえ誰も気づいてくれなくても、あなた自身が一番よく知っているハズです。
こんなときは、ギリギリ最低限ラインでもいいから、自分なりに努力できたのなら、自分に「よく頑張ったね」と、心の中で拍手してあげませんか。

Q2:本当にそれは”全部”失敗?

定期テストや部活動などで、自分では頑張ったつもりなのに、結果につながらなくて失敗すれば、落ち込んでしまうのは当然です。
でも、全てを「0か、100か」で判断せずに、「本当にそれは”全部”失敗だったのか」を、よーく思い出して、物事をトータルで客観的に見直してみると、どうでしょうか?
例えば、「最後の最後でうまくいかなかったけれど、途中まではできていたこと」や、「間違いではあったけれども、ここまではできている、わかっていること」や、「全体的には残念だったけれども、ここだけはうまくいっている部分」、そして「結果につながらなくても、努力の過程で得られたこと」だって、結構見つけられるのではないでしょうか。

自分で「できた」のハードルを下げてあげると、その失敗は本当の失敗ではなくなるかもしれませんし、あなたにしか気づけない、次の挑戦へのヒントや発見だって見つけられるのではないでしょうか。

Q3:本当にそれは”短所・欠点”?

自分の個性や、周りとの違いについて、思い悩むこともあるでしょう。
「もうちょっと、自分も〜だったら良かったのに」とか、「〇〇さんみたいにできたら、毎日楽しいだろうなあ」とか、「なんで自分は、みんなと違うんだろう」とか……(私もそう思っていましたよ)。
でも、一見その人の"短所や欠点"に思えることも、"長所やいいところ"とセットになっていることは、本当に多いんですよ。

例えば、
「空気が読めない」→「自己主張できる」
「落ち着きがない」→「行動力がある」
「飽きっぽい」→「切り替えが早い」

……というように、逆に言うことだってできるんです。もしかしたら、自分では気になる短所や欠点も、どこかの誰かの目からは、あなたの長所や魅力として映っているかもしれませんね。
そして、世界中を探しても、短所だけの人、長所だけの人も、きっと一人もいないでしょう。
完璧な人はいません。ちょっとくらい、凸凹しているほうが、人間らしくて、いいじゃないですか。

Q4:本当にそれは”フツーのこと”?

毎日のルーティンとして、フツーに、何気なく続けていることって、結構ありますよね。
例えば、「身支度をして学校に行く」とか、「宿題をこなす」とか……。
小さなころは、ただ着替えただけでも「すごいね!」とか、宿題をやっただけでも「えらいね」なんて、親や先生にほめられたかもしれません。
でも、いつの間にか、それが”フツーのこと”で、やって当たり前になっているので、それができたからと言って、もう誰もほめてはくれないけれども、そこに、あなたの小さな頑張りの積み重ねがあることは、今でも変わりありません。

たとえ、些細な習慣や、誰もが毎日当たり前にこなしていることでも、続けることって本当は簡単じゃないですよね。
その、見過ごされがちな”フツー”の小さな頑張りに、誰も気づいてくれないのならば、自分で気づいて「今日もオレ、よくやった」「毎日よく頑張ってるね、私」って、ちゃんと自分をほめてあげませんか。

Q5:本当にそれは”できないこと”?

周りと比べて、"できない"と感じることが多かったり、クラスのみんなができることができなかったりすると、自分だけ置いていかれるような焦りを感じるかもしれませんね。
特に思春期では、ほんの数ヶ月で身長が10センチ以上も伸びる子がいるように、誰もが心身の成長が著しい時期にありますし、学校ではテストの順位や偏差値などが数値化されてもいて、能力の優劣を比較しやすい環境でもあるでしょう。

でも、例えば、身体測定の時の身長・体重の成長曲線が「平均」や「標準」の範囲に収まる人ばかりではないように、人の成長の仕方も、そのスピードも、物事が身につくタイミングも人それぞれです。
そして、1人の人の中にも、成長が早い部分もあれば、ゆっくりな部分もあるので、むしろ、なんでもまんべんなく、平均的に成長する子のほうが本当は珍しいのかもしれません。

でも、1年前の自分はどうでしたか?
更に、5年前の自分はどうだったでしょうか?


たとえ、人よりゆっくりでも、自分なりにちゃんと成長し、進歩している部分を、たくさん見つけられるハズです。
「十人十色」「大器晩成」といった言葉もあります。比較は自分自身とすればいいんです。

Q6:本当にそれは”みんな”?

