自閉症息子、幼児期の激しい自傷行動。「止めさせたいけど、どうやって?」悩む私が驚いた息子のある行動
ライター:みん
こちらでは、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの自傷行動の体験談を専門家の解説と共にご紹介します。
自閉スペクトラム症のある6歳のPは、自分の要求が通らないときや叱られたときなどに
自傷行動が見られた時期がありました。
床や壁に自分の頭や腕を打ちつけたり、自分の腕を自分で噛んだりするような激しい自傷が見られることもあり、その度にどうすれば自傷を止めることができるだろう?と私は悩んでいました。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)のある幼児の自傷行動とは
自分で自分を傷つける「自傷行動(自傷行為)」には、さまざまなケースや要因がありますが、知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)の子どもの自傷行動は、その障害の特徴や周りの状況などと関連して起こることが多いとされています。
特によく見られるのは、下記のような行動です。
・頭を床や壁にぶつける
・頭や顔を手でたたく、ひっかく
・自分の手をかむ
・髪の毛やまゆ毛を抜く
・体をかきむしる など
また自傷行動とまではいかなくても、「自分の爪をかんで食べる」といったこともあります。
子どもの自傷行動を保護者が一人で解決することは、簡単ではありません。また自傷行動の理由、予測、予防方法を考えることには、専門性が求められる場合があります。
もし、子どもの自傷行動について悩まれていたら、一人で抱えこまず、専門家に相談し、その行動をなぜ行っているか調べるための機能的アセスメントを依頼するなど子どもと保護者が安心できる体制を作ることが大切です。
特によく見られるのは、下記のような行動です。
・頭を床や壁にぶつける
・頭や顔を手でたたく、ひっかく
・自分の手をかむ
・髪の毛やまゆ毛を抜く
・体をかきむしる など
また自傷行動とまではいかなくても、「自分の爪をかんで食べる」といったこともあります。
子どもの自傷行動を保護者が一人で解決することは、簡単ではありません。また自傷行動の理由、予測、予防方法を考えることには、専門性が求められる場合があります。
もし、子どもの自傷行動について悩まれていたら、一人で抱えこまず、専門家に相談し、その行動をなぜ行っているか調べるための機能的アセスメントを依頼するなど子どもと保護者が安心できる体制を作ることが大切です。
子どもの自傷行動についての対策、相談先などは以下の記事をご覧ください。
障害のある人の自傷行動の原因、対処法、自傷行動がみられたときの相談先まとめ【専門家監修】
以下では、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの自傷行動と、それがおさまっていった経緯が詳しく書かれた体験談をご紹介します。専門家のコメントと共にご覧ください。
※自閉症…以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。以下の本コラムでは当時の診断名のまま掲載しております。
※知的障害…現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。
※自閉症…以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。以下の本コラムでは当時の診断名のまま掲載しております。
※知的障害…現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。
自閉スペクトラム症がある息子の自傷行動
自閉スペクトラム症のある6歳のPは、自分の要求が通らないときや叱られたときなどに 自傷行動が見られた時期がありました。
振り返ってみると、Pがまだ自分の気持ちを思うように相手に伝えられなかったときに、自傷行動は多く見られたように思います。自分の中のもどかしさやイライラを物や人にぶつけられないときは、自分自身にぶつけてしまっているような様子でした。
またPは感覚が鈍麻なところもあったので、怒りで興奮したときなどには痛みでも何でも良いから興奮を抑えるための刺激を求めたかった?のかもしれません。だからどうしても抑えられないパニックや癇癪の状態になったときは、自分を制御することができず、衝動的に自傷という行動をとっていたような気がします。
そして自傷行為をすることにより、親の私がそれを止めに入り結果的に自分の要求を叶えてくれる可能性が高くなるという誤学習による悪循環もあったのかも…と感じることもありました。
振り返ってみると、Pがまだ自分の気持ちを思うように相手に伝えられなかったときに、自傷行動は多く見られたように思います。自分の中のもどかしさやイライラを物や人にぶつけられないときは、自分自身にぶつけてしまっているような様子でした。
またPは感覚が鈍麻なところもあったので、怒りで興奮したときなどには痛みでも何でも良いから興奮を抑えるための刺激を求めたかった?のかもしれません。だからどうしても抑えられないパニックや癇癪の状態になったときは、自分を制御することができず、衝動的に自傷という行動をとっていたような気がします。
そして自傷行為をすることにより、親の私がそれを止めに入り結果的に自分の要求を叶えてくれる可能性が高くなるという誤学習による悪循環もあったのかも…と感じることもありました。
なぜ自傷をしてしまうのか?自傷は見ているだけでもつらかった
自傷行動は見ているだけでもつらく、本人の痛みや身体の傷も心配になるので、できれば止めさせたい…でもどうすれば良いのだろう?と思っていました。そのころはまだPが小さかったので、結局は私が力ずくで手や身体を抑えて自傷を止めることが多かったのですが、この先大きくなるにつれてこの方法は有効的ではなくなるだろうと悩んでいました。
そんなある日、Pがおもちゃでごっこ遊びをしていたときに、悪者役として使っていたおもちゃを水道の水で流すという行動をし始めたことがありました。
そんなある日、Pがおもちゃでごっこ遊びをしていたときに、悪者役として使っていたおもちゃを水道の水で流すという行動をし始めたことがありました。