人の心が成長していく上で、親以外の誰かに認められる経験は、大切な栄養になります。
例えば、SNSや動画投稿サイトなどで、多くの人に今の自分を見てもらえたり、自分の意見に共感が集まったりすると、嬉しいですよね。
ただ、あなたに対する100の反応のうち、99の肯定的・好意的な声よりも、たった1つの否定的な声のほうが気になって、”みんな”に否定された気がして、自信や意欲をなくすことだって、あるかもしれません(私もよくあります)。

あるいは、直接またはメッセージアプリのやりとりなどで、誰かに言われた言葉で傷つくこともあるでしょう。
特に、自分の心の中で大きな位置を占めている相手や、「この人は自分のことを分かってくれている」と信じていた相手からだと、世の中の全ての人に否定されたような気持ちになることもあるでしょう。

でもそれは、あくまでその「◯◯さん」個人の考えで、"みんな"ではないし、ただ「自分とは違う」というだけなのかもしれません
そして、世の中には、自分と全く同じ考えを持ち、同じものが好きで、同じように行動する人は、一人としていません。少し寂しく感じるかもしれませんが、最初から「違う」のが当たり前なのです。

そんな時は、自分に否定的な相手も「〇〇さん」という1人の人として見て、「まあ、そう考える人もいるよね」と思いながら、あなたを応援してくれる人や、いい情報のほうに意識的に向き直ってみるといいでしょう(それでもうまく気持ちを切り替えられない場合は、一旦SNSやメッセージアプリから離れるのも1つの工夫です)。

Q7:本当にそれは”ムリ・ムダ”?

誰だって、一生懸命頑張ってみたのに、結果的に失敗したり、裏目に出たり、つまづく経験ばかりが続いていたら、心が折れそうになるでしょう。
中には、なにかをやってみる前に、「どうせ、やってもムダだ」「自分にはムリだ」と諦めてしまうほど、今まで失敗や挫折の体験が多かった人もいるでしょう(今頑張れない状態の人は、まずは無理せずよく休んで下さいね)。

でも、「失敗が多い」ということは、「挑戦したことが多い」証拠でもあります。
何もしなければ、失敗もしません(うちの長男・談)。

つまり、今までたくさん失敗してきた人は、 それだけ、未経験の新しいことや、今の自分にとって少し難しいことに果敢に挑んできたから、なのではないでしょうか。
「失敗の数」=「挑戦した数」です。これって、すごいことだと思いませんか?

たとえ結果が失敗でも、「やってみた」「挑戦してみた」だけでも、価値があることって、たくさんあると思いますよ。
そして、それは全て、その人の成長のための経験値になっているハズです。
もし、あなたが何かに挑戦して失敗したのなら、ぜひ、自分の勇気に自分で「いいね!」してあげませんか。

自分自身を最大の味方に……

おそらく多くの人は、長所よりも短所、できたことより失敗したこと、自分に肯定的な意見より否定的な意見……などのほうが気になったり、自分の毎日の何気ない頑張りに気づかないこともあるのではないでしょうか。
それが、感受性が強い時期にある子なら、尚更のように思います。

また、社会的に不安要素が多い中では、不安や不満からストレスが溜まりやすく、他人の欠点や言葉のあら探しをしたり、若い人や意欲や才能のある人の芽を摘むようなネガティブな情報が広まりやすいのではないでしょうか。

こんな時は、物事を両面・多角的に観た上で、「いい情報」のほうに意識的にフォーカスするクセをつけるくらいで、現実的かつ、ちょうどいいバランスが取れるのではないかと思います。
たとえ世の中がどう変わっても、誰がほめても、ほめなくても、自分が自分の最大の味方であってほしい…と、私は我が子と同世代の子どもたちに願っています。
文:大場美鈴(楽々かあさん)

(監修者・井上先生より)

自分自身の考え方のくせを見直すことはとても大事なことです。
セルフチェックから一歩すすめ、あげてある内容を自分の言葉(自分にとってすっきり入ってくるキーワード)に直して何度か呟いてみる、いったくせをつけると、ネガティブな認知のくせというものが少しずつ変わってくるのではないでしょうか。
このように、認知のコントロールができるようになってくると、感情のコントロールも少しずつできるようになってくると思います。

このコラムを書いた人の著書

発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換
大場美鈴 (著)
あさ出版
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